退屈嫌いの伯爵令嬢による調教の記録

ウサギ卿

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最初はただ、あの時を思い出しただけだった。
エレーナにキスをせがんだ。
恥じらいながらも応えてくれた。
長いキスの後、自分の顔を見たエレーナを思い出しただけだった。
顔を染め伏せたエレーナを。
それをまた見たくなった、それだけだ。

力の加減の為に軽いキスを三度行った。
その時に・・・その可能性に思い至ってしまった。
手を使わなくても、自分の願いが叶えられる方法を。
傷つける事が許されない自分が、唯一許されたエレーナに傷をつける方法を。

ローレンは誓った。
エレーナを決して傷つけないと。
愛する者の守護者として。
騎士の誓いと変わらない想いでその事を誓った。
興奮すると未だ力の加減が出来ない。
だからまだ抱く事は出来ない。
そんな男が、愛してやまない女を前に誓いを守りながら、願いが叶う方法に思い至ってしまった。

その瞬間、頭の中は愛しき者の名という呪詛に支配された。
「アイシテイル」という免罪符を、御題目を掲げた。
強い愛があったからこそ、ソレは妄執へと変わってしまった。
寝間着を破いてしまっても免罪符があった。
か細い助けを求める声を、御題目が劣情に変えてしまった。

だが愛らしい乳房を堪能し終わり、次の獲物を探し始めた時に呼び起こされた。
自分の手の形をした痣に、守護者としての自分を叩き起こされた。
葛藤がローレンを襲う。
守護者としての矜持は揺るがない、大丈夫だ、アイシテイルのだから、と。

それはほんの数秒だったろう。
動きを止めたローレンに声が掛けられた。
「・・・あれ?やめるの?」
先程、助けを求めた愛らしい声が疑問を呈した。
護られる存在がそう言うのだ、やはり大丈夫だ。
その下卑た思いが顔に宿る。
その表情をみてエレーナは妖艶な笑みを浮かべる。
上半身を起こして、ローレンの顔に胸を当て両手で包み、身体を捻った。
守護者として抗う事は出来ない。
愛する者の求める体位を拒否するつもりもない。

仰向けで大の字に転がった。
身体をずり下げて、あの時の様に首筋に顔を埋めた。
「ローレンさまぁ・・・抱きしめて?」
そしていきり勃ったモノを小さな手で弄った。
我慢に我慢を重ねたモノから、それに似合った体液が流れる。
その体液が愛しい者の手を汚した。
その事が更に興奮を刺激を与えた。
愛する者に応える為、守護者として出来うる限りの力で抱擁をした。
そして愛らしい手により更なる快感が身を攀じる。
その快感により、知らず知らず腕が締まっていく。

「ああっ!エレーナ!・・・エレーナ!」
「ああ、ローレンさまぁ!もっと強く抱きしめて・・・そして・・・抱き殺してっ!」

そのエレーナの言葉にローレンは力を強めた。
だが内にではなかった。
腕は抱きしめたまま、潰さないという意思を込めて外側に力を込めた。
薔薇色だった脳内に契約という名の棘が突き刺さった。

勘違いをされている、そう思った。
この行為は自分が唯一エレーナに示せる愛の形なのだと。
崇高な行為なのだと。

「違うんだ、それは「言ってくれれば良かったのにぃ」

そう艶めかしく手を止めずに言った。
ローレンは安堵した。
わかってもらえている事に。
そして快感を享受した。
「私の初めてを奪いながら殺してくれるんでしょ?」
「ちっ!違うっ!」
その言葉の衝撃に抱きしめていた腕を引き離した。

エレーナが身体を起こして、ローレンのモノに手を添えたまま上に跨った。
そして手で弄びながら口を開いた。
「大丈夫よ、どうせ興奮したまま腰を振られたら、私死んじゃうでしょ?」
「んぐぅっ!?」
「中で果てた時に、勢い余って私を抱き殺すんでしょ?」
その可能性を守護者が当然の様に肯定した。
そして罪悪感がローレンを襲った。
だが萎えていく劣情を、愛する者の手が許さない。
強制的な刺激が卑猥な音を立てる。
「エ、エレーナ・・・や、もうやめ、ぐぅ・・・あ、あ、やめてくれ」
「ああ、ローレンさまはこっちの方がお好みだっけ?」
そう言い立ち上がり、足で踏みつけた。
足の裏で擦り続け、その卑猥な音は止む事はない。
「あ、や・・・うっ、やめ・・・ああっ!」
「なんで?さっきのローレンさまの続きじゃない、アハハっ・・・凄いビクビクしてる」
そう笑い強く踏み躙った。

その言葉に漸く自分を振り返れた。
愛情じゃなかった。
愛する女を本当に自分のモノにしたかった。
ただ気持ちよくなりたかっただけだと。
そして今、怒られているんだと。

「うっ・・・す、すまない、後生だ、うっああ・・・赦し、許してくれっ」
両腕で顔を隠し、子供の様に泣き噦った。
だが、快感を伴う動きは止めてもらえない。
今更、自分が払う事など許されない。
羞恥に塗れようが、最後まで責任を取れと足が動く。
エレーナにそれだけの事をしてしまったと、顔を見れずに詫び続け泣き噦った。
「わ、わるがっ、だ・・・ずまな、うっああ!ぐうっ!おああっ!・・・ご、ごめんな、ざい・・・うっうっ」
飛び散った液体を自分の体に浴びせても嗚咽は止まらない。
そのままローレンは泣き噦り詫び続けた。
エレーナは精液で汚れていないズボンで足を拭き「着替えてまいりま~す」と部屋を出た。



(ちょっと・・・いつまで引きこもってるのよ!)
表に出たワタシが言います。
私は何も応えません。
私が調教失敗した所をワタシにフォローされたのですから。
というより嘲り笑った事が許せません。
(笑ったのは悪かったってば!・・・四つ葉のクローバーも嬉しかったんだよね、真っ直ぐ目を見てくれる所も好きだったんだよね)
私の身体で下品に頭を掻いてそう言います。
(でも・・・ほら、気づいただけマシだって!もっと碌でもない男の記憶あげようか?)
(・・・いりません・・・ねえ、ワタシは本当に私なの?私あんな事出来ませんわ)
(ワタシが私の世界で産まれてたら多分こうなるよ?だから私がワタシの事分かるんだもん)
(・・・それに・・・この後、ローレン様のお顔どうやって見たら良いのか分かりませんっ!)
(・・・あんな目にあって泣きまくって、反省したローレンがどんな反応するのか見たいんでしょ?)
(・・・すっごい見たいです、ウフフフフ)
(はいはい、じゃまたね)
そう言い身体を私に渡してフッと消えました。

大きく伸びをしました。
美味しい所はワタシに全部持っていかれましたけど・・・面白かったわ、うふふ。
アレは私じゃ真似出来ませんもの。

アンが寝間着の破れた私を見て飛んで来てくれました。
私の身体を一番に心配してくれたのは嬉しかったです。
着替えてから、ローレン様の下着と寝間着、手桶にお湯を張ってもらいタオルを4枚用意してもらいました。
そしてローレン様の部屋に戻ります。

「うっうっ・・・ご、ごめんなざい・・・」

まあ、まだ大の大人が泣いておられますわ。
下半身もそのままに、小娘に諭されイカされて・・・
アレがっ?!騎士団長様っ?!将来将軍様っ!!?
・・・うふふ、面白いです!やはりローレン様は良いですっ!
是非にっ!部下の騎士の方に見せたい程にっ!!!

「ローレン様、お着替えとお湯をお持ちしました・・・せめてお股くらいはご自分でキレイになさって下さい」
私の問いかけに珍獣は身体を一瞬震わせました。
また責められるとでも思われたのかしら。
・・・どちらの責めるかしら、うふふ。
私には精神的に責める方しか出来ませんが。
ですがこれ以上鞭を振るっても仕方ありません。
変えの効かない私の想い人ペットなのですから。
先程とは違い可愛くなられたご子息に絞ったタオルをかけました。
鼻をぐずつかせお股を拭いておられます。
「失礼致します」
そう告げローレン様の身体に飛び散った後継ぎの種を拭って差し上げます。
「っ!エ、エレ「お静かにっ」
・・・ああ、もうっ!とても臭います、それを口にして虐めたくなります。
ですが我慢です。
今日はもう終わりましたから。
着替えも終わりベッドにちょこんと座られております。
顔を伏せた大型の駄犬がシュンとしております。
口を開いて何かを言いたいのでしょう。
パクパクされております。
もう良いのですよ、先程ワタシの中から懺悔を聞いておりましたから。
「ローレン様、灯を消します、横になって下さい」
ビクッとして恐る恐る横になられました。
・・・失礼な、私はあんなこと致しませんわ。
「・・・手はどちらでした?」
慌てて横に出されました。
「失礼致します」
「っ!?」
そしてローレン様の右腕を枕にします。
ですが背は向けません。
ジーッとお顔を見て差し上げます。
「・・・エ、エレーナ」
そうキョドキョドと視線を彷徨わせます。
「私はもう寝ます・・・今回だけですからねっ」
そう言いお腹を抓って差し上げました。
困惑されたお顔でお腹をさすっておられます。
もう私は本当に眠たいのです。
満足したからでしょうか?うふふ。
だからまた・・・明日からもワタシ達を楽しませて下さいね。


「おやすみなさいませ、ローレン様」
何事もなかったかのような何時ものその挨拶に思わずまた涙ぐんだ。
本当に赦されたのかはわからなかった。
だがまだ横にこうしていてくれる事に感謝をした。
「・・・ありがとう、エレーナ」
野太い声でか細くそう返した。

ローレンがエレーナに心からの傷をつけれたのは、まだまだ先の日であった。
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