異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第2章 チートになれたので自重しません

045 渡す土地が無い場合に有効

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皆さん、お気づきだろうか?

そうです。何の痛みも感じません。
もう1人の護衛も一緒になってやってるけどね。

「ちょっと少佐、呼び出したんだから、お茶くらい出してくださいよ」
「お、お前……だ、大丈夫なのか?」
「こんな理不尽な暴力なんて、痛い訳ないでしょ? あっ、お茶菓子もお願いします」
「……やせ我慢出来るのも今の内だ! 抜刀しろ!」
「「は、ははっ!」」

おっと剣を抜くらしい。
ここは昨日刺繍しながら考えたセリフを言わなくては!

「抜くのか? 死ぬ覚悟はあるのだろうな?」

おっと、ビビってるぜ!
ここで追加のセリフだ!

「相手を切る覚悟があるなら、自分も切られる覚悟があるヤツの……ちょっと待った。今の無し。
 えっと、どうだったっけ?
 ……とにかく! 切られる覚悟があるヤツだけかかってこい!」

間違えちゃったよ!
テイク2希望だけど、無理だよなぁ。1発本番って怖いね。

「ハッタリだ! やれ!」
「「ははっ!」」

本当に剣を抜いたよ。
貴族には逆らえないんだなぁ。

少佐は……おい、逃げるなよ。ズルいぞ。

もう良いや。面倒になってきた。

俺は切られてるのを無視して立ち上がり、座ってる貴族に向かって歩く。
貴族が慌てて立ち上がろうとするがもう遅い。
頭を手で押して座らせて、腰にある剣を奪い取って貴族に向ける。

「いい加減止めないと切るぞ?」
「お、お前ら! 助けろ!」
「し、しかし、どのようにすれば?!」
「それくらい考えろ!」
「うるさいよ、貴族。黙れ。刺すぞ?」

この言葉で、この場に居る全員が黙り込んだ。
貴族は青い顔で、両手を上げてバンザイしている。
やっぱり降参のポーズは異世界でも通用するようだ。

「武器を捨てろ」

俺が言うと、皆が剣をテーブルの上に乗せた。
何でそこに置くんだよ! 普通は床の上だろうが!
足で引き寄せるっていう俺のプランが台無しじゃないか!

こうなったらさっさと終わらせてしまおう。

「それで結局、何の用なんだ?」
「……お、俺に仕えろ」
「何で?」
「何で?! 貴族に仕えるというのは名誉な事なのだぞ!!」
「名誉? ああ、給料を払えない時に言うヤツね」

古くは戦国時代、信長が作ったと言われる茶器を名誉と思わせる作戦のヤツ。
戦功を上げたけど、渡す土地が無い場合に有効。
(勝手な憶測)

「そんなもん、要らん」
「で、では、お前が持っているという、何でも入る箱をお前の言い値で買い取ろうじゃないか!」
「売る訳無いだろ? お前に俺が『お前の爵位と屋敷を言い値で買い取ってやる』と言うのと同じだぞ?」
「……貴族に剣を向けて、この国で生きていけると思うなよ?」
「生きていけると思うよ? 現にこの場ですら、俺が支配してるじゃん。
 それに、この国に固執してないしな。鬱陶しいなら他の国に行くだけだし。
 話は終わりか? 終わりなら帰れ。俺もヒマじゃないんでね」
「…………覚えておけよ」
「明日には忘れてやるよ。あっ、この剣と護衛の剣は貰っておくぞ~」

逃げるように貴族と護衛は出ていった。
残ったのは少佐だけ。

「お、おま、おま、おま、お前……そんな事して…………」
「心配しなくても俺の事なら大丈夫です」
「お前の事なんか心配するか! 俺がヤバいんだよ!!」

うわ~、軽く傷ついたわ。
ちょっとくらい心配してくれても良くない?

……よく考えたら少佐って国に仕えてるんだよね。
確かに立場的にヤバそうな気がする。

「もしクビになったら、俺が雇いますから」
「クビになるような事自体すんな!!」

おっしゃる通りですね。
で、でも、貴族を連れてきたのは貴方ですよ?

う~ん、少佐にはお世話になったし、助ける方法を考えるか。
……あれっ? お世話になったっけ??
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