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第3章 快適生活へ向けて頑張ろう!
079 栄光の星
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「双方から事情を聞く。まずはおめぇらからだ」
ベルドさんはそう言うと男女達の方を見た。
「俺達は『栄光の星』。俺はリーダーのクルナ。
ベルスタッグを見つけて狩ってたら、その獣に邪魔されたんだ!」
「キョウヤ、あっちの言い分は聞いたな? そっちの言い分は?」
「ちょっと待ってください」
ヒョウに事情を聞く。
と言っても目を見るだけだが。
ふむふむ。
「同じだと言ってますね。居るのは判ってたけど何もしてなかったので、狩っただけだそうです」
「ウソだ!」
「おい、黙ってろ。今は双方の言い分を聞いてる所だろうが」
ベルドさんが凄む。
さすがハゲマッチョ、すぐに黙ったぜ。
「クルナと言ったな。何もしてなかったと相手は言ってるぞ」
「獣が言う訳ないじゃないか!」
「お前……良いか、はっきり言うぞ。俺が今聞いてるのは『お前らは何もしてなかったのか?』だ。
それに対して返答しろ。しないならお前らが悪いという事になるぞ」
「ぐっ……」
「すみません、クルナは興奮してるので、私が代わりに話します」
「お前は?」
「私は副リーダーのセレフィです」
「……まぁ良いだろう。で?」
「取り囲んで逃さないようにしてました。
パルが矢を放った瞬間に獣がベルスタッグに飛びかかって、一瞬で倒してしまいました」
「その矢はどこだ?」
「私は判りません。パル、判る?」
「その獣の尾で弾かれて、どこかに飛んでった」
「なるほどな。さて、キョウヤ。こう言ってるが、どうなんだ?」
ヒョウを見る。
お前、凄えな。しっぽで矢を弾けるのか。
「それほどでもありますよ」という目。謙遜しろ。
「しっぽで弾いたのは事実だそうです」
「相手も認めました。こちらが先制してたのは確定ですよね?」
俺としては、別に鹿が相手の物になっても困らない。
渡してさっさと帰りたいと思ってるくらいだ。
だが、横取りしたと言われるのは心外だ。
ここだけは訂正しておかなければ。
「すいません、良いですか?」
「何だキョウヤ」
「矢を撃ったのと飛びかかるのが同時だったらどっちが悪いんですか?
飛びかかる速度と、遠くから矢を撃ったのでは、スタートのタイミングは同時の可能性もありますよね?
もしかしたら、こっちの方が早かった可能性も」
「なるほどな」
「ちょっと待ってください。それ以前にこちらは取り囲んでるんです。
行動はこちらの方が先ですよ?」
それを言われるとこちらが弱い立場になる。
なのでここはハッタリを。
「そう言いますけどね。それはそちら6人が口裏を合わせていれば言える事で。
他に誰も見てなかったようですし。
ヒョウ、あっ、貴方達が言う獣ですけど、ヒョウからすれば居ただけのようですし。
もしそっちが最低な人達なら、ヒョウが狩ったのを見て、ヒョウごと倒して奪ってやろうと矢を撃った、なんて事もありえますよね? あっ、あくまで仮定の話ですよ?」
「そんな事してません!」
「だから仮定の話と言ってるじゃないですか。何を慌ててるんですか?」
「やってない事を事実のように言うからです!」
「どちらも落ち着け!」
ベルドさんの一喝が入った。
「確かに第三者が居ねぇので、どっちの言ってる事が事実か分からねぇ」
「そんな!」
セレフィだったっけ? 明らかに「獣を信じるんですか?!」って顔してる。
交渉役がそんなに顔に出しちゃダメだよ。
俺? 隠してるから見えないのでセーフ。多分バリバリ焦った顔してると思うけど。
「ベルドさん。提案です」
「言ってみろ」
「あのベルスタッグ?はそちらに渡しますよ。
ただし、先制攻撃はこちらだった、もしくは同時だったとしてください。
これならこちらには落ち度はありませんので納得します。
あちらは不本意でしょうが、獲物は入手出来ます。どうでしょう?」
「ふむ……」
「しかし、意地でも最初からこちらの獲物だった、横取りしたのはお前らだ、と言うなら……」
「言うなら、なんだ?」
「ヒョウとの実力差を知ってもらい、納得してもらいます」
「それは私闘するって意味か?!」
「違いますよ、訓練です、訓練。実力差が判れば、どちらが先に目をつけてたか判るでしょ?」
そもそも、取り囲んだのがあっちが先だとしてもだね。
ヒョウがどの時点から発見してたか分からないじゃないか。
取り囲むよりも前から発見してて、襲うタイミング待ちだったらどうするんだ?
どこからを横取りとするのか、絶対に決められないだろ。
だから先制攻撃を重要視するんじゃない?
先に当てた方に権利がある、みたいな。
その場合、ヒョウの勝ちだけどね。
ベルドさんは少し悩んで結論を出した。
「よし、獲物は『栄光の星』の物とする。ただし、先制攻撃は同時だったとする。双方良いな?」
「そんな馬鹿な!」
クルナと呼ばれてる男が声をあげた。
「俺はギルドにさっき言った内容で報告書を出す。
気に入らないならギルドに訴状を出せ。その代わり、判決が出るまでは獲物は売れないぞ。大事な証拠だからな。
だから金は入らない。もし敗訴すればお前らは横取りしたという事になりランクも下がる。どうする?」
言ってる事は理解出来る。
しかしだね、ベルドさんや。
俺が金持ちなのは知ってるよね。後ギルドにあまり執着が無い事も。
どう考えても、俺有利な決断ですよね。
それだけヒョウの強さを知ってるって事か。もし戦えば全滅させられると。
あっ、そうか。
よく考えたらベルドさんをここまで運んできたのもヒョウだったわ。
そりゃ強さを知ってるか。
ベルドさんはそう言うと男女達の方を見た。
「俺達は『栄光の星』。俺はリーダーのクルナ。
ベルスタッグを見つけて狩ってたら、その獣に邪魔されたんだ!」
「キョウヤ、あっちの言い分は聞いたな? そっちの言い分は?」
「ちょっと待ってください」
ヒョウに事情を聞く。
と言っても目を見るだけだが。
ふむふむ。
「同じだと言ってますね。居るのは判ってたけど何もしてなかったので、狩っただけだそうです」
「ウソだ!」
「おい、黙ってろ。今は双方の言い分を聞いてる所だろうが」
ベルドさんが凄む。
さすがハゲマッチョ、すぐに黙ったぜ。
「クルナと言ったな。何もしてなかったと相手は言ってるぞ」
「獣が言う訳ないじゃないか!」
「お前……良いか、はっきり言うぞ。俺が今聞いてるのは『お前らは何もしてなかったのか?』だ。
それに対して返答しろ。しないならお前らが悪いという事になるぞ」
「ぐっ……」
「すみません、クルナは興奮してるので、私が代わりに話します」
「お前は?」
「私は副リーダーのセレフィです」
「……まぁ良いだろう。で?」
「取り囲んで逃さないようにしてました。
パルが矢を放った瞬間に獣がベルスタッグに飛びかかって、一瞬で倒してしまいました」
「その矢はどこだ?」
「私は判りません。パル、判る?」
「その獣の尾で弾かれて、どこかに飛んでった」
「なるほどな。さて、キョウヤ。こう言ってるが、どうなんだ?」
ヒョウを見る。
お前、凄えな。しっぽで矢を弾けるのか。
「それほどでもありますよ」という目。謙遜しろ。
「しっぽで弾いたのは事実だそうです」
「相手も認めました。こちらが先制してたのは確定ですよね?」
俺としては、別に鹿が相手の物になっても困らない。
渡してさっさと帰りたいと思ってるくらいだ。
だが、横取りしたと言われるのは心外だ。
ここだけは訂正しておかなければ。
「すいません、良いですか?」
「何だキョウヤ」
「矢を撃ったのと飛びかかるのが同時だったらどっちが悪いんですか?
飛びかかる速度と、遠くから矢を撃ったのでは、スタートのタイミングは同時の可能性もありますよね?
もしかしたら、こっちの方が早かった可能性も」
「なるほどな」
「ちょっと待ってください。それ以前にこちらは取り囲んでるんです。
行動はこちらの方が先ですよ?」
それを言われるとこちらが弱い立場になる。
なのでここはハッタリを。
「そう言いますけどね。それはそちら6人が口裏を合わせていれば言える事で。
他に誰も見てなかったようですし。
ヒョウ、あっ、貴方達が言う獣ですけど、ヒョウからすれば居ただけのようですし。
もしそっちが最低な人達なら、ヒョウが狩ったのを見て、ヒョウごと倒して奪ってやろうと矢を撃った、なんて事もありえますよね? あっ、あくまで仮定の話ですよ?」
「そんな事してません!」
「だから仮定の話と言ってるじゃないですか。何を慌ててるんですか?」
「やってない事を事実のように言うからです!」
「どちらも落ち着け!」
ベルドさんの一喝が入った。
「確かに第三者が居ねぇので、どっちの言ってる事が事実か分からねぇ」
「そんな!」
セレフィだったっけ? 明らかに「獣を信じるんですか?!」って顔してる。
交渉役がそんなに顔に出しちゃダメだよ。
俺? 隠してるから見えないのでセーフ。多分バリバリ焦った顔してると思うけど。
「ベルドさん。提案です」
「言ってみろ」
「あのベルスタッグ?はそちらに渡しますよ。
ただし、先制攻撃はこちらだった、もしくは同時だったとしてください。
これならこちらには落ち度はありませんので納得します。
あちらは不本意でしょうが、獲物は入手出来ます。どうでしょう?」
「ふむ……」
「しかし、意地でも最初からこちらの獲物だった、横取りしたのはお前らだ、と言うなら……」
「言うなら、なんだ?」
「ヒョウとの実力差を知ってもらい、納得してもらいます」
「それは私闘するって意味か?!」
「違いますよ、訓練です、訓練。実力差が判れば、どちらが先に目をつけてたか判るでしょ?」
そもそも、取り囲んだのがあっちが先だとしてもだね。
ヒョウがどの時点から発見してたか分からないじゃないか。
取り囲むよりも前から発見してて、襲うタイミング待ちだったらどうするんだ?
どこからを横取りとするのか、絶対に決められないだろ。
だから先制攻撃を重要視するんじゃない?
先に当てた方に権利がある、みたいな。
その場合、ヒョウの勝ちだけどね。
ベルドさんは少し悩んで結論を出した。
「よし、獲物は『栄光の星』の物とする。ただし、先制攻撃は同時だったとする。双方良いな?」
「そんな馬鹿な!」
クルナと呼ばれてる男が声をあげた。
「俺はギルドにさっき言った内容で報告書を出す。
気に入らないならギルドに訴状を出せ。その代わり、判決が出るまでは獲物は売れないぞ。大事な証拠だからな。
だから金は入らない。もし敗訴すればお前らは横取りしたという事になりランクも下がる。どうする?」
言ってる事は理解出来る。
しかしだね、ベルドさんや。
俺が金持ちなのは知ってるよね。後ギルドにあまり執着が無い事も。
どう考えても、俺有利な決断ですよね。
それだけヒョウの強さを知ってるって事か。もし戦えば全滅させられると。
あっ、そうか。
よく考えたらベルドさんをここまで運んできたのもヒョウだったわ。
そりゃ強さを知ってるか。
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