異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第3章 快適生活へ向けて頑張ろう!

089 車と同じくらいの速度出てないか?

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ベルドさん、追加を承認しちゃったよ。
却下されたらいいな、ってレベルで話したのに。

承認されると困るのは俺の番になる。
はっきり言って、どんな敵だろうとも俺は無傷で居られるとは思う。

問題は守らなければいけない存在。
ベルドさんだけならサイに無理矢理乗せて逃せば良い。
でも他に一般人とか居たら?
敵が具現化した動物を一撃で倒せるほど強かったら?
そもそも、そういう状況に出くわした場合、俺がちゃんと対処出来るか不安。

しょうがない。
うだうだ悩んでもどうしようもないのだ。
行って、その場でベルドさんの指示に従おう。
丸投げとも言う。
最悪は逃げ出して、帝都からも離れ、帝国からも逃げ、遠い地に行こう。


本来なら休んでから行く予定だったけど、そういう訳にもいかないようなのですぐに出発した。
サイには最大速度で進んでもらっている。
サイって早いんだね。車と同じくらいの速度出てないか?

1時間くらいで現場らしき場所に到着。
そこには畑があり、確かに何かに荒らされた跡がある。
だが俺が見ても動物が荒らしたのかな~程度にしか見えなかった。
足跡とか見てるんだろうか?

それを調べてたベルドさんが、おもむろに森を指差した。

「こっちだな」
「村には寄らないんですか?」
「ああ。このまま行く」
「村での聞き込みは? 先行してる人達が村で休んでるかも」
「いや、それはないな。森に向かって入った跡があるが、出てきた跡は無い」

マジか。
そこまで判るのかよ。

「でも森の中から音がしませんよ?」
「まだ出会ってないのかもしれんし、既に倒しているかもしれん」
「じゃあ、今から最大限に警戒した方が良いですか? それとも少数で行った方が良いですか?」
「……ここからは警戒していく」
「了解です」

どうやらベルドさんは、戦闘終了ではなくまだ出会ってないと考えたようだ。
ならばこちらも注意しなくては。

という事で、ヒョウ4頭とゴリラ4頭を具現化する。
切り札は1つだけあるが、それは本当にヤバい時に使うつもり。

警戒しながらベルドさんの示す場所から森に入る。
と言っても警戒しているのはベルドさんと動物達で、俺はしてない。

いや、してないと言うと語弊があるな。
警戒はしてるんだけど、動物やベルドさんほど出来てないってだけだ。
俺に出来る警戒なんて、せいぜいキョロキョロするくらい。
それでも何も判らないので、目だけで周囲を見る程度にしたんだ。
キョロキョロしてたらみっともないし、いざって時に動けない可能性もあると思ってさ。
まぁ現代人なので、いざって時はビビって結局動けないと思うけど。


ベルドさんについて歩いていると、突然森が無くなった。
森から出た訳ではない。木々がへし折れて倒れていて、半径50mくらい明るい場所になってるのだ。
え? これ、モンスターが暴れた跡なの?
やばくない?

「ヤベェ! 来るぞ!」
「えっ? 何が?」
「多分だが、モドネシスだ!」
「モド……え?」

俺が混乱してると、奥の森からトカゲが出てきた。デカい。
あ~、テレビとかで見た事あるわ。インドネシアの辺に生息するオオトカゲだ。
確か毒持ちじゃなかったっけ?
でもサイズが変。人を一飲み出来る大きさでは無かったはずだ。

「あれが敵ですか?」
「他のモンスターはアレに追われて出てきたんだろうな……」
「いや、だから、あれが敵ですか?」
「ちっ、どうすれば……」

ベルドさんが俺の話を聞いてくれない。
オオトカゲだけを見つめて独り言を喋ってる。

しょうがないので、俺は周囲を見回している。
うん、人が居る感じが無い。
という事は、ベルドさんだけを守れば良さそうだ。

俺はベルドさんのハゲ、いや、頭を叩いてこっちを向かせる。

「あれを倒せば良いんですね?」
「そ、そうだが……倒せるのか?」
「さぁ? あっ、危険なのでベルドさんはここから自由行動は出来ません。
 この動物達に守られててください。勝手に動こうとしても止めさせますので」

動物にベルドさんを守るように指示。
最悪の場合は、担ぎ上げてでも逃げるように。

まぁ、アレなら俺でも倒せるだろう。
確かテレビで見た時は動きが遅かったしね。
デカいと重いから、動きも遅くなるはずだ。
恐竜もデカいほど遅かったと言われている……確か。
あれ? でもT-レックスとか結構早かったような気が。
あれは映画、そう、あれは映画なのだ。そんなに早く動けないだろう。
だろう運転は止めましょう。

そう考えながら開けた場所の中心に向かって歩く。
後ろでベルドさんが何か叫んでるが無視。
これから戦闘する人間の気を逸らせるような行為は止めて頂きたいものだ。

次の瞬間。俺はオオトカゲの舌に捕まっていた。
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