異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第3章 快適生活へ向けて頑張ろう!

097 黄色い空飛ぶモンスター

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目が横滑りしていく。
読んでも読んでも終わらない。
読んでる最中にも話しかけてくるし、読み返す事もしばしば。

時間をかけて最後まで読み終えたので、気になった所を質問していく。

「この最深部に居るモンスターってのは、どんなヤツなんです?」
「それは不明なんだ」
「不明? 到達した人がいないからですか?」
「いや、到達した者は居る。生きて帰って居なければ、最深部にモンスターが居るという情報すら無いからな」
「確かに。では何故不明なんです?」
「到達した冒険者パーティーは全部で3組。だが、3組の出会ったモンスターが違うんだ」
「違う?」
「1組目はドラゴンと出会ったと言う、2組目は巨大なスライム、3組目は黄色い空飛ぶモンスターだったそうだ」
「だから『不明』ですか」
「そうだ。これらを書いて実際に違うモンスターだったら問題になるからね」

全部違う系統のモンスターだ。
どれが正解なのか判らない。
一番有り得そうなのは、擬態するモンスターが居るって可能性だけど。

「それについては納得しました。ところでそこが最深部と判ったのは?」
「ダンジョン内で発見された石版のおかげだ」
「石版?」
「鏡のような物だ。そこに現在の階数が表示されるのだ。
 表示が間違いだった事は無い。そこに最深部と表示されたので最深部と判明した」

タブレットかな?

「それは?」
「勿論貸し出すとも」
「ありがとうございます」

借りられるのなら色々試してみたい気もするな。
もし本当にタブレットなら、絵も描けるかもしれない。

「最後に『ダンジョンに潜る為にキサラツギ王国に移住してもらう』というのは?」
「ダンジョンに入る冒険者は実力が無ければならない。誰でも入れれば犠牲者が増えるばかりだ。
 その為の審査があるのだが、他国の人間では審査しづらい。だから移住してもらう」
「移住しても変わらないのでは?」
「人となりは判らないだろうね。だがこの話をもって行く時点でクリアしていると思ってくれ」
「この時点で既に審査されてると」
「そういう事だ。そしてダンジョンで得た物を自国に持ち帰って販売されては我が国が損する」

それは理解出来る。
中国でレアメタルを掘りまくって、黙って日本に持ち帰れば犯罪だろう。

「ついでに言えば、私が直々にスカウトに来ている。意味がわかるかね?」
「……わかりません」
「爵位のある者が呼ぶなら、それ相応の準備があるという事だよ。
 ウカリから話は聞いている。同程度の規模の屋敷と従業員を手配し君に譲ろう。
 今ある屋敷は販売して、金にすれば良い。屋敷1つ分は稼いだな。
 更に移動にかかる費用もこちらが払う」
「高待遇ですね」
「貴族も楽では無いのだよ。常に国に利益を出さなくてはならない。
 有能な人間をかかえておくのもその一環だ」

なるほどね~。
貴族も大変なんだね。
だけど……。

「魅力的な話ではありますが、お断りさせてください」
「……何故だね? 理由を聞かせてもらおうか」
「…………」

設置したトイレが動かせないから、とか言えない!
置いといてまた作れば良いだけの話だが、永続化枠が減るのは困る。
風呂も設置したし、違う土地でイチからやり直すのも面倒。

「言えない理由があるのかね?
 それは女かね? 連れてきてもらっても良いのだよ?」
「…………」
「しがらみがあるのかね? ある程度なら国と交渉しても良いぞ?」
「…………」

ああ、国の事もあったな。
この国ではやらかしたので、ある程度は融通が聞くようにはなった。
他国に行ったらやり直しになるのは面倒だな。

「やはり断らせてください」
「本気かね?」
「本気です」
「…………そうか。では、別の方法を取るとしよう」

まだ何か上乗せしてくるのか?

「私は君の秘密を複数握っている。この書類に同意しなければその秘密が明かされる事になるだろう」

な、なんだってーっ?!
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