179 / 200
第5章 ダンジョンに行こう
179 あんなザコはボスではありませんね
しおりを挟む
「私の名前はクロです」
「喋った!」
「そりゃ喋りますよ。何を言ってるんですか?」
「俺の方が常識が無いみたいに言われた。ちょっと妖精さん、どうなってるんですか?! っていない?!」
いつの間にか妖精は居なくなっていた。
仲間に会わせたから仕事は終わりとばかりに帰ったのだろうか?
「え~と……クロさんでしたね。疑問点が大量にあるのですが」
「そこは進みながら聞きましょう。とにかく行きますよ。早く終わらせて帰りたいのです」
「は、はぁ、わかりました」
「ではまずはあの肉を半分ほど貴方が保存してください。半分は私が持っていきます」
「了解です」
白猫のクロさんに命令されて、積まれている肉の半分をクマに手伝ってもらい収納する。
なんでこんなに素直に従うのかって?
だって、具現化してるクマが怯えてるんだもん。
って事はクマよりも強い相手だって事だ。
前に戦ったドラゴンなんかよりも遥かに強いって事になる。
しかも小さくて素早いし、人間並みの知能もありそう。
こうなると俺の装備の弱点なんかも看破する可能性もある。
つまり逆らえば簡単に痛めつけられるんじゃないかな?と思ってさ。
俺が頑張って肉を収納している側で、クロさんは瞬時に肉を収納した。
どうやらいわゆるアイテムボックスを持っているらしい。触れて考えるだけで収納出来るとか。チートだ。
全ての肉を片付け終わると、奥の壁に扉が現れた。
どうやらあの扉が下層に向かう通路に繋がっているらしい。
「肉を片付けると扉が発生する事を確認しましたので。
片付けずに一定時間が経過すると、ボスがリポップしたのです。
貴方を待つのに邪魔が入らないと考え、ここで待ってました」
「そ、そうですか。ボスは邪魔の内には入らないんですね……」
「あんなザコはボスではありませんね」
10層のボスだから大した強さでは無いかもしれないけど、戦ってないので何とも言えない。
少なくとも気軽に来るべき場所では無いという認識だけど。
どれだけ強いんだよ、クロさん。
クロさんが扉を器用に開けて、通路に出る。
想像通り、そこには冒険者が多数居た。
唯一の帰り道だもんな。使用中で通れないなら溜まっていくよね。
そして、長時間占拠してた俺達(正確にはクロさんだけど)に苦情が出るのは当然の流れ。
ついでに言えば、人間なのは俺だけなので、視線は俺に集中する訳で。
「いつまで待たせるんだよ!!」
「ここのボスに長時間かけるくらいなら引き返せよ!!」
「無駄に食料使っただろ! 補填しろ!!」
次々と飛んでくる罵詈雑言。
どう答えたものかと思案していると、無視するようにクロさんが喋った。
「早く行きますよ。のんびりしている時間はありません」
「「「「…………ネコが喋ったーーーっ?!」」」」
うん、この世界でもそういう認識だよね。
その驚き、分かる分かる。
言われるがままに進もうとしたが、やはりショックから立ち直るのが早い人も居るもので。
「……って、おい! 何を無視してるんだよ!!」
背後から肩を掴まれた。
やっぱりスルーしてくれませんよね。
そしてこの状況が許せない人?もここには居て。
「進む邪魔をするのは止めなさい」
「ク、クロさん……」
戻ってきたクロさんが、俺の肩を掴んだ手を引っ掻いていた。
「貴方達は通りたいのでしょう? グチグチと言ってないでさっさと行けば良いのです。
自分達が自分達の意思で無駄に時間を使っているという認識も無いのですか?」
「え~と、煽らない方が良いと思いますけど……」
「事実を言っているだけです。
そもそも強者に文句を言える程の強さではないでしょう?
王に向かって平民が目の前で文句を言いますか?」
そ、そこまで実力の差があるのか……。
「ネ、ネコの分際で……!」
「ネコ相手に翻弄されてる貴方はネコ以下、いえ、ネズミ以下ですか?」
引っかかれた手を抑えてた男とその仲間らしき人達が、こちらを向いて戦闘態勢に入ろうとしたが。
次の瞬間には、彼ら全員の武器が床に落ちていた。
えっ? 装備品の金具とか帯とか鞘とかを切り落としたの? いつの間に??
「喋った!」
「そりゃ喋りますよ。何を言ってるんですか?」
「俺の方が常識が無いみたいに言われた。ちょっと妖精さん、どうなってるんですか?! っていない?!」
いつの間にか妖精は居なくなっていた。
仲間に会わせたから仕事は終わりとばかりに帰ったのだろうか?
「え~と……クロさんでしたね。疑問点が大量にあるのですが」
「そこは進みながら聞きましょう。とにかく行きますよ。早く終わらせて帰りたいのです」
「は、はぁ、わかりました」
「ではまずはあの肉を半分ほど貴方が保存してください。半分は私が持っていきます」
「了解です」
白猫のクロさんに命令されて、積まれている肉の半分をクマに手伝ってもらい収納する。
なんでこんなに素直に従うのかって?
だって、具現化してるクマが怯えてるんだもん。
って事はクマよりも強い相手だって事だ。
前に戦ったドラゴンなんかよりも遥かに強いって事になる。
しかも小さくて素早いし、人間並みの知能もありそう。
こうなると俺の装備の弱点なんかも看破する可能性もある。
つまり逆らえば簡単に痛めつけられるんじゃないかな?と思ってさ。
俺が頑張って肉を収納している側で、クロさんは瞬時に肉を収納した。
どうやらいわゆるアイテムボックスを持っているらしい。触れて考えるだけで収納出来るとか。チートだ。
全ての肉を片付け終わると、奥の壁に扉が現れた。
どうやらあの扉が下層に向かう通路に繋がっているらしい。
「肉を片付けると扉が発生する事を確認しましたので。
片付けずに一定時間が経過すると、ボスがリポップしたのです。
貴方を待つのに邪魔が入らないと考え、ここで待ってました」
「そ、そうですか。ボスは邪魔の内には入らないんですね……」
「あんなザコはボスではありませんね」
10層のボスだから大した強さでは無いかもしれないけど、戦ってないので何とも言えない。
少なくとも気軽に来るべき場所では無いという認識だけど。
どれだけ強いんだよ、クロさん。
クロさんが扉を器用に開けて、通路に出る。
想像通り、そこには冒険者が多数居た。
唯一の帰り道だもんな。使用中で通れないなら溜まっていくよね。
そして、長時間占拠してた俺達(正確にはクロさんだけど)に苦情が出るのは当然の流れ。
ついでに言えば、人間なのは俺だけなので、視線は俺に集中する訳で。
「いつまで待たせるんだよ!!」
「ここのボスに長時間かけるくらいなら引き返せよ!!」
「無駄に食料使っただろ! 補填しろ!!」
次々と飛んでくる罵詈雑言。
どう答えたものかと思案していると、無視するようにクロさんが喋った。
「早く行きますよ。のんびりしている時間はありません」
「「「「…………ネコが喋ったーーーっ?!」」」」
うん、この世界でもそういう認識だよね。
その驚き、分かる分かる。
言われるがままに進もうとしたが、やはりショックから立ち直るのが早い人も居るもので。
「……って、おい! 何を無視してるんだよ!!」
背後から肩を掴まれた。
やっぱりスルーしてくれませんよね。
そしてこの状況が許せない人?もここには居て。
「進む邪魔をするのは止めなさい」
「ク、クロさん……」
戻ってきたクロさんが、俺の肩を掴んだ手を引っ掻いていた。
「貴方達は通りたいのでしょう? グチグチと言ってないでさっさと行けば良いのです。
自分達が自分達の意思で無駄に時間を使っているという認識も無いのですか?」
「え~と、煽らない方が良いと思いますけど……」
「事実を言っているだけです。
そもそも強者に文句を言える程の強さではないでしょう?
王に向かって平民が目の前で文句を言いますか?」
そ、そこまで実力の差があるのか……。
「ネ、ネコの分際で……!」
「ネコ相手に翻弄されてる貴方はネコ以下、いえ、ネズミ以下ですか?」
引っかかれた手を抑えてた男とその仲間らしき人達が、こちらを向いて戦闘態勢に入ろうとしたが。
次の瞬間には、彼ら全員の武器が床に落ちていた。
えっ? 装備品の金具とか帯とか鞘とかを切り落としたの? いつの間に??
58
あなたにおすすめの小説
修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜
長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。
コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。
ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。
実際の所、そこは異世界だった。
勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。
奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。
特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。
実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。
主人公 高校2年 高遠 奏 呼び名 カナデっち。奏。
クラスメイトのギャル 水木 紗耶香 呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。
主人公の幼馴染 片桐 浩太 呼び名 コウタ コータ君
(なろうでも別名義で公開)
タイトル微妙に変更しました。
クラスで異世界召喚する前にスキルの検証に30年貰ってもいいですか?
ばふぉりん
ファンタジー
中学三年のある朝、突然教室が光だし、光が収まるとそこには女神様が!
「貴方達は異世界へと勇者召喚されましたが、そのままでは忍びないのでなんとか召喚に割り込みをかけあちらの世界にあった身体へ変換させると共にスキルを与えます。更に何か願いを叶えてあげましょう。これも召喚を止められなかった詫びとします」
「それでは女神様、どんなスキルかわからないまま行くのは不安なので検証期間を30年頂いてもよろしいですか?」
これはスキルを使いこなせないまま召喚された者と、使いこなし過ぎた者の異世界物語である。
<前作ラストで書いた(本当に描きたかったこと)をやってみようと思ったセルフスピンオフです!うまく行くかどうかはホント不安でしかありませんが、表現方法とか教えて頂けると幸いです>
注)本作品は横書きで書いており、顔文字も所々で顔を出してきますので、横読み?推奨です。
(読者様から縦書きだと顔文字が!という指摘を頂きましたので、注意書をと。ただ、表現たとして顔文字を出しているで、顔を出してた時には一通り読み終わった後で横書きで見て頂けると嬉しいです)
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる