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第三章
14話
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階段を上がるたびに、見慣れない構内の景色が目に飛び込み、自然と視線があちこちに泳ぐ。
目の前では、玲央がきびきびと歩きながら、時々振り返っては俺がついてきてるかを確認してくる。
「おい、歩くの速い」
「だって……これ以上なにか言われたら死ぬからっ!」
「別に変なこと言ってねえけどな」
「あれは変なことじゃないの!?」
その叫びに、思わず吹き出しそうになるのを、なんとか飲み込む。
「なんのことかわかりませんね~」
「ね~え!栞季くんて追い打ちかけるの得意だよね!?さっきのもわざとなんでしょ!?あんなの他の人にやったら栞季くんが危なくなるんだからね!?」
玲央はそう言いながら、歩きながらも必死に頬を押さえていた。俺はその背を追いかけるように少し足を速めて、ようやく肩を並べる。
「はいはい。じゃあこれ以上俺が何か言う前に、少しはゆっくり歩いてくれ」
「むぅ……栞季くんが横にいるだけでもう危険なんだけど……」
そうぼやきながらも玲央は、改札口に着くまで、ちゃんと速度を落として、俺の隣を歩いてくれた。
改札を抜け、俺がきょろきょろと辺りを見渡していると、玲央がくるっと振り返って、勢いよく指を差してくる。
「はい!あっちです!栞季くん、こちらへどうぞ!!」
彼が指差した方向に視線を向けると、きれいな並木道がロータリーの先へと続いていた。街路樹はまだ秋の名残を抱え、柔らかな日差しを浴びて葉を揺らしている。
「お前の家もこっちの方なのか?」
「うん!もうちょい歩いたところ!」
歩き慣れた道だからか、玲央はすたすたと並木道を進んでいく。
「俺の家は駅から徒歩……五分くらいかな。ちょうど駅との間くらいにあるんだ、今日行くとこ」
「へぇ、いいとこに住んでんだな」
「うん~!電車乗るのも楽だし、静かでいい感じなんだよ!あとね、駅前にパン屋と喫茶店があってさ、そこのモーニングが超優勝なの!」
玲央が腕をぶんぶん振りながら、やたら熱量高めに語るもんだから、思わず頬が緩んだ。
しばらく歩くと、ざわめきが少しずつ遠ざかり、住宅街の中へと入っていく。
「……こんなとこにあるのか」
ぽつりと漏らした俺の言葉に、玲央は「でしょ?」と得意げにこちらを見やる。
さらに数歩進んだところで、彼がぴたりと足を止めた。
「到着~!」
視線の先には、少し古びたおしゃれな一軒家。白く塗られている外壁に、赤い煉瓦がやけに映えて見える。はめ殺し窓から覗く店内は、どこかバーのような雰囲気だ。
玄関脇には、丸みを帯びた木製の看板がひとつ。小さな手書きの文字で《café March》と書かれていた。
「……喫茶店?」
「そう!ね、隠れ家的って感じしない?俺、初めて見つけたときも『え、こんなとこに!?』ってびっくりしたんだよ~!」
「まぁ、確かにこれは、びっくりするかも」
「でしょ!」
玲央が嬉しそうに笑う。口元に浮かぶ笑みと、ほんの少し上気した頬が、朝の光に溶けていくようだった。
「じゃ、入りましょー!栞季くんの反応、店内でもっと引き出してやるんだからね」
そう言って、玲央はひょいと先に扉を開ける。
鈴の音がちりん、と小さく鳴った。
目の前では、玲央がきびきびと歩きながら、時々振り返っては俺がついてきてるかを確認してくる。
「おい、歩くの速い」
「だって……これ以上なにか言われたら死ぬからっ!」
「別に変なこと言ってねえけどな」
「あれは変なことじゃないの!?」
その叫びに、思わず吹き出しそうになるのを、なんとか飲み込む。
「なんのことかわかりませんね~」
「ね~え!栞季くんて追い打ちかけるの得意だよね!?さっきのもわざとなんでしょ!?あんなの他の人にやったら栞季くんが危なくなるんだからね!?」
玲央はそう言いながら、歩きながらも必死に頬を押さえていた。俺はその背を追いかけるように少し足を速めて、ようやく肩を並べる。
「はいはい。じゃあこれ以上俺が何か言う前に、少しはゆっくり歩いてくれ」
「むぅ……栞季くんが横にいるだけでもう危険なんだけど……」
そうぼやきながらも玲央は、改札口に着くまで、ちゃんと速度を落として、俺の隣を歩いてくれた。
改札を抜け、俺がきょろきょろと辺りを見渡していると、玲央がくるっと振り返って、勢いよく指を差してくる。
「はい!あっちです!栞季くん、こちらへどうぞ!!」
彼が指差した方向に視線を向けると、きれいな並木道がロータリーの先へと続いていた。街路樹はまだ秋の名残を抱え、柔らかな日差しを浴びて葉を揺らしている。
「お前の家もこっちの方なのか?」
「うん!もうちょい歩いたところ!」
歩き慣れた道だからか、玲央はすたすたと並木道を進んでいく。
「俺の家は駅から徒歩……五分くらいかな。ちょうど駅との間くらいにあるんだ、今日行くとこ」
「へぇ、いいとこに住んでんだな」
「うん~!電車乗るのも楽だし、静かでいい感じなんだよ!あとね、駅前にパン屋と喫茶店があってさ、そこのモーニングが超優勝なの!」
玲央が腕をぶんぶん振りながら、やたら熱量高めに語るもんだから、思わず頬が緩んだ。
しばらく歩くと、ざわめきが少しずつ遠ざかり、住宅街の中へと入っていく。
「……こんなとこにあるのか」
ぽつりと漏らした俺の言葉に、玲央は「でしょ?」と得意げにこちらを見やる。
さらに数歩進んだところで、彼がぴたりと足を止めた。
「到着~!」
視線の先には、少し古びたおしゃれな一軒家。白く塗られている外壁に、赤い煉瓦がやけに映えて見える。はめ殺し窓から覗く店内は、どこかバーのような雰囲気だ。
玄関脇には、丸みを帯びた木製の看板がひとつ。小さな手書きの文字で《café March》と書かれていた。
「……喫茶店?」
「そう!ね、隠れ家的って感じしない?俺、初めて見つけたときも『え、こんなとこに!?』ってびっくりしたんだよ~!」
「まぁ、確かにこれは、びっくりするかも」
「でしょ!」
玲央が嬉しそうに笑う。口元に浮かぶ笑みと、ほんの少し上気した頬が、朝の光に溶けていくようだった。
「じゃ、入りましょー!栞季くんの反応、店内でもっと引き出してやるんだからね」
そう言って、玲央はひょいと先に扉を開ける。
鈴の音がちりん、と小さく鳴った。
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