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第三章
34話
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思わず瞬きをすると、依織は真顔で見つめてくる。さっきまで困り顔で愚痴っていたくせに、急に鋭くなった視線を向けてくる。
「黒髪。色白。細身。ツンとしてる近寄りがたい美人」
指で一本ずつ数えるみたいに、条件を並べる。
「わかりますか?あいつの好みは、全部シキ様に一致してるんです」
「それ、俺か?」
「はい!完全にシキ様でしょう!?だから嫌なんです」
言い切った依織の顔は少し怖くも感じた。黒髪、美人、近寄りがたい。う~ん……美人と言われて悪い気はしないが、ツンとしていると堂々と言われるとなんか腹立たしい。そんな素っ気ないのかな、俺。
「で?その距離感バグってる友達に俺が取られるかもって不安なんだな」
「違います。取られる取られない以前に、シキ様があいつに触られるのが嫌なんです。あいつ……狙ってる子には、露骨にボディタッチ激しくなるし……なんていうんだろう、気を持たせる天才?なので」
一度言葉を切って、依織はほんのわずかに眉を寄せる。
「とにかく!あいつにシキ様を見せるのは本当に嫌なんです」
俺は数秒、黙って依織を見る。その顔は険しく、本気で嫌なのが分かった。
「……なるほどな」
小さく頷くと、依織のまつ毛がぴくりと揺れた。
「わかった。じゃあ違う店にしよう。な?」
スマホを軽く振りながら言うと、依織は一瞬だけ目を瞬いた。
「いいんですか?」
「いいって」
あっさり言うと、依織の肩からふっと力が抜けるのが見えた。さっきまで張り詰めていた空気が緩んでいく。
依織は、どこかほっとした顔をしている。そんなに嫌だったのかよ。俺はスマホをくるりと手の中で回して、ポケットにしまった。
「で」
わざと一言だけ口にすると、依織が、反射みたいにこっちを見る。
「お前、行きたいとこないの?もしくは、よく行く店とかお気に入りの店とか」
「ないことはない、んですけど。俺のお気に入りの店でいいんですか?シキ様は行きたいところとかなかったんですか?」
「ここら辺詳しくないしな……お前がいいなら、そこに連れて行ってくれないか?」
素直にそう言うと、依織の目がわずかに丸くなった。意外そうな顔をしてから、少しだけ口元が緩む。
「もちろん!全然いいです!」
俺は一歩近づいて、軽く手を差し出した。
「じゃ、行こうか、ほら」
一瞬、依織の視線が俺の手に落ちる。
「……え」
俺の差し出した手と、俺の顔を見比べ、依織が瞬きを繰り返す。
「ん?案内してくれるんだろ?」
わざとらしく首を傾げて彼を見上げる。依織は数秒固まって、それから小さく息を吸った。
「……手、繋ぐんですか?」
「嫌ならいいけど?」
「嫌なわけないです」
依織は即答して、俺の手を掴む。指は絡まないものの、しっかりと手を握られる。
「ふふ、案内よろしくな」
軽く笑って言うと、依織の喉がかすかに鳴った。握られた手に、ぎゅ、と力がこもる。
「……任せてください」
「あぁ、楽しみにしてる」
俺はわざとらしく握った手を揺らした。
「黒髪。色白。細身。ツンとしてる近寄りがたい美人」
指で一本ずつ数えるみたいに、条件を並べる。
「わかりますか?あいつの好みは、全部シキ様に一致してるんです」
「それ、俺か?」
「はい!完全にシキ様でしょう!?だから嫌なんです」
言い切った依織の顔は少し怖くも感じた。黒髪、美人、近寄りがたい。う~ん……美人と言われて悪い気はしないが、ツンとしていると堂々と言われるとなんか腹立たしい。そんな素っ気ないのかな、俺。
「で?その距離感バグってる友達に俺が取られるかもって不安なんだな」
「違います。取られる取られない以前に、シキ様があいつに触られるのが嫌なんです。あいつ……狙ってる子には、露骨にボディタッチ激しくなるし……なんていうんだろう、気を持たせる天才?なので」
一度言葉を切って、依織はほんのわずかに眉を寄せる。
「とにかく!あいつにシキ様を見せるのは本当に嫌なんです」
俺は数秒、黙って依織を見る。その顔は険しく、本気で嫌なのが分かった。
「……なるほどな」
小さく頷くと、依織のまつ毛がぴくりと揺れた。
「わかった。じゃあ違う店にしよう。な?」
スマホを軽く振りながら言うと、依織は一瞬だけ目を瞬いた。
「いいんですか?」
「いいって」
あっさり言うと、依織の肩からふっと力が抜けるのが見えた。さっきまで張り詰めていた空気が緩んでいく。
依織は、どこかほっとした顔をしている。そんなに嫌だったのかよ。俺はスマホをくるりと手の中で回して、ポケットにしまった。
「で」
わざと一言だけ口にすると、依織が、反射みたいにこっちを見る。
「お前、行きたいとこないの?もしくは、よく行く店とかお気に入りの店とか」
「ないことはない、んですけど。俺のお気に入りの店でいいんですか?シキ様は行きたいところとかなかったんですか?」
「ここら辺詳しくないしな……お前がいいなら、そこに連れて行ってくれないか?」
素直にそう言うと、依織の目がわずかに丸くなった。意外そうな顔をしてから、少しだけ口元が緩む。
「もちろん!全然いいです!」
俺は一歩近づいて、軽く手を差し出した。
「じゃ、行こうか、ほら」
一瞬、依織の視線が俺の手に落ちる。
「……え」
俺の差し出した手と、俺の顔を見比べ、依織が瞬きを繰り返す。
「ん?案内してくれるんだろ?」
わざとらしく首を傾げて彼を見上げる。依織は数秒固まって、それから小さく息を吸った。
「……手、繋ぐんですか?」
「嫌ならいいけど?」
「嫌なわけないです」
依織は即答して、俺の手を掴む。指は絡まないものの、しっかりと手を握られる。
「ふふ、案内よろしくな」
軽く笑って言うと、依織の喉がかすかに鳴った。握られた手に、ぎゅ、と力がこもる。
「……任せてください」
「あぁ、楽しみにしてる」
俺はわざとらしく握った手を揺らした。
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