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#12 神様のアルバイト
しおりを挟むその晩、天之御中主神が本殿に戻ると、衣桁にかけられたコートをしげしげと眺めている子供がいた。
本来、何人たりとも立ち入ることができない本殿の最奥である。だが天之御中主神はその背を見てにこりと笑った。
「安徳天皇」
呼ばれて子供は振り返る。
水天宮の祭神が一柱、源平合戦の折り、僅か八歳で一族もろとも入水し崩御した天皇だ。
「お前も、現代の服が気になるか?」
言われて安徳天皇は笑顔で小さく頷く。
「ふむ。着る事はもちろん、触れる事も叶わぬが……」
天之御中主神は知っている、幼くして天皇に据えられ、訳も判らずに海中に沈んだ御霊の淋しさを。その御霊を慰める為に神として祀られたとて、それがどれほどの慰めになるのか。天之御中主神はこの幼神と長きに渡り水天宮に存在してきた、人は勝手にこの幼い天皇を水と子供の守り神と崇めているが、もちろん安徳天皇にそんな力があるわけがない。ただのあどけない子供だ。
「──うむ。たまには俺から贈り物をしてやってもいいだろう」
天之御中主神は名案が浮かんだとばかりに嬉しそうに言ったが、安徳天皇はきょとんとするばかりだ。
***
そして、朝の祝詞の折りに。
「はい? プレゼントですか?」
健斗が眉間に皴を寄せて言った。
「ぷれぜんとと言うのか。うむ、それを安徳天皇にしてやろうと思う」
「安徳天皇」
健斗は思わず復唱した、健斗が知らぬはずが無い、水天宮の二大祭神だ。他に安徳天皇の母の建礼門院や、祖母となる二位の尼と共に祀る神社もあるが、こちらでは天之御中主神と安徳天皇のみとなる。
「俺も明香里にコートや靴をもらって嬉しかったからな。安徳天皇にも味わってもらおうと思って」
「以前にも言いましたが、モノはタダでは手に入りません」
「うむ、だから、どうしたら良い?」
「本気で言ってます?」
「もちのろんだ」
「──でしたら」
健斗は、にやりと意地悪く笑った。
*
明香里がいつもの待ち合わせ場所へ来ると、待っていたのは白狐だった。
ちょこんと座った可愛らしいその姿に、思わず笑顔になる。
「あれ? 狐さんだけ?」
「はい、お迎えに参りました」
「迎え?」
「はい、本日天之御中主神さまはお越しになれないので、明香里さまを水天宮へお連れしろと」
「え……来れないって……」
途端に明香里の背に冷たいものが流れた、ついに元の霊体に戻りその姿を見られなくなってしまったのかと。
「心配はございません、なにやら忙しいからとウキウキワクワク、楽しそうに私を使いに出したまで。さあ、どうぞ、こちらへ」
狐は先頭を切って尻尾を振って歩き出す。明香里は事実を確認できないまま、その後をついていった。
しかし、狐に問い質すまでもなかった、境内に天之御中主神の姿を見つけてほっとする。
(まだ、見える)
天之御中主神は見慣れぬ袴姿で、鼻歌交じりに竹箒で石畳から砂利を避けていた。
人の近付く気配に顔を上げる、明香里の姿を認めてこれでもかと破顔した。
「明香里!」
嬉しそうな声に、明香里も笑顔になる。
「天之くん、なにしてるの?」
「掃除だ!」
「それは見ればわかる、なんで掃除してるのか聞いたの」
「あるばいとだ、お金が必要になってな!」
「アルバイト……? お金なんて何に使うの?」
「安徳天皇にぷれぜんとをしようと」
「あんとくてんのう?」
思わず繰り返すと、狐がこの水天宮の祭神の話をしてくれた、明香里は氏子のくせに誰が祀られているかなど気にした事がなかったと改めて思った。
「あー……日本史で勉強したな……安徳天皇さまはどちらにいらっしゃるの?」
壇ノ浦の戦いと称される戦で崩御した天皇を思い出す。
「ここだ」
天之御中主神が自らのすぐ脇で、手の平を下にして差し出した。その形から頭でも撫でているのだろうと想像できた。手の平は、天之御中主神の腰の高さだ。
その小ささに、自分の意思ではなく大人の都合で入水した天皇の事を思い、胸が苦しくなった。
「安徳天皇さま……私からもなにか贈り物を……」
先程まで天之御中主神が手を差し出していたあたりを見つめて言ったが、
「明香里、安徳は今、明香里のすぐ前にいる」
「──あ」
慌てて視線を落としたが、その姿を見る事は叶わない。
「何もいらない、頭を撫でてくれと言っている」
「え、でも……」
姿も見えないのに、と思ったが。
「ここだ」
天之御中主神が笑顔で明香里の手を取り、それと思ぼしき場所へ導いてくれた。
明香里は指を広げて、想像を巡らせてその頭を撫でた。肖像画はうろ覚えだが見たのは覚えている、おかっぱ頭の少年だったはずだ。
たった8年で、逸話では祖母か侍女かに抱きかえられ、水に飛び込んだ子を思うと胸が締め付けられる。手の平になんの感触もないのが辛かった。
「──君も顕現できたらいいのにね。そしたらぎゅっとしてあげられるのに」
思わず呟くと、明香里の手を握ったままの天之御中主神は、その手をぐいっと乱暴に上げた。
「きゃ……っ! なに!?」
片手だけ万歳の形にさせられ、明香里は声を上げる。
「そんな事は許さん、明香里に触れていいのは俺だけだ」
「えっ、安徳天皇はまだ子供でしょ! 子供にやきもち妬くなんて、心、狭過ぎじゃない!?」
「神だって、嫌なものは嫌なんだ。あ、こら、安徳、調子に乗って抱き付こうとするな」
全くの空っぽの空間に向かって怒鳴り、喧嘩を始める天之御中主神に、明香里は呆れた溜息を吐いた。
「っていうか、天之くんは安徳天皇さまは見えるのね」
「ん? そうだな、こら、安徳!」
なにもない空間なのに、両手でなにか掴むようにして持ち上げた。それはやはり、人と神との間の存在なのだとわかる、つまりは、いずれは見えなくなってしまう存在だということだ。
思わず唇をかみしめた時、社務所の引き戸が開き健斗が姿を現す。
「やあ明香里さん、お元気そうでなりよりです、ちょっとお話があるんですが」
「権禰宜さん、神様を働かせるのはどうかと思います」
明香里はすかさず異論を唱えた、健斗は芝居じみた溜息を吐いて応える。
「お金の価値を知らしめるにはいい機会でしょう。神様とはいえ、社会経験の低さは子供と一緒です。欲しがるだけモノを与えていては教育にはよくありません」
「でも──」
この人は永遠にここに居る訳ではない──そう言いかけてやめた。それを自分で肯定するのは心が引き裂かれそうだった。この刹那だけでも楽しみたいなどと……。
「なあ、だいぶ働いたぞ! 賃金はいかほどだ!?」
「だいぶ……」
健斗は着物の袷から懐中時計を出して時間を確認し、自らの財布を出して小銭を渡す。
「まだ30分ほどですから通常なら発生しないお金ですが、まあ体験としてお渡ししましょう」
そう言って百円玉二枚を指に挟んで差し出した。
「え、30分で200……っ」
最低賃金にも満たないと明香里が声を上げかけたが、健斗は空いた手の人差し指をすかさず自身の唇の前に出した。思わず明香里は黙り込む。
「おお、200円か!」
天之御中主神はわからずに嬉しそうに受け取った。
「明香里、早速何か買いに行こう! 権禰宜! 少し留守にするぞ!」
「え、それって」
嬉しそうに言う天之御中主神に、明香里は戸惑って声を上げる。
「安徳天皇さまに何か買ってあげるんじゃないの?」
何を買うつもりかはわからないが時給400円では、いつ貯まることやらである。貴重なお金だ。
「せっかくもらった初めての賃金だ、明香里のために遣いたい!」
そんな無邪気な願いに、明香里は素直に頷いてふたり揃って境内を出ていた。
とは言え、遠出が出来る訳ではない。そして天之御中主神が行ける範囲にあるのは、住宅と会社と、個人商店の米屋や豆腐屋だったり、あるいはコンビニ程度だった。
そのコンビニに、明香里が誘って入って行った。
「いらっしゃいませー」
レジにいた女性店員の挨拶の語尾が、やたら色っぽくなったのはなぜだろうか。
明香里は棚を物色しながら店内を一周した、天之御中主神は初めてのコンビニエンスストアにワクワクした様子で、全てのものを見ようとするかの如くきょろきょろしながらその後をついて行く。
「……そうだなあ、やっぱ寒いから、肉まんかな」
「にくまん? なんだそれは?」
「これ」
レジの脇のスチーマーを指さした、つやつや、ふわふわとした白く丸い物体に、天之御中主神は目を輝かせる。
「なんともうまそうだ! いいな! 他に欲しいものはないか!?」
「200円じゃ、これが限界だよ」
「え?」
天之御中主神にも計算はできる、スチーマーにかかった値札を見て、はあ、と大きな溜息を吐いた。
「──金を稼ぐとは難儀な事だ」
「そうだね、簡単にはいかないね」
「なのに明香里は俺のために……」
「あ、いいのいいの。あれは私が頑張って稼いだわけじゃないし」
月々もらっている小遣いや、お年玉を貯めて買った物だ。遣うあてもないのでコツコツと貯めてきたが、天之御中主神のためになら遣ってもいいと思えたお金である。
「それに、せめて最低賃金がもらえてれば、二個くらいは買えるんじゃ……」
思わず小声で呟いてしまった、天之御中主神に聞き返されたが明香里は誤魔化してやり過ごす。
袋に入れてもらった肉まんを、温かいうちに食べようと川沿いのベンチに座って早速開けた。外の冷気に触れたそれは、真っ白な湯気を上げる。
「はい」
明香里が笑顔で差し出すのを眩しそうに見ながら、天之御中主神は言う。
「先に明香里が食べろ」
「でも、天之くんが頑張って稼いで買ったのに」
「明香里のために買ったんだ、明香里が食べろ」
「そっか、ありがと。じゃあ、もらうね。いただきます」
明香里は大きな口を開けてそれを頬張った、端を綺麗な半円型にかじり取られた肉まんを明香里は差し出す。
「おいひい。天之くんもどうほ」
口から湯気を吐きながら明香里は言った、天之御中主神は無言で受け取り、しばし明香里がかじったその場所を見つめた。
「天之くん?」
「この小さな肉まんで150円もするんじゃ、明香里がくれた服や靴は、いかほどなんだ?」
単に大きさだけで価格は決まらないと天之御中主神だってわかるが、それでも何倍もするであろうことは想像に難くない。
「……天之くん……」
質問の意図を悟って、思わず呟いた。自分がよかれと思ってしたプレゼントが、あるいは自己満足でした事が天之御中主神の気がかりになってしまっていると。
「──プレゼントの値段を聞くなんて、失礼だぞっ」
笑顔でそう答えていた。
「しかし」
「私があげたくて買って来たんだもん、気にしないで。貰ったお小遣いは使い道がなくて貯めただけだし、それを天之くんに遣いたいって思ったの。それで天之くんが喜んでくれたなら嬉しい」
「明香里にもお返しをしたいと思っていた。だがそれはいつになることやら」
「値段じゃないよ」
天之御中主神の言葉を遮るように言った。
「肉まんだっておいしくてあったかくて嬉しかった、これでじゅうぶんだよ。私の望みは、天之くんのそばにできるだけ長く居たいだけ」
「明香里……」
「天之くん自身がどうこうできないことはわかってる。それでもお願い、少しでも長く、こうしてそばにいさせて」
願いを込めて天之御中主神の腕に手をかけ体をもたせ掛ける、ひんやりとする体がその存在を示してた。
明香里のつつましやかな願いに天之御中主神の心がときめく。艶やかかな髪にキスをし、さらに空いた手を明香里の顎にかけ優しく持ち上げた。明香里は素直に従い、天之御中主神を見上げる、天之御中主神の熱い視線に見入られて、揺れる瞳を閉じた。
天之御中主神は頭を傾けその唇にキスをする、一度はすぐに離れたが再度触れると今度は深く求め合う。
随分と長くそうしていた、僅かに唇が離れた時、明香里は小さな声で言う。
「──肉まん……冷めちゃうよ?」
天之御中主神は明香里の唇を舐めてから応える。
「──なにやらうまそうな匂いがする、このまま明香里を食べてしまいたい」
それが今しがた食べた肉まんの匂いだと判って、明香里は慌てて天之御中主神から離れた。
「も……っ! デリカシーない!」
頬を赤らめて怒る明香里に、天之御中主神はきょとんとする。
「でりかしー?」
聞いたが明香里は応えず、真っ赤になったままそっぽを向いて口を押えている。
その意味が判らない天之御中主神は、手に持ったままの肉まんを頬張った。その瞬間判った。
「──ああ、これの匂いか!」
聞いて明香里はますます赤くなる。耳の先まで赤くなったのが、天之御中主神からも判った。
「なあ、同じ匂いになった」
意地悪い笑みで言う。
「もうっ、だから何!?」
「恥ずかしがることもあるまい」
「そんな問題じゃ……っ」
なおも抗議しようとしたのに、その頬に指が掛かって無理矢理天之御中主神の方を向かされた。
「天之……っ」
呼びかけたその口を唇で塞がれる。馬鹿、と思う間に何かが押し込まれた、確かめるまでもない、肉まんだ。
(嘘……っ!)
戸惑う間に唇は離れた、目の前に笑顔の天之御中主神の顔がある。
「うまいか?」
明香里は口を押えたまま何度か咀嚼してから嚥下し、そのまま呟いた。
「──いやらしい」
「嫌だったか。俺ひとりで食べてはいけないと思ったのだが」
「──私はもう食べたし」
「遠慮するな、ほら、食べろ」
無邪気な笑顔で肉まんを差し出され、明香里も笑顔になるしかなかった。
「──もう、その天真爛漫さが、あざといんだから」
あざといとは言ったが、それが計算された行為でない事は百も承知だ。
天之御中主神によりかかって、その手にある肉まんにかじりついた。天之御中主神も続いてそれを口に放り込む。ふたりで笑いながら小さな肉まんを食べ続けた。
短い逢瀬の時間は瞬く間に過ぎていく、永遠ではないその時間が。
*
水天宮に戻る天之御中主神と共に、明香里もやってきた。社務所に声を掛けると健斗が姿を現す。
「あの、私も雇ってください」
開口一番言うと、健斗は目を細めて笑った。
「もちろんどうぞ、実はこちらからもお声を掛けようかと思っていたのです」
「え、なんでですか?」
「うちのご祭神に大層な贈り物をしてくださってるので、所持金は大丈夫かと思いまして」
そんな言葉に天之御中主神が心配そうに明香里を見た、その視線をわずかに感じて明香里はとびきりの笑顔で応える。
「それは全然、無理して買ったわけではありません」
「ではなぜ、バイトをしようなどと」
「私の分のお金も、天之くんに払ってあげてください」
「それは──」
健斗は内心焦る。さっきの200円はちょっとしたシャレのつもりだったが、明香里が真に受けていると判った。
「大丈夫ですよ、あれは払えと言われたから手持ちで払っただけです、うちで決めている時給はちゃんと支払いますから。既に買いたいものも決まっているので、その金額に達したらその場で買って差し上げて仕事は解放です」
ネットで相談して決めた。もっとも健斗と天之御中主神が相談した訳ではない、パソコンを操作する健斗の傍らで、天之御中主神があれかこれかと独り言を言いながら決めたのだ。その独り言は、もちろん、健斗には見えない安徳天皇との相談だ。
安徳天皇はやはりまだ子供だ、スロープを車が滑り落ちていく木製の玩具を欲しがった。
「二、三日もすれば買えるでしょう」
「本当か!」
天之御中主神が喜ぶ。
「そうですか、よかった」
まともな支払いがあるならばと明香里も安心する。
「あ、でも明香里さんが働いてくれるのは大歓迎なので、来てください」
「え、でもだったら私は働く理由が……」
「安徳に買ったら、明香里にも買う!」
「え、それは要らないって言ったじゃん」
「俺も嬉しかった!」
天之御中主神は大きな声で言う。
「明香里からのプレゼントは、いつも明香里がそばに居てくるような気がして、いいものだ! 明香里にもそういう気持ちになってほしい! だから頑張る!」
「──だそうです、明香里さんもいてくださると、天之御中主神さまの士気もあがると思います」
「え、でも……」
「どうせ毎日天之御中主神さまとは逢っているのでしょう? だったらその時間を働く時間にしたらいいではないですか」
「──なるほど」
明香里は単純にも納得した。
お金は必要ではないことは無い、何故なら、天之御中主神に全ての衣類を揃えてやりたいと思っているからだ。理由は自分がこの地を離れる前に自分の思い出を残していきたいという不純なのもだが、十分一石二鳥になるではないか?
「うん、お世話になります」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
「明香里! 同僚だな! よろしくな!」
人目も憚らず抱き合うふたりに、健斗はただ肩を竦めた。
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