もふもふ至上主義ですが、なにか?

犬丸大福

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道中、ばぁちゃん無双。いえ、孫もです

幕間 泣き虫ちびクマ

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俺は今でこそギルドマスターだが、大王に会った幼少期、ちびでヒョロガリの弱虫だった。

獣人族は力が強いヤツが正義、みたいなところがある。

そんな中で、俺は熊族という強い一族で、父親はこの辺り一帯のまとめ役。兄3人も揃って大柄、なのに俺だけちびで本を読むのが好きだったが、両親はそれも個性と本を良く買い与えてくれたし、兄達も書類仕事はお前に任せる、俺達の代は安泰だな、と豪快に笑う仲の良い家族だった。

そんな俺に目をつけたのが、豹族。

軟弱な俺を誘拐して、こんな軟弱な奴を輩出する家に、それを切り捨てる勇気も度胸も判断力もない奴らがまとめ役なんてしていたら、何かの時には巻き添えを喰らうだろう、冷静な判断力と策を練る力の有る豹族こそが望ましい、と家族を脅す算段だった、らしい。

奴らの目論見は、半分成功した。

俺はあっさり誘拐されたから。

でも翌日、俺が監禁されてる部屋に、後ろ手に縛られたとんでもない美人の人間が、乱暴に俺と一緒の部屋に入れられた。

アイツら、人身売買にまで手を出すつもりか?!アイツらにまとめ役なんてさせたら、弱い奴らは皆売られちまうじゃないか?!
って、俺は焦った。俺なんか弱くて役に立たないから切り捨てて、豹族なんて一網打尽に捕まえてくれ、って家族に伝えたかったけど、そんなこと出来るわけでもなく。

不甲斐ない自分が悔しくて涙が出てきた。

そしたら、その美人が
「おいおい、クマの子供かい?泣いてるのか?まぁなぁ、そんなにちびなら、クマだって怖きゃ泣くわな」
めっちゃ口の悪い美人。

見た目のキラキラしさと、口から出てくる柄の悪い言葉のギャップに思わず呆然とその人の顔を眺めた。

「おい、泣き虫ちびクマ。アンタはクマだろうよ。ネズミならブルブル震えてるだけかもしれないが、いや、ネズミなら真っ先に逃げる算段をするだろうね。
クマなら戦うポテンシャルを秘めてないのかい?」

「…俺、ちびで弱いから。だから狙われた」

「いやいやいやいや、弱い事を選択してるのはお前だろう?
お前、ウサギを前に〝俺、弱いから〞とか言えるか?ウサギ的に、なに言ってんだお前、ってなるぞ?」
呆れたように言われた言葉に愕然とした。

俺が、弱い事を選択してる?

「本当に弱いなら、弱い事を前提に行動してるだろうよ。草食動物の警戒心と機敏性を知ってるだろう?

お前は、ってだけだろう?」

びっくりした。
そうだよ、もし試合なんてもんがあったら、タヌキにも、多分本気出せばシカにも勝てるだろう。

俺はんじゃない。

「まぁ、得手不得手があるわな、戦いが嫌いってなら仕方ないが、お前、誘拐されるくらいだ。良い所のぼっちゃんだろう?今後、身を守る術ぐらいは習っときな。イタチにお前の護衛は酷だろう?」

うん。もしそんな事になったら、それは俺が護衛を守る立場になりそうだ。

いつの間にか、後ろ手で縛られてた縄が切れてて、美人は仁王立ちしてた。

「さぁて、誘拐されてんのはお前だけかい?もっと居るかと思ったが。
お前しか居ないなら簡単だわな。こんな不愉快な場所は、とっととおさらばしようや」

美人は凶悪な笑顔を浮かべ

「桜子!!」

そう叫ぶと、ワン!と犬が飛び出してきて、

「さぁ、泣き虫ちびクマ。アタシのそばに来な。怖いならアタシの足にしがみつくと良い」
そう言って、俺をそばに寄せると、頭を撫でて、ニヤっと笑うと

「行くよ!!派手に吹き飛べ!!!」   グゴオオオォォォォ!!!

両手を上げて叫んだ、と思ったら、俺と美人は竜巻の中心にいて、回りは風の渦、家具やらが宙を舞ってると思ったら、壁も、屋根も全て吹き飛び、怖くなって目を閉じ足にしがみついた。

「アーッハッハッハッハ!!」
頭上から笑い声がして、顔を上げると

更地に仁王立ちで高笑いする美人と、その足にしがみつく俺。





「ギルドマスター!!ちょっと聞いてます?
あんな細い美人と子供だけのチームで3級っておかしいでしょう?!!」

探索者の証明書が出来たのでちょっと来てほしいと言われ、大王達を部屋に残しギルド員達が仕事している場にやって来て、そんな事を言われて、思わず大王との出会いを思い出していた。

ギルドの職員達も怪訝な顔で俺を見ている。

ああー、注意が必要か。

「良いか、良く聞け。
俺達獣人は力が強い。それは本当だ。

でもな、俺が一発で破壊出来るのは、せいぜい家の壁一枚だ。

だがなぁ、一流の精霊遣いは腕の一振で竜巻を起こすんだよ。そして大王なら出来る。

…お前ら、竜巻に拳で勝てるか?」


ギルド内は一瞬、静寂に包まれた。
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