絶壁の少女と異世界魔王

桜夜百合

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フェンリル

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「起き・・・」

ぼんやりした意識の中誰かの声が遠くで聞こえる。

「起きて・・・」  

透き通るような幼い女の子の声。

「起きてください」

意識がしっかりとしてきてはっきりと聞こえた声。
次第に視界もしっかりしてきた。
目の前には金髪の長い髪の少女がこちらを見下ろしている。

あれ?気を失ってた?
確か少女が空から降ってきて・・・
だんだんと気絶前の事が頭をよぎる。

「気がついた!」
「狼の群れに囲まれてて、あわてて魔法障壁を張ったんですけどどうにもできなくて・・・」

狼ですと?
あわてて身体を起こすと目の前に狼が飛びかかってきていた。

「うおっ!?」

とっさに出た声と共に反射てきに両腕で顔を守った。 

バチッという音の後、飛びかかってきた狼が後ろにふっ飛ぶ。

しかし狼は空中でバランスを取るとしっかり着地している。

周りをよく見ると少女を中心に半透明な円形の障壁が自分たち上を覆っている。
下には黄色の魔方陣が障壁を半分に輪切りにする様に広がりうっすらと輝いている。

この障壁があれば攻撃を食らう事はないけれど、こちらからは攻撃できない。
問題はこの魔法がいつまで続くか。

「この魔法はいつまで持ちそう?」

「わかりません、私もこんな長く魔法使ったことなくて・・・」  

「消えるのも時間の問題か・・・」
 
下に落ちていた5センチほどの石を無意識に拾い握りしめた。
ミシミシという音がすると拳の中の石が砕ける。


もしかしたら・・・

「君、名前は?」

「セシリア・・・」

小さく消えそうな声でそう答えた。

「セシリア、この魔法障壁を合図をしたら一瞬だけ消して。その間に俺が飛び出して狼をなんとかする。俺が飛び出したら、すぐまた障壁を張るんだ。できる?」

セシリアは小さく頷いた。

狼も障壁で何度もはね飛ばされているからか、攻撃するの止め威嚇するように、周りをぐるぐる歩いている。

「3、2、1、いまだ。」

合図と共に障壁が消えると一匹の狼に向かって走りだした。

身体が軽い。
まるで重さが無いようだ。

「いっけー」

10メートル程の距離を一瞬で詰めると狼に向かって全力で蹴りを入れた。

ズガガッガガ

爆音と共に狼は一直線に森の木々をなぎ倒しながら飛んでいく。

後ろを振り向くとセシリアはしっかりと魔法障壁を張っていた。   

10秒ほどたったがまだ小さく木々をなぎ倒す音が聞こえる。

「どんだけ遠くまで飛んで行ったんだろ・・・」

と小さく呟いた。


狼達はその光景を見た直後、距離をとり警戒しているようだ。そして一斉に遠吠えを始めた。

ダッッッダッッダッダダダ

何か巨大な物の足音が急速に近づいてくる。

月?の様な星の光に照らされて見えたのは巨大な狼だった。

怯えた様な声でセシリアが言った・・・

「フェンリル・・・」 
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