お兄へ、身分が違っても私にとってはいい恋でした

園田美栞

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兄は知ってるよ

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「なぁ、お松!」

千代の茶屋からの帰り道、お松に声をかける者がいた。

「あ!お兄!」

彼女の後を歩くのは、竹吉だった。

「また、伊吹んとこからの帰りか」

「お兄には関係ないでしょ、またどこかふらふらと」

伊吹の名前を出せば顔を赤くする妹を見て更にいじりたくなった。

「もしや、お前も伊吹にほの字か?」

そう言ってにやにや笑う兄に、持っていた風呂敷で兄の背中を叩いた。

「うるさい!うるさい!」

バシバシ叩くそれからよけながら、竹吉は笑っていった。

「どいつもこいつも、恋の話か」

「へ?」

お松は叩くのをやめ、誰のことを言ってるの?と聞き出した。竹吉は小さな声でお松の耳元で囁いた。

「千代ちゃんだよ」

「え!千代が⁉」

思わず大声をあげてしまったお松に静かにと人差し指をたてた。

「この間、伊吹んとこに侍が来たろ?」

「あぁ~」

人の恋路は面白い。聞いてるのも見てるのも自分のはなかなか思うようにいかないけれど、他人のだったら笑ってみてられる。
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