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六日目
三
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創造主は答えた。
「私はヤハウェであり、デミウルゴスであり、ブラウマーであり、天之御中主神であり、盤古であり、プタハであり、フラカンであり、その他諸々の神であり、宇宙と天地創造の神である。宇宙の絶対神は私のみである。私はその地域、地域で生きる民族がわかりやすいように息子らを遣わした。息子らは私の声を聴き、それぞれの地域で、それぞれの言語で広めたが、表現が違っていても説いている真理は同じである。聖戦や天誅などは、息子らの言葉を利用して、自分達の得になるように時の人間達が勝手に解釈したものだ。戦う相手も神の子であるし、食べ物になる者も神の子である。自分と相対するすべての者には、その者を案ずる家族がおり、私の御心が宿っていることを知りなさい。また、相手の信じる神を大切にしないということは、自分の信じている神、すなわち私を大切にしないのと同じことである。神の言葉を盾にして命を奪い合うことは、最も愚かな行為である」
「コーランの中には聖戦(ジハード)を認める言葉があります。ムスリムの教えは間違っているのでしょうか?」
ヒジャーブで髪や肌を覆っているムスリムの女性がおどおどした声で尋ねた。
「ムハンマドの言うジハードとは戦争のことではない。コーランに記してある大ジハードも小ジハードも神の道を実現するために、各々が自らの心の中及び社会の堕落・怠惰・腐敗などの諸悪に打ち勝つよう努力することであってムスリム以外の者達との戦争を認めている言葉ではない。ましてムハンマドはコーランにおいて宗教に無理強いは禁物であると説いているではないか」
「イスラム教の言葉に『右手にコーラン、左手に剣』という言葉があると聞いたことがあります。これは『改宗か死か』を異教徒に迫る時の言葉だって聞いたのですが・・・」
スーツ姿の品の良さそうな六十代の紳士が被っていた帽子を脱ぎ、それを胸に当てながら天に向かって質問した。
「正しくは『コーランか然らずんば剣か』である。神の元へ進むための道を説いたものであり、改宗を迫る言葉ではないし、ましてや戦いを容認する言葉などではない」
「キリスト教にだって十字軍っていうのがあって、イスラム教や異端者に対して遠征して戦っていたぞ」
「日本の幕末にも『天誅』って言って、朝廷に逆らう者を殺していたな」
「宗教じゃないけど、共産主義者達だって思想を掲げていろんな国で武装闘争したことがあったな。ちょっと話がそれちゃうかもしれないけど。国同士だって武力制圧なんてしょっちゅうしてるし」
人々は口々に思い出したように宗教や思想による戦いを挙げた。聖職者や為政者達が困惑し、慌てているようすがすべての生き物達に伝わっている。
「何度も言うが、どの宗教も私の元へ進む道を説いている。書物の中での戦いは『己の弱さ』との戦いであって、人間同士が戦うことを認めてはいない。これはどの宗教でも同じである。戦うための口実として宗教や思想を掲げる者は、イエスやムハンマドをはじめ、開祖となった者達の前で堂々と立っていられるだろうか。彼らが歓び、褒め称えると本心から思っているのだろうか。『己の弱さ』に向き合おうともせず、人々を戦場に送り込む行為は、いかなる理由を並べようとも称賛されるべき行為ではないし、神と神の息子らと自らを貶める最も愚かな行為である」
人々の中からすすり泣く声が聞こえてきた。どこの国においても、どの民族においても戦いの歴史がないところはなかったからであり、そのほとんどが戦いを先導する者達を英雄として讃えていたからである。聖職者や為政者達は口々に言い訳を繰り返していたが、多くの人々の嗚咽によって消されてしまい、誰の耳にも届くことはなかった。
「私はスターシードです。私の周りにはライトワーカーと呼ばれる仲間達もいます。呼び方は違いますが、高次元の意識を持ってあなたのもとに人々を正しく導くためにこの地球にやってきたニューエイジです。私達は日々世の中にメッセージを送っています。その力をもってしても地球を救うことはできないのですか?」
両手を天に向けて一人の女性が尋ねた。
「私も琴座にあるベガという恒星の近くにある惑星カデンスに住むタケルという未来の自分から魂の進化についてメッセージを受け取っています。私一人のことではなく誰にでも共通することだと思うので、本や動画で人々にアファメーションや祈りのワークの必要性を伝えています。地球の危機が迫っているとは聞いていましたが、あなたがこのような行動をとるとは聞いていませんでした。なぜ私達の力をもっと信用してくださらないのですか?」
背の高い細身で長髪の男性も彼女の後に続く。
「なぜ、あなたやあなた達の周りの者だけが選ばれた者や目覚めし者達なのだろうか。なぜあなた達は不特定多数の者達にしか呼びかけないのだろうか。この世に生きている者達は皆ひとり一人違った課題を持って生れてきている。その課題に対する解決方法はひとり一人違うし求めている答えが同じであることは決してない。質問する者が皆違うからである。たとえ質問が同じであっても質問者の生まれ育った土地や家族、性別や年齢、考え方や生活している環境などが全く同じということはありえないからである。それなのにあなた達はなぜ個人に対する答えと向き合おうとはせずに本や動画で皆が知っている当たり前のことを私の言葉であるかのように伝えるのだろうか。あなた達の言葉の中には彼ら彼女らの求めている真の答えや解決策はあったためしがないではないか。あなたやあなたの仲間達が高次の魂を持って生れてきているのなら、この世界に生きている者達も同じであり、転生の回数に差はあるが誰一人として他の惑星を経験してきていない者はいない。動物や鳥や虫や魚達、微生物やウイルス達においても同様である。あなたやあなたの仲間達だけが特別なのではない。それを解らないでどうして目覚めているといえるだろうか。どうして高次の意識を持った魂だといえるだろうか。あなたやあなたの仲間達の言葉は人々を救うためのものではなく、自分の生活を守るための手段のひとつであったことを認めなければならない。真剣に地球やこの世に生きる者達のことを考えているならば、本や動画などといった一方的な手段を使うのではなく、個々の魂と向き合って導くことが重要であることに気付きなさい。すでに目覚めている者達は社会の様々な分野で目の前にある出来事や困難に向き合って周りの者達と共に魂の成長に励んでいる。その者達は決して自分から特別な存在だと名乗ったりはしない。人間や悪魔達の放つマイナスエネルギーの強さと危うさを知っているからである。自分が特別であるという意識の裏には甘い囁きがあり、常に誘惑があることをあなたやあなたの仲間達は知らなければならない」
「でも、現在(いま)はそういう時代です。誰もが自由に発信できる時代です。私達スターシードがなぜ時代に合った方法で情報を発信してはいけないのでしょうか」
「いけないと言っているのではない。あなたやあなたの仲間達だけが特別な存在ではないということに気付くことがあなたとあなたの仲間達にとって発信することよりも重要なことであると言っているのだ。この世に生きる者達皆が特別な存在であり、あなたやあなたの仲間達の言うスターシードでありライトワーカーでりニューエイジであることに気付きなさい。そしてその者達と向き合って対話し共感し課題を乗り越える力を共に学びなさい。そうすることで目覚めていない者は目覚めることができるだろうし、すでに目覚めている者はより高次へと覚醒することができるだろう」
「でも、タケルはそうは言っていませんでした」
「彼は私の一部ではあるが、私そのものではない。彼もあなたや全ての者達と同じように私のもとへ帰る旅の途中にいる者であることに気付きなさい」
彼らは自分達だけが特別な存在なのではないと言われ、注目されたことによって築いてきた自信が身体の内側から萎えていくことを止めることができなかった。
「また、あの辛かった時代に戻れとあなたは言うのですか?」
一人の青年がうつむき、涙をこらえながら尋ねた。
「あなたが辛かったのは特別な存在だったからではない。あなたに起きた辛い出来事は覚醒するための試練だったのではなく、あなたが自分自身と向き合わないまま周りに合わせようとしたことで心に無理がかかったからだ。特別な存在であることに心の安らぎを求めていては決して魂の本質に辿り着くことはできない。『答えはあなたの外にあるのではなく、常にあなたの内側にある』これはあなたが良く使う言葉であるが、本質を理解してこそこの言葉が真理となりえるのである。どんな時も欲得から生じた言葉は理屈でしかないし、理屈は言い訳にしかならない。どんなに美しい言葉や理屈で心にある傷を覆っても治ったことにはならないし、乗り越えたことにはならない。見て見ぬふりをすることはさらにその傷をえぐることになるからである。他人に伝えながら自分の魂に言い聞かせるのはやめて心から理解することに努めなさい。そうすることであなたの心に安らぎが訪れ、満たされることによってあなたの周りにもやすらぎが訪れ、満ちていくであろう。考えるのではなく心の要求に従いなさい。そうすることであなたは救われるであろうから」
青年は跪き、人目を気にすることなく大声を上げて泣き伏した。
周りの者達も泣いた。創造主は青年に向けて話していたのと同時にすべての者達に語りかけていたからである。すすり泣きや嗚咽がいたる所で聞こえた。
「あなたは私達人間を、あなたに似せて造られた人間達を、お見捨てになるのですか?」
「私は何にも悪いことしていません。悪いのは政治家やテロ組織です!」
「どうか私達を救ってください!」
「どうか、お見捨てにならないで!」
人々は口々に創造主に助けを求めた。
「私が見捨てたのではない。私がこの世界で最も賢い者とし、自由と祝福を与えたあなた達人間が私を見失ったのだ。私は、私の創造したこの世界に存在する全てのものの中にある。私利私欲に心を曇らせず、常に心の目を開いていれば、私の存在に気付いたはずであるし、この星が悲鳴を上げることもなかったであろう。自由には責任が伴うものであり、欲得や支配から得た歓びには、多くの者達の涙と悲しみがあることを忘れてはいけない。あなた達の知恵と技術は、この世界を支配するためのものではなく、私と、そして多くの種族の者達と歓びを分かち合うために与えたものである」
「じゃあ、私達は何を食べて生きていけば良いのですか。野菜も肉も魚も、すべて神の子で、歓びを分かち合って生きるのであれば、殺しちゃいけないってことでしょ。家の中に虫が居たって殺しちゃいけないんですか?」
「その者達の明日を奪い、我が身に取り込むことによって、自分達の命を明日に繋げられることを歓び、感謝して食しなさい。生活の中で衛生の妨げになる者達の明日を奪うことに対し、その者達が来世において幸せに生きられるように祈りなさい。そうすれば、その者達も安心して次の世に進むことができるであろう」
創造主の言葉に人間達は何も言うことができなくなった。そして、この世にさまざまな命が存在していることを知らなかったことを恥じた。人々は、泣きながら神に許しを請うよりほかなかった。いたる所からすすり泣きの声が聞こえた。他の動物、昆虫、植物達の歓声が大地や空を震わせていた。
「待ってください・・・」
その時、人間達の中から小さな声が聞こえた。それはとても小さく、微かな声だったが、その声は創造主に届いた。
「私は、人間の皮膚の上で生きているニキビダニと呼ばれている者です。皆さんのお話を聞いていて、人間の罪深さがよくわかりましたし、皆さんの意見は最もだと思います。しかし、私達は人間が絶滅してしまうと生きることができません。他にも人間の体内には、寄生して生きているたくさんの仲間達がいます。その中には他の動物達の中で生きられる者もいますが、ほとんどは人間と命を共にしています。ですから私達は人間を選びませんでした。人間が滅んでしまうということは、私達も滅んでしまうからです。どうか私達を助けると思って、人間達を助けてはもらえないでしょうか」
その切実な訴えに、地球上の生き物達は沈黙した。
「私達も話して良いでしょうか」
海の底からの声に皆は耳を傾けた。
「私達は深い海、深海と呼ばれる所に住む者達です。この星がもっと若かった頃、現在の人間達の数世代前の人類が生きていた頃、地球の大地は一枚のプレートでつながっており、現在よりもなだらかな土地でした。私達は当時から海の深い所に住んでいましたが、海面の方で生きる者達の餌食にされることが多く、いつも逃げ回って、怯えながら生活していました。それが、当時の人類が犯した過ちで、プレートがひび割れてしまい、海の底も深い所と浅い所ができ、表面が動くようになりました。地上も無事ではなく、世界中がおさまることのない爆風と、有毒な科学物質が何百年も地表を覆い、当時の人類や地上に生きる者達、海面近くで生きる者達は皆死に絶えてしまいました。私達海の底に住む者達は、少数でしたが、かろうじて生き延びることができました。それというのも、その時のひび割れが、多くの時の中で衝突して深い谷となり、海の底がより深くデコボコになったことで、私達は安心して住む場所を得ることができたからです。現世代の人間達も当時の人間達と同様に、開発と言いながら平気で他人の領域を踏みにじっていますが、当時の人間達の愚かな行いがなければ、私達は今日現在まで生き延びてはこられなかったでしょう。地上は人間達が動きやすい場所なので、荒らされ方が私達の住む深海とは違うかもしれませんが、高い山に住む者達の中にも、ひょっとして私達と同じ理由で生き延びた者達がいるかもしれません。何度も失敗を繰り返している愚かな人間達ですが、過去から学び、真心を持って生きている者も多いはずです。地球自身が何とか再生しようと頑張っている今、人間達に、その持っている技術と知恵を活かす機会を与えてはどうでしょう。欲得で生きている人間達よりも、真心を持って生きている人間達が多くなり、私達と力を合わせることができれば、きっと現世代は自力で再生できるはずです。それが実現できれば、地球は、この宇宙の中で最も素晴らしい惑星になるのではないでしょうか」
すべての生き物達が、沈黙して創造主の答えを待った。
「私はヤハウェであり、デミウルゴスであり、ブラウマーであり、天之御中主神であり、盤古であり、プタハであり、フラカンであり、その他諸々の神であり、宇宙と天地創造の神である。宇宙の絶対神は私のみである。私はその地域、地域で生きる民族がわかりやすいように息子らを遣わした。息子らは私の声を聴き、それぞれの地域で、それぞれの言語で広めたが、表現が違っていても説いている真理は同じである。聖戦や天誅などは、息子らの言葉を利用して、自分達の得になるように時の人間達が勝手に解釈したものだ。戦う相手も神の子であるし、食べ物になる者も神の子である。自分と相対するすべての者には、その者を案ずる家族がおり、私の御心が宿っていることを知りなさい。また、相手の信じる神を大切にしないということは、自分の信じている神、すなわち私を大切にしないのと同じことである。神の言葉を盾にして命を奪い合うことは、最も愚かな行為である」
「コーランの中には聖戦(ジハード)を認める言葉があります。ムスリムの教えは間違っているのでしょうか?」
ヒジャーブで髪や肌を覆っているムスリムの女性がおどおどした声で尋ねた。
「ムハンマドの言うジハードとは戦争のことではない。コーランに記してある大ジハードも小ジハードも神の道を実現するために、各々が自らの心の中及び社会の堕落・怠惰・腐敗などの諸悪に打ち勝つよう努力することであってムスリム以外の者達との戦争を認めている言葉ではない。ましてムハンマドはコーランにおいて宗教に無理強いは禁物であると説いているではないか」
「イスラム教の言葉に『右手にコーラン、左手に剣』という言葉があると聞いたことがあります。これは『改宗か死か』を異教徒に迫る時の言葉だって聞いたのですが・・・」
スーツ姿の品の良さそうな六十代の紳士が被っていた帽子を脱ぎ、それを胸に当てながら天に向かって質問した。
「正しくは『コーランか然らずんば剣か』である。神の元へ進むための道を説いたものであり、改宗を迫る言葉ではないし、ましてや戦いを容認する言葉などではない」
「キリスト教にだって十字軍っていうのがあって、イスラム教や異端者に対して遠征して戦っていたぞ」
「日本の幕末にも『天誅』って言って、朝廷に逆らう者を殺していたな」
「宗教じゃないけど、共産主義者達だって思想を掲げていろんな国で武装闘争したことがあったな。ちょっと話がそれちゃうかもしれないけど。国同士だって武力制圧なんてしょっちゅうしてるし」
人々は口々に思い出したように宗教や思想による戦いを挙げた。聖職者や為政者達が困惑し、慌てているようすがすべての生き物達に伝わっている。
「何度も言うが、どの宗教も私の元へ進む道を説いている。書物の中での戦いは『己の弱さ』との戦いであって、人間同士が戦うことを認めてはいない。これはどの宗教でも同じである。戦うための口実として宗教や思想を掲げる者は、イエスやムハンマドをはじめ、開祖となった者達の前で堂々と立っていられるだろうか。彼らが歓び、褒め称えると本心から思っているのだろうか。『己の弱さ』に向き合おうともせず、人々を戦場に送り込む行為は、いかなる理由を並べようとも称賛されるべき行為ではないし、神と神の息子らと自らを貶める最も愚かな行為である」
人々の中からすすり泣く声が聞こえてきた。どこの国においても、どの民族においても戦いの歴史がないところはなかったからであり、そのほとんどが戦いを先導する者達を英雄として讃えていたからである。聖職者や為政者達は口々に言い訳を繰り返していたが、多くの人々の嗚咽によって消されてしまい、誰の耳にも届くことはなかった。
「私はスターシードです。私の周りにはライトワーカーと呼ばれる仲間達もいます。呼び方は違いますが、高次元の意識を持ってあなたのもとに人々を正しく導くためにこの地球にやってきたニューエイジです。私達は日々世の中にメッセージを送っています。その力をもってしても地球を救うことはできないのですか?」
両手を天に向けて一人の女性が尋ねた。
「私も琴座にあるベガという恒星の近くにある惑星カデンスに住むタケルという未来の自分から魂の進化についてメッセージを受け取っています。私一人のことではなく誰にでも共通することだと思うので、本や動画で人々にアファメーションや祈りのワークの必要性を伝えています。地球の危機が迫っているとは聞いていましたが、あなたがこのような行動をとるとは聞いていませんでした。なぜ私達の力をもっと信用してくださらないのですか?」
背の高い細身で長髪の男性も彼女の後に続く。
「なぜ、あなたやあなた達の周りの者だけが選ばれた者や目覚めし者達なのだろうか。なぜあなた達は不特定多数の者達にしか呼びかけないのだろうか。この世に生きている者達は皆ひとり一人違った課題を持って生れてきている。その課題に対する解決方法はひとり一人違うし求めている答えが同じであることは決してない。質問する者が皆違うからである。たとえ質問が同じであっても質問者の生まれ育った土地や家族、性別や年齢、考え方や生活している環境などが全く同じということはありえないからである。それなのにあなた達はなぜ個人に対する答えと向き合おうとはせずに本や動画で皆が知っている当たり前のことを私の言葉であるかのように伝えるのだろうか。あなた達の言葉の中には彼ら彼女らの求めている真の答えや解決策はあったためしがないではないか。あなたやあなたの仲間達が高次の魂を持って生れてきているのなら、この世界に生きている者達も同じであり、転生の回数に差はあるが誰一人として他の惑星を経験してきていない者はいない。動物や鳥や虫や魚達、微生物やウイルス達においても同様である。あなたやあなたの仲間達だけが特別なのではない。それを解らないでどうして目覚めているといえるだろうか。どうして高次の意識を持った魂だといえるだろうか。あなたやあなたの仲間達の言葉は人々を救うためのものではなく、自分の生活を守るための手段のひとつであったことを認めなければならない。真剣に地球やこの世に生きる者達のことを考えているならば、本や動画などといった一方的な手段を使うのではなく、個々の魂と向き合って導くことが重要であることに気付きなさい。すでに目覚めている者達は社会の様々な分野で目の前にある出来事や困難に向き合って周りの者達と共に魂の成長に励んでいる。その者達は決して自分から特別な存在だと名乗ったりはしない。人間や悪魔達の放つマイナスエネルギーの強さと危うさを知っているからである。自分が特別であるという意識の裏には甘い囁きがあり、常に誘惑があることをあなたやあなたの仲間達は知らなければならない」
「でも、現在(いま)はそういう時代です。誰もが自由に発信できる時代です。私達スターシードがなぜ時代に合った方法で情報を発信してはいけないのでしょうか」
「いけないと言っているのではない。あなたやあなたの仲間達だけが特別な存在ではないということに気付くことがあなたとあなたの仲間達にとって発信することよりも重要なことであると言っているのだ。この世に生きる者達皆が特別な存在であり、あなたやあなたの仲間達の言うスターシードでありライトワーカーでりニューエイジであることに気付きなさい。そしてその者達と向き合って対話し共感し課題を乗り越える力を共に学びなさい。そうすることで目覚めていない者は目覚めることができるだろうし、すでに目覚めている者はより高次へと覚醒することができるだろう」
「でも、タケルはそうは言っていませんでした」
「彼は私の一部ではあるが、私そのものではない。彼もあなたや全ての者達と同じように私のもとへ帰る旅の途中にいる者であることに気付きなさい」
彼らは自分達だけが特別な存在なのではないと言われ、注目されたことによって築いてきた自信が身体の内側から萎えていくことを止めることができなかった。
「また、あの辛かった時代に戻れとあなたは言うのですか?」
一人の青年がうつむき、涙をこらえながら尋ねた。
「あなたが辛かったのは特別な存在だったからではない。あなたに起きた辛い出来事は覚醒するための試練だったのではなく、あなたが自分自身と向き合わないまま周りに合わせようとしたことで心に無理がかかったからだ。特別な存在であることに心の安らぎを求めていては決して魂の本質に辿り着くことはできない。『答えはあなたの外にあるのではなく、常にあなたの内側にある』これはあなたが良く使う言葉であるが、本質を理解してこそこの言葉が真理となりえるのである。どんな時も欲得から生じた言葉は理屈でしかないし、理屈は言い訳にしかならない。どんなに美しい言葉や理屈で心にある傷を覆っても治ったことにはならないし、乗り越えたことにはならない。見て見ぬふりをすることはさらにその傷をえぐることになるからである。他人に伝えながら自分の魂に言い聞かせるのはやめて心から理解することに努めなさい。そうすることであなたの心に安らぎが訪れ、満たされることによってあなたの周りにもやすらぎが訪れ、満ちていくであろう。考えるのではなく心の要求に従いなさい。そうすることであなたは救われるであろうから」
青年は跪き、人目を気にすることなく大声を上げて泣き伏した。
周りの者達も泣いた。創造主は青年に向けて話していたのと同時にすべての者達に語りかけていたからである。すすり泣きや嗚咽がいたる所で聞こえた。
「あなたは私達人間を、あなたに似せて造られた人間達を、お見捨てになるのですか?」
「私は何にも悪いことしていません。悪いのは政治家やテロ組織です!」
「どうか私達を救ってください!」
「どうか、お見捨てにならないで!」
人々は口々に創造主に助けを求めた。
「私が見捨てたのではない。私がこの世界で最も賢い者とし、自由と祝福を与えたあなた達人間が私を見失ったのだ。私は、私の創造したこの世界に存在する全てのものの中にある。私利私欲に心を曇らせず、常に心の目を開いていれば、私の存在に気付いたはずであるし、この星が悲鳴を上げることもなかったであろう。自由には責任が伴うものであり、欲得や支配から得た歓びには、多くの者達の涙と悲しみがあることを忘れてはいけない。あなた達の知恵と技術は、この世界を支配するためのものではなく、私と、そして多くの種族の者達と歓びを分かち合うために与えたものである」
「じゃあ、私達は何を食べて生きていけば良いのですか。野菜も肉も魚も、すべて神の子で、歓びを分かち合って生きるのであれば、殺しちゃいけないってことでしょ。家の中に虫が居たって殺しちゃいけないんですか?」
「その者達の明日を奪い、我が身に取り込むことによって、自分達の命を明日に繋げられることを歓び、感謝して食しなさい。生活の中で衛生の妨げになる者達の明日を奪うことに対し、その者達が来世において幸せに生きられるように祈りなさい。そうすれば、その者達も安心して次の世に進むことができるであろう」
創造主の言葉に人間達は何も言うことができなくなった。そして、この世にさまざまな命が存在していることを知らなかったことを恥じた。人々は、泣きながら神に許しを請うよりほかなかった。いたる所からすすり泣きの声が聞こえた。他の動物、昆虫、植物達の歓声が大地や空を震わせていた。
「待ってください・・・」
その時、人間達の中から小さな声が聞こえた。それはとても小さく、微かな声だったが、その声は創造主に届いた。
「私は、人間の皮膚の上で生きているニキビダニと呼ばれている者です。皆さんのお話を聞いていて、人間の罪深さがよくわかりましたし、皆さんの意見は最もだと思います。しかし、私達は人間が絶滅してしまうと生きることができません。他にも人間の体内には、寄生して生きているたくさんの仲間達がいます。その中には他の動物達の中で生きられる者もいますが、ほとんどは人間と命を共にしています。ですから私達は人間を選びませんでした。人間が滅んでしまうということは、私達も滅んでしまうからです。どうか私達を助けると思って、人間達を助けてはもらえないでしょうか」
その切実な訴えに、地球上の生き物達は沈黙した。
「私達も話して良いでしょうか」
海の底からの声に皆は耳を傾けた。
「私達は深い海、深海と呼ばれる所に住む者達です。この星がもっと若かった頃、現在の人間達の数世代前の人類が生きていた頃、地球の大地は一枚のプレートでつながっており、現在よりもなだらかな土地でした。私達は当時から海の深い所に住んでいましたが、海面の方で生きる者達の餌食にされることが多く、いつも逃げ回って、怯えながら生活していました。それが、当時の人類が犯した過ちで、プレートがひび割れてしまい、海の底も深い所と浅い所ができ、表面が動くようになりました。地上も無事ではなく、世界中がおさまることのない爆風と、有毒な科学物質が何百年も地表を覆い、当時の人類や地上に生きる者達、海面近くで生きる者達は皆死に絶えてしまいました。私達海の底に住む者達は、少数でしたが、かろうじて生き延びることができました。それというのも、その時のひび割れが、多くの時の中で衝突して深い谷となり、海の底がより深くデコボコになったことで、私達は安心して住む場所を得ることができたからです。現世代の人間達も当時の人間達と同様に、開発と言いながら平気で他人の領域を踏みにじっていますが、当時の人間達の愚かな行いがなければ、私達は今日現在まで生き延びてはこられなかったでしょう。地上は人間達が動きやすい場所なので、荒らされ方が私達の住む深海とは違うかもしれませんが、高い山に住む者達の中にも、ひょっとして私達と同じ理由で生き延びた者達がいるかもしれません。何度も失敗を繰り返している愚かな人間達ですが、過去から学び、真心を持って生きている者も多いはずです。地球自身が何とか再生しようと頑張っている今、人間達に、その持っている技術と知恵を活かす機会を与えてはどうでしょう。欲得で生きている人間達よりも、真心を持って生きている人間達が多くなり、私達と力を合わせることができれば、きっと現世代は自力で再生できるはずです。それが実現できれば、地球は、この宇宙の中で最も素晴らしい惑星になるのではないでしょうか」
すべての生き物達が、沈黙して創造主の答えを待った。
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これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
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