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フランの妄執
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初めてコンラン伯爵子息、ルーナを見た時に一瞬で決めた。
「この人を私の夫とする。」と。
輝く容姿、スマートな仕草。程よく心地よい会話。ルーナは一瞬で私の心を攫っていった。
幸にも父は婚約を認め、コンラン伯爵もそれを許してくれた。
王女という肩書きにルーナが納得してくれたのはわかっている。
社交界ではルーナの魅力に全ての人が取り憑かれていて、その数多いた令嬢の中から、私が選び摘み取られたのは、まさに王女の肩書きがあればこそだったから。
それでもいい。例えまやかしの戯言でも、仮初めの微笑みでも、それが我が手の中だけにあるのならば至極の喜びである。贅沢はいえない。
婚約しても焦りは消えることはなく、いつ手のひらからこぼれ落ちていくかわからない幸せを確固たるものにするべく、身も心もルーナに捧げた。
しかし幸せは続かなかった。
王都で流行った病により、ルーナはあっけなくその名の如く、天に昇った。
残されたのは腹の中の忘れ形見だけ。
婚約中とはいえ王女の醜聞に父は怒った。
それでも腹の子の事は守ってくれ、喪に服す間も無くレインと結婚する事になった。
否とは言えなかった。
腹の子を私生児には出来ない。
文句のひとつも言わず、生まれたモーリウスを我が子としてくれたレインには感謝しかない。
しかしその先はダメだった。
ルーナと同じ血を分けたとは思えないレインに抱かれるなんて出来なかった。
「モーリウスだけではダメなのですか?」
幾度となくレインとはこの事で対立した。
もうひとり息子をと望むレインの気がしれない。
…わかってはいる。これが私のワガママだという事は。
せめてもう少しレインにルーナの面影があれば耐えられたのかもしれないが、レインにルーナの面影を見つける事は出来なかった。
業を煮やしたのか、レインは領民を一晩召し上げた。卑しい平民の娘、聞けば元の婚約者だと言う。
こっそりとすればまだ良いものを、初夜権の行使は正式に書面に残されると聞いた。
まるで私が石女であるかのような扱いに心底腹が立って仕方がない。
しかしたった一晩と義父に諭され、これきりだと飲み込んだのにまさか身籠らせていたなんて思ってもいなかった。
ましてや向こうが拒否してる庶子認定をレインから請い願い求めるなんてあり得ない。
レインのあの母子への執着は異常だ。
レインはおそらくアイリーンが庶子とされたらザイモックをくれてやる腹づもりだ。
あれはモーリウスのものだ。レインの好きにはさせない。
だから兄に進言して、アイリーンをどこかの馬の骨に娶らせる事にした。
さすればレインも諦めるだろう。
モーリウスから何かを奪うなんて許せない。
ところが。
兄はあろうことか息子にあの悪魔を充てがうことを決めてしまった。
しかもアイリーンが王子宮に入ったその晩、駆けつけてきたモーリウスはとんでもない事を言い出した。
「アイリーンが庶子認定を蹴ったなら、アイリーンにプロポーズして、妻にするつもりだったのです。
兄妹とされるならばこれまでと同じくアイリーンは大切にします。他人とするならばそれもまたいいのです。
どちらにしても私の人生からアイリーンが消える事はぜったいにないのですから。」
いつの間にか憎っくきあの卑しい小娘はザイモックだけでなく、その全てをモーリウスから奪っていた。
許さない。絶対に!
あの小娘は許さない!
モーリウスの全てを奪ったくせに、甥アリストリアにまで媚びへつらう悪魔の所業に心底腹が立つ。
あいつには何一つ渡してなんかやるものか。
一度目は侮った。
二度目は確実に仕留めてやる。
「この人を私の夫とする。」と。
輝く容姿、スマートな仕草。程よく心地よい会話。ルーナは一瞬で私の心を攫っていった。
幸にも父は婚約を認め、コンラン伯爵もそれを許してくれた。
王女という肩書きにルーナが納得してくれたのはわかっている。
社交界ではルーナの魅力に全ての人が取り憑かれていて、その数多いた令嬢の中から、私が選び摘み取られたのは、まさに王女の肩書きがあればこそだったから。
それでもいい。例えまやかしの戯言でも、仮初めの微笑みでも、それが我が手の中だけにあるのならば至極の喜びである。贅沢はいえない。
婚約しても焦りは消えることはなく、いつ手のひらからこぼれ落ちていくかわからない幸せを確固たるものにするべく、身も心もルーナに捧げた。
しかし幸せは続かなかった。
王都で流行った病により、ルーナはあっけなくその名の如く、天に昇った。
残されたのは腹の中の忘れ形見だけ。
婚約中とはいえ王女の醜聞に父は怒った。
それでも腹の子の事は守ってくれ、喪に服す間も無くレインと結婚する事になった。
否とは言えなかった。
腹の子を私生児には出来ない。
文句のひとつも言わず、生まれたモーリウスを我が子としてくれたレインには感謝しかない。
しかしその先はダメだった。
ルーナと同じ血を分けたとは思えないレインに抱かれるなんて出来なかった。
「モーリウスだけではダメなのですか?」
幾度となくレインとはこの事で対立した。
もうひとり息子をと望むレインの気がしれない。
…わかってはいる。これが私のワガママだという事は。
せめてもう少しレインにルーナの面影があれば耐えられたのかもしれないが、レインにルーナの面影を見つける事は出来なかった。
業を煮やしたのか、レインは領民を一晩召し上げた。卑しい平民の娘、聞けば元の婚約者だと言う。
こっそりとすればまだ良いものを、初夜権の行使は正式に書面に残されると聞いた。
まるで私が石女であるかのような扱いに心底腹が立って仕方がない。
しかしたった一晩と義父に諭され、これきりだと飲み込んだのにまさか身籠らせていたなんて思ってもいなかった。
ましてや向こうが拒否してる庶子認定をレインから請い願い求めるなんてあり得ない。
レインのあの母子への執着は異常だ。
レインはおそらくアイリーンが庶子とされたらザイモックをくれてやる腹づもりだ。
あれはモーリウスのものだ。レインの好きにはさせない。
だから兄に進言して、アイリーンをどこかの馬の骨に娶らせる事にした。
さすればレインも諦めるだろう。
モーリウスから何かを奪うなんて許せない。
ところが。
兄はあろうことか息子にあの悪魔を充てがうことを決めてしまった。
しかもアイリーンが王子宮に入ったその晩、駆けつけてきたモーリウスはとんでもない事を言い出した。
「アイリーンが庶子認定を蹴ったなら、アイリーンにプロポーズして、妻にするつもりだったのです。
兄妹とされるならばこれまでと同じくアイリーンは大切にします。他人とするならばそれもまたいいのです。
どちらにしても私の人生からアイリーンが消える事はぜったいにないのですから。」
いつの間にか憎っくきあの卑しい小娘はザイモックだけでなく、その全てをモーリウスから奪っていた。
許さない。絶対に!
あの小娘は許さない!
モーリウスの全てを奪ったくせに、甥アリストリアにまで媚びへつらう悪魔の所業に心底腹が立つ。
あいつには何一つ渡してなんかやるものか。
一度目は侮った。
二度目は確実に仕留めてやる。
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