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渡したいもの
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殿下に最初に連れてこられたのは宝飾店だった。
「いらっしゃいませ、アリストリア様。ご依頼の物はできておりますよ。」
そう言って店主が出してきたのは2本のネックレス。それぞれに色ガラスを焼き付けて描いた鳥の絵がトップがついている。
「あらこれ。」
「そう火鳥。」
綺麗…。タペストリーの火鳥を意識しているのはあきらかだ。
「どちらがいい?」
雄鳥か雌鶏か。
「選べません。どちらも素晴らしいので。」
「じゃあ、こっちを。」
そう言って殿下が付けてくれたのは雄鳥の方。
「ずっと俺を感じていられるように。」
「はい…。」
「似合うよ。」
「ありがとうございます。嬉しいです。」
「じゃあこっちは俺が。
忘れないで、雄鳥はツガイの雌鳥を求め続けるんだからね。」
そういって殿下は雌鳥の方を自分の首に掛けた。
(求め続ける…か。)
私の雄鳥は殿下の雌鳥を探し求め続けられたら、本当にそう出来たらいいのに、ね。
それから殿下と街を歩いた。
さすが王都である。店もたくさん並んでいて、行き交う人もたくさんいる。
賑やかで活気に溢れていた。
珍しい食べ物も沢山あった。
「これは?」
羊肉を焼いたものをパンに挟んだもの、小麦粉を水で溶いて、野菜や肉を混ぜて焼いたもの、フルーツを食べやすくカットして盛り付けたもの…。
北国のエリールでは比較的味が濃く保存の効くものがよく食べられるが、王都ではさっぱりとした味付けが好まれるようだ。
途中、綺麗なショールを見つけて足を止めた。薄くて向こう側が透けて見える。
「すごく綺麗な布ですね。」
ショールを手に取って高く掲げ、透き通った布越しの景色を楽しんだ。
「それはミナンの麻だね。ここでも繊維か。
リーンは相変わらずリーンだね。」
「相変わらずってなんですか?
麻なのにこんなに繊細なんて。素晴らしいって思っただけなのに。」
「欲しい?」
苦笑いしながら殿下に聞かれたけれど、
いいえ、と首を振った、
「素晴らしい素材なので気になっただけですから。」
「そんなに?凄いの?」
「ええ、麻はエリールでは粉袋くらいにしか使いません。もっと太くて荒い糸で作ります。南ではシャツなどにもするようですが、エリールでは涼し過ぎて。
でもこうやって繊細な小物にするのは良いですよね。」
「あはは、やっぱりリーンだな。
身に付けるより作る方が気になるなんて。」
殿下はお腹を抱えて笑っている。どうやらどこかツボに嵌ってしまい笑いが止まらないようだ。
「もう酷い!笑い過ぎです!さあ行きますよ!」
それでも殿下は布を扱っているお店を中心に廻ってくれた。
意外にエリールの物はさほど多くはないことに気がついた。
「エリールの物はあんまりないんですね。」
と言うと、
「エリールの物は質が良いし、量も少ないから自ずと単価も高めになるし、こういう庶民的な店では高過ぎて扱えないんだ。
どうしても高くても買ってくれる外国に輸出する事が多くなる。」
…なるほど。
エリールに戻ったら参考にしよう。
ニルス商会の全量買い取りによってその先の使い手の事はあまり意識してはいなかった。
私達の思いはたくさんの人に使って欲しい、だけれども、それが叶わないのはニルス商会が好き勝手に売り先を決めてしまっているからだと思っていた。
「高過ぎて手が出ない。」
盲点だったかもしれない。
「いらっしゃいませ、アリストリア様。ご依頼の物はできておりますよ。」
そう言って店主が出してきたのは2本のネックレス。それぞれに色ガラスを焼き付けて描いた鳥の絵がトップがついている。
「あらこれ。」
「そう火鳥。」
綺麗…。タペストリーの火鳥を意識しているのはあきらかだ。
「どちらがいい?」
雄鳥か雌鶏か。
「選べません。どちらも素晴らしいので。」
「じゃあ、こっちを。」
そう言って殿下が付けてくれたのは雄鳥の方。
「ずっと俺を感じていられるように。」
「はい…。」
「似合うよ。」
「ありがとうございます。嬉しいです。」
「じゃあこっちは俺が。
忘れないで、雄鳥はツガイの雌鳥を求め続けるんだからね。」
そういって殿下は雌鳥の方を自分の首に掛けた。
(求め続ける…か。)
私の雄鳥は殿下の雌鳥を探し求め続けられたら、本当にそう出来たらいいのに、ね。
それから殿下と街を歩いた。
さすが王都である。店もたくさん並んでいて、行き交う人もたくさんいる。
賑やかで活気に溢れていた。
珍しい食べ物も沢山あった。
「これは?」
羊肉を焼いたものをパンに挟んだもの、小麦粉を水で溶いて、野菜や肉を混ぜて焼いたもの、フルーツを食べやすくカットして盛り付けたもの…。
北国のエリールでは比較的味が濃く保存の効くものがよく食べられるが、王都ではさっぱりとした味付けが好まれるようだ。
途中、綺麗なショールを見つけて足を止めた。薄くて向こう側が透けて見える。
「すごく綺麗な布ですね。」
ショールを手に取って高く掲げ、透き通った布越しの景色を楽しんだ。
「それはミナンの麻だね。ここでも繊維か。
リーンは相変わらずリーンだね。」
「相変わらずってなんですか?
麻なのにこんなに繊細なんて。素晴らしいって思っただけなのに。」
「欲しい?」
苦笑いしながら殿下に聞かれたけれど、
いいえ、と首を振った、
「素晴らしい素材なので気になっただけですから。」
「そんなに?凄いの?」
「ええ、麻はエリールでは粉袋くらいにしか使いません。もっと太くて荒い糸で作ります。南ではシャツなどにもするようですが、エリールでは涼し過ぎて。
でもこうやって繊細な小物にするのは良いですよね。」
「あはは、やっぱりリーンだな。
身に付けるより作る方が気になるなんて。」
殿下はお腹を抱えて笑っている。どうやらどこかツボに嵌ってしまい笑いが止まらないようだ。
「もう酷い!笑い過ぎです!さあ行きますよ!」
それでも殿下は布を扱っているお店を中心に廻ってくれた。
意外にエリールの物はさほど多くはないことに気がついた。
「エリールの物はあんまりないんですね。」
と言うと、
「エリールの物は質が良いし、量も少ないから自ずと単価も高めになるし、こういう庶民的な店では高過ぎて扱えないんだ。
どうしても高くても買ってくれる外国に輸出する事が多くなる。」
…なるほど。
エリールに戻ったら参考にしよう。
ニルス商会の全量買い取りによってその先の使い手の事はあまり意識してはいなかった。
私達の思いはたくさんの人に使って欲しい、だけれども、それが叶わないのはニルス商会が好き勝手に売り先を決めてしまっているからだと思っていた。
「高過ぎて手が出ない。」
盲点だったかもしれない。
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