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手紙
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「あなた、これどうします?」
アイリスが手にしているのは1通の封筒。
豪華な型押し紋様が施された白い立派な封筒にはニルス王家の封蝋が付けられている。
「アイリーンになんですけれど、今からザイモックに送って間に合うかしら?」
宛名は「アリストリア第二王子殿下婚約者、アイリーン・ボガード嬢」
おそらく中身は新国王の即位式の招待だと思われる。
「…放っておいて良いんじゃない?挨拶もなしに帰っちゃった男との婚約なんて認めてない。」
「帰っちゃったんじゃない、帰しちゃったんでしょう、貴方が。」
呆れたようにアイリスはすっかり拗ねている夫を見下ろした。
あの日、仕事が忙しいと殿下に会おうともしなかった夫の不躾を殿下は笑顔で受け流して、
「改めて参ります。」
と王都へと戻っていった。
「俺は絶対に認めない。ちょっと王都に許可取りに行っただけなのに、こんなに長く会えなくなるなんて!だからニルスもレインも嫌いなんだ。」
愛するアイリスに不義の不名誉を押し付けて、可愛い義弟を義弟と扱わせることもさせずに、大切な宝のアイリーンまで遠ざける事になった。
まだエリールにも帰って来れないのに、このままお城に連れて行かれたらたまったもんじゃない!
「まだそこで止まってるの?もう外堀は埋められてしまったというのに。」
リーンのお城での様子はローラから大体は聞いた。
だからこその外濠を埋める作業をしてきたのに…。
「やっぱりアイリーンと顔を合わせて、アイリーンが結婚したいと言うまでは絶対に認めない!」
アイリスは頑固な夫を見て苦笑いするしかない。
…だけど。
ホセが今回新色の絹糸を染め上げたのを知っている。
その絹糸を金物屋のおかみさんが、杉綾織の絹布に織り上げた事も。
その絹布は以前サトラリア王太子妃に献上したものと全く差はない。
注文主はホセ。
「どの国の王族にも負けない最高のドレス生地に仕上げて欲しい。」
という注文を受けた事を金物屋のおかみさんが「絶対内緒よ。」と前置しながらも嬉々として教えてくれた。
女の口が羽より軽い事を主人は忘れてしまったようだ。
「…全く素直じゃないんだから。」
仕方ない。
「この手紙は王室に返送致しましょう。」
きっとそうしてあげるのが1番喜ばれるだろう。
アイリスが手にしているのは1通の封筒。
豪華な型押し紋様が施された白い立派な封筒にはニルス王家の封蝋が付けられている。
「アイリーンになんですけれど、今からザイモックに送って間に合うかしら?」
宛名は「アリストリア第二王子殿下婚約者、アイリーン・ボガード嬢」
おそらく中身は新国王の即位式の招待だと思われる。
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呆れたようにアイリスはすっかり拗ねている夫を見下ろした。
あの日、仕事が忙しいと殿下に会おうともしなかった夫の不躾を殿下は笑顔で受け流して、
「改めて参ります。」
と王都へと戻っていった。
「俺は絶対に認めない。ちょっと王都に許可取りに行っただけなのに、こんなに長く会えなくなるなんて!だからニルスもレインも嫌いなんだ。」
愛するアイリスに不義の不名誉を押し付けて、可愛い義弟を義弟と扱わせることもさせずに、大切な宝のアイリーンまで遠ざける事になった。
まだエリールにも帰って来れないのに、このままお城に連れて行かれたらたまったもんじゃない!
「まだそこで止まってるの?もう外堀は埋められてしまったというのに。」
リーンのお城での様子はローラから大体は聞いた。
だからこその外濠を埋める作業をしてきたのに…。
「やっぱりアイリーンと顔を合わせて、アイリーンが結婚したいと言うまでは絶対に認めない!」
アイリスは頑固な夫を見て苦笑いするしかない。
…だけど。
ホセが今回新色の絹糸を染め上げたのを知っている。
その絹糸を金物屋のおかみさんが、杉綾織の絹布に織り上げた事も。
その絹布は以前サトラリア王太子妃に献上したものと全く差はない。
注文主はホセ。
「どの国の王族にも負けない最高のドレス生地に仕上げて欲しい。」
という注文を受けた事を金物屋のおかみさんが「絶対内緒よ。」と前置しながらも嬉々として教えてくれた。
女の口が羽より軽い事を主人は忘れてしまったようだ。
「…全く素直じゃないんだから。」
仕方ない。
「この手紙は王室に返送致しましょう。」
きっとそうしてあげるのが1番喜ばれるだろう。
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