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モーリの怒り
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王太子からの使いが来たのは深夜であった。
リーンの部屋に不審者が入ったという。
絶対に大丈夫だと王太子が請け負った、王妃殿下の手の者の可能性が高いという。
「ローラを起こして、朝一番でクリスと城に。」
今出せる指示はこれしかない。
これだけでリーンには伝わるはず。
覚悟を決めなくてはならないし、覚悟を決めてもらわなくてはならない。
「母か陛下かどちらだと思いますか?」
サトラリア王妃の妹御である王妃殿下は排除する、父も同意見だった。
「…フランだろう。」
何かを悔いるような父の言葉に胸が締め付けられる。
悪いのは父じゃない。
俺だ、母にトドメを刺したのは俺だ。
怒りに任せた不用意な一言が、リーンの命さえも脅かしてしまったのだ。
「母を止めなくては。」
「…王太子が止めてくださる。」
「まだ王族を信用するのですか!」
「伝えていない事がある以上、致し方ない。」
「俺も明日城に行きます。」
「…ダメだ。」
「何故ですか!」
「…お前が行けばフランが動く。
お前がやらなくてはならない事は違うだろう。リーンは殿下とローラに任せろ。」
「…ですが…。」
「俺が動けない以上、お前が動くしかない。…耐えろ。いやすまない、モーリ、耐えてくれ。
今は私情のために動いてはならない。領のために動かなくてはならない。
モーリ、なにをすれば良いかわかっているな。」
「…はい。」
そう返事をしたものの、心は嫌だと言っている。
リーンの大事に駆けつけられない悔しさがある。
「お前はコンラン家の跡取りだ。自覚を待て。」
父は言った。
「リーンはコンラン家には入れられない。」
そして今俺は「コンラン家」だと言い含める。
父は侮れない。父が「ヘタレ伯爵」でない事を知る者は少ない。
心の中を見透かされているのがわかる。
リーン、すまない。
リーンが辛い目にあったのに側にいてやれない。その資格は俺にはない。
部屋を出ようとする俺を父が引き留めた。
「まだ何か?」
「…すまない。」
「…大丈夫です。自身の道は間違えません。」
「そうか。」
父はそれだけ言うと書類に目を落とす。
(もう今夜は眠らないのだな。)
それもそうか。
刻一刻と状況は変わっていくだろう。
俺だって眠らない。
そのまま俺は部屋を出て、その足でエリールに向かって馬を走らせる。
リーンの部屋に不審者が入ったという。
絶対に大丈夫だと王太子が請け負った、王妃殿下の手の者の可能性が高いという。
「ローラを起こして、朝一番でクリスと城に。」
今出せる指示はこれしかない。
これだけでリーンには伝わるはず。
覚悟を決めなくてはならないし、覚悟を決めてもらわなくてはならない。
「母か陛下かどちらだと思いますか?」
サトラリア王妃の妹御である王妃殿下は排除する、父も同意見だった。
「…フランだろう。」
何かを悔いるような父の言葉に胸が締め付けられる。
悪いのは父じゃない。
俺だ、母にトドメを刺したのは俺だ。
怒りに任せた不用意な一言が、リーンの命さえも脅かしてしまったのだ。
「母を止めなくては。」
「…王太子が止めてくださる。」
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「伝えていない事がある以上、致し方ない。」
「俺も明日城に行きます。」
「…ダメだ。」
「何故ですか!」
「…お前が行けばフランが動く。
お前がやらなくてはならない事は違うだろう。リーンは殿下とローラに任せろ。」
「…ですが…。」
「俺が動けない以上、お前が動くしかない。…耐えろ。いやすまない、モーリ、耐えてくれ。
今は私情のために動いてはならない。領のために動かなくてはならない。
モーリ、なにをすれば良いかわかっているな。」
「…はい。」
そう返事をしたものの、心は嫌だと言っている。
リーンの大事に駆けつけられない悔しさがある。
「お前はコンラン家の跡取りだ。自覚を待て。」
父は言った。
「リーンはコンラン家には入れられない。」
そして今俺は「コンラン家」だと言い含める。
父は侮れない。父が「ヘタレ伯爵」でない事を知る者は少ない。
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リーン、すまない。
リーンが辛い目にあったのに側にいてやれない。その資格は俺にはない。
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「まだ何か?」
「…すまない。」
「…大丈夫です。自身の道は間違えません。」
「そうか。」
父はそれだけ言うと書類に目を落とす。
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それもそうか。
刻一刻と状況は変わっていくだろう。
俺だって眠らない。
そのまま俺は部屋を出て、その足でエリールに向かって馬を走らせる。
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