修道院に行きたいんです

枝豆

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従兄妹

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「ちょっとエル!なにやってるのよ!」

レイチェルとの茶話会を終えた従兄妹のアデリーナは物凄い剣幕で、俺の元へと詰め寄った。
父方の従兄弟のステファン、母方の従兄妹のアデリーナ。
アデリーナが下馬評で筆頭婚約者だと思われていた理由はちゃんとある。
筆頭公爵家から王弟に嫁いだ長女、同じくグレイシア公爵家に嫁いだ次女。
そしてアデリーナが婚約者候補から外された理由もここにある。
筆頭公爵家の娘と孫を続けて王族に嫁がせる事は、貴族の権力バランスを崩しかねない。


「レイチェルにちっとも伝わってないじゃない!あなたの気持ち!」
「うーん。そこなんだよねぇ。」

そこを突っ込まれると返せる言葉はなくなる。
いい加減レイチェルだってそろそろ気付きそうなものだとは思うんだけど…。

「気付かないものなのかねぇ。」
「普通は気付くわ!だからあなたなにやってるの!!って怒ってるのよ!!
ちゃんと言葉にしてあげてるの?」

してる…けど。
婚約だけじゃない、ちゃんと結婚するつもりだと言った。
子供も産んで欲しいとも言った。

あの時レイチェルはなんで答えたっけ。

「本気ですか?」
「どうなっても知りませんよ。」

あれは是の意味なんじゃないのか!?

「レイチェルは私に手紙を書いたって言ってますけど?私の手元には一通も届いていませんけど!?
どういう事?未だにレイチェルは受け入れてくれる修道院を探してるって言ってますけど!?」

「サラに処分させて…いる。レイチェルが手紙を出せるのは家族だけ…と。」
「なんで!?」
「ステファンの耳に入れたくないんだ。」

レイチェルが俺じゃ嫌だと思っている事が知られたら、絶対ステファンが乗り込んで来る…。
ステファンに返すつもりはないし、いや、ステファンだけじゃない。
たとえレスボートが武器を持って乗り込んできても、手離すつもりはない。

「なら、そう伝えなさいよ。」
「伝えてるよ!」

伝えてる…よな?
伝えてる…のに。
レイチェルは未だに手紙を書き続けて、今後の身の振り方を模索することをやめてくれない。

ったく、なにやってるの!?ってアデリーナは言うけれど。
これ、俺のせい?俺のせいか?俺の…せいかぁ。

「言っておくけど、レイチェルはド直球で勝負するしかないわよ。」

アデリーナが言うには。
レイチェルは人の機敏を察する事は苦手だ。要はニブチンなのだ。
「あんなにステファンが余所見しないでレイチェルの側から離れなかったのに、最後の最後まで私が本命だと信じて疑ってなかったし。」
「そうなの?」
「だから私がレスボートに嫁ぐって言ったときはものすごく驚いたんだから。」

結局レイチェルがステファンの気持ちに気づいたのは、自分の気持ちを確かめたのは剣の誓いがあったからで。

「エル、あなたも剣に誓いなさいよ。」
「意味ないよ。」
だってレイチェルはそれすらもひっくり返されたんだからと言うと、さすがのアデリーナも黙り込んだ。

「…そうね、むしろ嫌な思い出を蒸し返すだけかもしれないわね…。」
「だろう?俺、どうしたらいいと思う?」
「寝室は?」
「とりあえず別。」
それだってレイチェルにとっては全くもって意味は成さない。


「お手上げね。」
「…だろう?」
「さっさと結婚しちゃうのは?」
「…無理。ステファンが先。」
「あっ、そうか。」

王室の儀典を取り仕切る儀典部の文官達はステファンの結婚式に向けて忙しく働いているし、アデリーナの輿入れにも若干ではあるけれど人を割り振りしている。
とてもとても王弟子息にまで手は回らない。

ステファンが俺たちの前にデンっと居座り邪魔をし続けている気がして仕方がない。

「エル、あなた…詰んでるじゃない。」
「詰んでない!!頼むからそんな事言わないでくれ。」

レイチェルの気持ちが俺に向いたら、その時は…って思ってはいるけれど。
向く日がいつやってくるのかが永遠に見えない…気がしてならない。
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