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ヒュッテからブリューの街へと戻った。
ブリューのお屋敷で私達、違うエルンスト殿下を待っていたのは山のように積み上げられた書類の束だ。
「すまない。しばらくまた執務室に籠らないと。
急ぎのもの以外出来るだけヒュッテに仕事を持ち込まないようにしていたツケが回ってきてしまった…。」
ガックリと項垂れながら、ゼットンに引き摺られるようにエルンスト殿下は執務室に入っていった。
うん、仕方がない。散々遊び倒したのだから。頑張って!!
私は仕方なく、そう仕方なく、クラリーチェ様の衣装部屋を漁った。
「…あー、やっぱり無くなってる。」
クラリーチェ様の「お出掛け」用の衣装一式が詰まった箱が消えていた。
でも!大丈夫なのです!
「さすがマリアン!」
私の持ち込んだ荷物の中に、マリアンが作ってくれた「お出掛け」用の服があるのです。
私はそそくさと着替えて、またコッソリと使用人通路を使って門の側まで来ました。
ハットン、ハットン。早く来て!
奇数の日の2回目の鐘が鳴る頃、お屋敷で乳牛のお世話をしているハットンが街の教会へと牛乳を運ぶのです。
ワクワクした気持ちでハットンの馬車を植木の影に隠れて待ちます。
程なくしてガラガラと音を立ててハットンの馬車が勝手口の横に着きました。
私は早速荷台に駆け上がり、牛乳缶の隙間に入り込みしゃがみました。
牛乳缶を積みに来たハットンとバッチリと目が合うと…ニッコリ笑ってハットンは、
「ダメです、降りてください。」
と私を降ろしに掛かります。
「えっ!?連れて行ってくれないの?」
「ええ、ダメです。エルンスト様の許可がないと!」
「えー、そんなの…。」
一生掛かっても無理だわ。
「エルンスト様に言われてるんですよ。街を案内するのは俺の役目だからって。」
さあさあ、と急かされて、渋々私は馬車を降りた。
「欲しいものは買ってきて差し上げます。」
ってハットンは言うけれど、欲しいものなんかない。
目的はひとつだけ。
「じゃあ、伝言を頼んでもいい?ブリューの教会の司祭様に、前にお願いしていた事はもう結構です。できなくなったからって伝えて貰えますか?」
「…それで伝わりますか?」
「多分…伝わると思うわ。」
ハイハイわかりました、とハットンは出発して行った。
もうコソコソしても無駄だから、私は堂々と屋敷の中に入っていくと…。
「レーチェ何その格好は?」
ちょうどお茶の時間だからと私を誘いにきたエルンスト殿下とバッタリと廊下で会えました。
「ちょっとエルンスト殿下、酷いですよ。」
ハットンに置いて行かれたことを伝え、抗議する。
最初は、あはは、すまないと笑っていたエルンスト殿下は、私がハットンに伝言を託したことを伝えた途端に、
「…マズイ!」
と、エルンスト殿下の顔色が真っ青になりました。
しかも、
「レーチェ、ごめん。急用が出来た!!」
慌てたようにエルンスト殿下はゼットンを探しに行ってしまわれます。
「…何アレ?どうしちゃったのかしら?」
ブツブツ呟きながら部屋に戻ると。
「レイチェル様!どこに行かれたんですか!!」
サラとエッタが真っ青な顔で私に叫んだ。
「どこにも行っていないわ。行こうとしたけれどダメだったの。」
事の次第を言うと、サラもエッタも大きく息を吐き出した。
「だからね、ハットンに伝言を頼むことしか出来なかったわ。」
「「伝言!!」」
「あの…誰に何をお伝えしたのですか?」
「えっとね、司祭様に、前に頼んでいた修道院をご紹介して欲しいというお願いは…」
って、サラもエッタもまた真っ青になってしまっていて…。
「大変!直ぐにお知らせしないと!」
とサラが慌てて部屋を出て行ってしまう。
「なんかみんな変ね。」
残ったエッタに疑問を投げかけた。
「まだ私に修道院に行かせたいのかしら?」
「えっ!?どういう事ですか?」
「…だから!もう修道院のご紹介は結構です!って伝言を頼んだんだけど…。」
エッタは嬉しそうに笑った。
「なかなかの勘違いですね。」
「…勘違いなの?」
「ええ、多分。」
「訂正しないとっ!」
慌てて部屋を出ようとしたけれど…。
「まあ、大丈夫ですから、放っておきましょう。それより…まずはお着替えなさいませ。」
そして、マリアンがくれた「お出掛け」服はエッタによってどこかに仕舞われた。
ブリューのお屋敷で私達、違うエルンスト殿下を待っていたのは山のように積み上げられた書類の束だ。
「すまない。しばらくまた執務室に籠らないと。
急ぎのもの以外出来るだけヒュッテに仕事を持ち込まないようにしていたツケが回ってきてしまった…。」
ガックリと項垂れながら、ゼットンに引き摺られるようにエルンスト殿下は執務室に入っていった。
うん、仕方がない。散々遊び倒したのだから。頑張って!!
私は仕方なく、そう仕方なく、クラリーチェ様の衣装部屋を漁った。
「…あー、やっぱり無くなってる。」
クラリーチェ様の「お出掛け」用の衣装一式が詰まった箱が消えていた。
でも!大丈夫なのです!
「さすがマリアン!」
私の持ち込んだ荷物の中に、マリアンが作ってくれた「お出掛け」用の服があるのです。
私はそそくさと着替えて、またコッソリと使用人通路を使って門の側まで来ました。
ハットン、ハットン。早く来て!
奇数の日の2回目の鐘が鳴る頃、お屋敷で乳牛のお世話をしているハットンが街の教会へと牛乳を運ぶのです。
ワクワクした気持ちでハットンの馬車を植木の影に隠れて待ちます。
程なくしてガラガラと音を立ててハットンの馬車が勝手口の横に着きました。
私は早速荷台に駆け上がり、牛乳缶の隙間に入り込みしゃがみました。
牛乳缶を積みに来たハットンとバッチリと目が合うと…ニッコリ笑ってハットンは、
「ダメです、降りてください。」
と私を降ろしに掛かります。
「えっ!?連れて行ってくれないの?」
「ええ、ダメです。エルンスト様の許可がないと!」
「えー、そんなの…。」
一生掛かっても無理だわ。
「エルンスト様に言われてるんですよ。街を案内するのは俺の役目だからって。」
さあさあ、と急かされて、渋々私は馬車を降りた。
「欲しいものは買ってきて差し上げます。」
ってハットンは言うけれど、欲しいものなんかない。
目的はひとつだけ。
「じゃあ、伝言を頼んでもいい?ブリューの教会の司祭様に、前にお願いしていた事はもう結構です。できなくなったからって伝えて貰えますか?」
「…それで伝わりますか?」
「多分…伝わると思うわ。」
ハイハイわかりました、とハットンは出発して行った。
もうコソコソしても無駄だから、私は堂々と屋敷の中に入っていくと…。
「レーチェ何その格好は?」
ちょうどお茶の時間だからと私を誘いにきたエルンスト殿下とバッタリと廊下で会えました。
「ちょっとエルンスト殿下、酷いですよ。」
ハットンに置いて行かれたことを伝え、抗議する。
最初は、あはは、すまないと笑っていたエルンスト殿下は、私がハットンに伝言を託したことを伝えた途端に、
「…マズイ!」
と、エルンスト殿下の顔色が真っ青になりました。
しかも、
「レーチェ、ごめん。急用が出来た!!」
慌てたようにエルンスト殿下はゼットンを探しに行ってしまわれます。
「…何アレ?どうしちゃったのかしら?」
ブツブツ呟きながら部屋に戻ると。
「レイチェル様!どこに行かれたんですか!!」
サラとエッタが真っ青な顔で私に叫んだ。
「どこにも行っていないわ。行こうとしたけれどダメだったの。」
事の次第を言うと、サラもエッタも大きく息を吐き出した。
「だからね、ハットンに伝言を頼むことしか出来なかったわ。」
「「伝言!!」」
「あの…誰に何をお伝えしたのですか?」
「えっとね、司祭様に、前に頼んでいた修道院をご紹介して欲しいというお願いは…」
って、サラもエッタもまた真っ青になってしまっていて…。
「大変!直ぐにお知らせしないと!」
とサラが慌てて部屋を出て行ってしまう。
「なんかみんな変ね。」
残ったエッタに疑問を投げかけた。
「まだ私に修道院に行かせたいのかしら?」
「えっ!?どういう事ですか?」
「…だから!もう修道院のご紹介は結構です!って伝言を頼んだんだけど…。」
エッタは嬉しそうに笑った。
「なかなかの勘違いですね。」
「…勘違いなの?」
「ええ、多分。」
「訂正しないとっ!」
慌てて部屋を出ようとしたけれど…。
「まあ、大丈夫ですから、放っておきましょう。それより…まずはお着替えなさいませ。」
そして、マリアンがくれた「お出掛け」服はエッタによってどこかに仕舞われた。
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