修道院に行きたいんです

枝豆

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オマケ

お披露目3

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セレモニーが始まった。

私達が、私が床に蹲っている間に儀典は限りなく縮小されていた。

謁見の間で行われるはずだった国王陛下と妃殿下との謁見はバルコニーの手前の控えの部屋で行われた。
既に王族、準王族の皆様はお揃いになられていた。そんなに広くない控えの部屋は人がぎゅうぎゅうに詰め込まれて溢れかえっている。
その中をエルに抱き抱えられたまま、立居の国王陛下の前に連れて行かれた。

「エルンスト、流石にこの先は。」
カトリーナ様に暗に降ろせと言われ、渋々エルが私をゆっくりと降ろしてくれる。

「とっとと始めよう。堅苦しい事は無くした。」
意外に砕けた口調で、カルロ陛下が儀式の開始を宣言された。

「エルンスト、レイチェル、改めて結婚おめでとう。これからも2人でステファンとブリトーニャを支えてやってくれ。
それからレイチェル、色々と苦労すると思うが、お腹の子を大切に育んでくれ。
頼んだぞ。」
「「はい。」」
2人で声を揃えてお答えさせて頂く。

まずは国王陛下とカトリーナ様がバルコニーにお出ましになる。
途端に大きな歓声が前庭から上がった。
続きステファンとブリトーニャ、大公殿下にカトリーナ様、格順で並んだ準王族の皆様がゾロゾロと後に続く。

「歩ける?大丈夫?」
「うん、大丈夫。」

大丈夫じゃなくても歩く。歩かなきゃ先には進めないんだから、とにかく歩くんだ!

行こう、と差し出された手をそっと握った。
一歩外に出ると、途端に冷たい冬の空気に晒される。雪の匂いがツーンと鼻を通っていく。

…割と大丈夫そう。澄んだ空気が却って清々しい。
心配そうに私を見つめるエルに笑顔を見せた。すると、優しく微笑んで、頷いてくれる。

バルコニーの先端の手摺まで行かないとならない。先に居並んだ方々がワザワザ開けてくださったからきちんと通路ができている。そこをエルに導かれて歩いていく。

漸く、漸く。エルの晴れ姿を国民の前に立たせてあげられる。
そう思うと肩に乗っかっていた重みがフッと軽くなって、代わりに胸に感動が込み上げてくる。

今日だけはいつも並ぶカルロ様とカトリーナ様との間を割るように私達が立つ。決められた立ち位置についた時、下から一層大きな歓声が上がった。

…凄い、こんなに人がいる。

こんなに前庭を人が埋め尽くしたのを見たことはなかった。バルコニーの前庭に入れるのは貴族と選ばれた武官と文官と。それだけでもぎっちりと人がひしめきあっている。

「手を。」
カルロ様の導きで、エルが左手を軽く持ち上げ、手のひらを皆に向ける。エルが静止するのを待って私も同じく左手を上げた。
するとピタリと歓声が止み、怖いくらいの静寂が庭に広がった。

エルの滔々とした声が響く。

「寒い中集まってくれた事に感謝する。
我が伴侶となるレイチェルだ。皆に紹介できる事を嬉しく思う。
レイチェルと共に、真摯に国王陛下に忠義を誓い、国民皆に献身し尽くすことを今日ここに誓う。」

エルの言葉が途切れる。それを待って私は、ゆっくりと膝を曲げて立礼の姿勢を取る。
途端に再びワアーっと歓声が上がる。 

「さあ、行くよ。」
バルコニーの脇にある階段をエルに導かれて降りていく。
その先に待っているのは白い幌なし馬車カブリオレだ。
エルが先に乗り込んで、振り向いて手を差し出してくれる。その手を取って続いて乗り込んだ。

「あれ?温かい。」
ひんやりしたシートに座るんだと思っていたのに、座るとほのかに温かかった。
足元を見ると何やら布に包まれた包みがあり、そこからほのかな熱を感じる。
どうやら焼いた石を布に包んだ懐炉を馬車に据え置いてくれたらしい。

「クラリーチェ様からの贈り物です。」
控えていたゼットンがそっと教えてくれた。

カトリーナ様からのコートを着て、クラリーチェ様からの懐炉で温められるなんて。
身体もだけど心がジワっと温かくなった。
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