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翠色の旋風
新学期
しおりを挟む(あー、みんなバラバラだぁ。)
張り出されたクラス分け発表のプリントを見てため息をついた。
2ーD組
46 山本 翠
去年は最初に仲良くなったクミちゃんが割とフレンドリーな子だったから、どんどん友達も増えてとっても楽しく1年を過ごせた。
みんなが同じクラスになれるとは思ってなかったけど、1人位はいるかなぁと思ったのに、仲良し4人組は見事にAからDに振り分けられた。
あーあ。誰か喋れそうな子いるかなぁ。
じっーと名簿を見ていく。
同じ委員会だった子が1人。
同じ吹奏楽部の子が2人…。
ああ、中野さんと一緒かぁ。
…憂鬱だな。
「翠!」
と声をかけて振り向くと、憂鬱のタネの元のひとつ?の和津くんがいた。
「俺たち同じクラス!よろしくな。」
えっ!
男子はまだ見てもいなかった。
「何、まだ見てなかったの?」
「あー、うん。」
手にした名簿を確認する。
男子まで確認する余裕なんてまだなかった。
17 和津 疾風
…良かった同じじゃなかった。
そのまま上に辿っていく。
6葛西 皇
「あ、皇子くんも一緒なんだね、良かったね、和津くん。」
「全くな、腐れ縁強過ぎ!」
和津くんと葛西くんは中学から一緒で、部活も同じ。いつも一緒の仲良しだ。
仲良しがいるなんて、いいなぁ。
「私なんて喋れる子がいるかどうかすら怪しいのに…。」
「…俺がいるじゃん。」
「あはっ、和津くん男子じゃん。」
「…男じゃダメなの?」
「女子には女子が必要なの!」
「疾風!翠!」
背後から大きな声と共に肩に腕が掛けられた。思わずよろけて、和津くんに寄り掛かる事になってしまった。
声をかけてきたのは皇子くんこと葛西皇君。
右手で和津くんを左手で私の肩を、2人纏めてしっかりと抱え込んでいる。
「翠!疾風!よろしくな!」
「皇、お前、暑苦しいよ。」
「照れんなって!嬉しいだろ?また1年楽しいだろ?」
「あー、はいはい。」
ニヤニヤしながら和津君を見て笑う皇子くん。
葛西くんはその名前をもじって皇子と呼ばれている。そのあだ名を裏切らないイケメンで、女子からの人気は高い。
和津くんと、皇子くんと、…中野さん。
私の新学期はちょっとブルーな気持ちで始まった。
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