若松2D協奏曲

コハク島

遅刻 皇視点

ゴーデンウィークの部活休みの日、潮干狩りに行こうと言い出したのは北斗だった。

男３人で潮干狩りってどうなんだ？と思っていたら、先に優と翠を誘ったらしい。最近は北斗は積極的にあの２人に絡んでいく。
翠と優じゃない、優と翠の言い方にちょっと引っ掛かる。
吊り橋の効果か、フィクサー同士仲良くなり過ぎたか？

先日のバスレクでは北斗には散々迷惑をかけた。
疾風と翠の仲も進んでない。
去年のクラスで翠は仲良し女子達に鉄壁のガードで守られていた。
今年一緒にいる優はどちらかといえばこっち側な気がする。
疾風にいい風が吹いている。

…仕方ない。行ってやるか。

潮の関係で、朝早く出て、午前中に切り上げる。北斗のばあちゃんの店で飯を食って、午後は自由。…自由か。
誰か誘って３対３にしようかとも思ったけど、バスレクでの中野の事を思い出してやめておく。女の子は難しい。
最悪俺だけ先に帰ればいい。

しっかり待ち合わせ時間に駅にいた疾風は、乗り遅れた翠を待つと言い出した。
ほんとブレない奴だ。

バスレクの時の詫びだ。
「はいはい、好きにしろ！借りは返したからな。」
と先に一人で始発に乗った。

優が乗り込む駅で、何故か北斗も一緒に乗り込んできた。
聞けば自転車で二駅分戻ったらしい。
北斗はトレーニングとか言っていたけど、きっと違う。

「北斗、疾風よりイタイぞ？」と揶揄うと、
「作戦会議ってヤツ？」って笑って言いやがる。
疾風が一本電車を遅らせた事を伝えると、
「ブレないな（ねぇ）」
と同じ感想が返って来た。

「じゃ、作戦会議始めますか！」
優の一言で、俺達は今日の計画を練り始めた。