若松2D協奏曲

枝豆

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体育祭

体育祭に向けて

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ゴールデンウィークが明けたら、学校は俄かに体育祭モードに変わった。

「和津くん、何出るの?」
「…なんでもいい。」
係と種目を決めるホームルーム、和津くんは机の上に体を預けて、なんだか投げやりになっている。

「どうしたの?調子悪い?」
和津くんらしくない、投げやりな感じに違和感がある。

「んー、だって翠、見てもくれないじゃん。」
「あはは、別に私のために走るんじゃないでしょ?」

和津くんは顔を完全に机に向けてしまった。
「なんで吹部は…。」

それを言われると何も返せない。
吹部は開閉会式、吹部デモンストレーションで演奏するため、個人種目と係は免除されている。
楽器の運搬とメンテナンス、音出しの練習や確認などで拘束されてしまい、集合に遅れる&間に合わないで失格、体育祭の進行時間を大幅に遅らせるためだ。
座席もクラスではなく、吹部席。
体育祭はクラスの事はほとんどできない。

…私だってみんなとも過ごしたいよ?
だから…。

「まず応援団決めまーす!
今回、トランペット使うので、吹部の山本さんはデモだけ参加しまーす。」

「ねえ、翠。どういうこと?」
優ちゃんにチョンっと腕を引きながら聞かれた。

「あー、うんとね。デモのモチーフが野球の応援団なんだって。だから和太鼓じゃなくて、大太鼓とトランペットにしたいからって、デモだけ手伝う事になった。」

「はい!俺やります!」
さっきまでだるそうにしてた和津くんが急に手を挙げながら立ち上がった。

「うわっ、切り替え早すぎて引くわ…。」
優ちゃんがボソッと呟きながら、でも
「はーい、私もやります!」
と手を挙げた。
「翠と体育祭の思い出、良いじゃん。」
と笑ってくれる。

すると皇子くんも北斗くんも、最近仲良くなった花音ちゃん達もやってくれるって。

良かった、やっぱりみんなと思い出作れるのは嬉しい。


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