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ジャズ演奏
ジャズ
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(うーん、ちょっと違う…。)
北条くんと練習を始めて3日。早くも北条くんは正確に暗部をし終えて、2人で音を合わせ始めているのだけれど。
北条くんは上手いと思う。思うんだけど…。
もう少しジャズっぽい感じに出来ないかな?
「ねえ、北条くん。ジャズの生演奏聞いたことある?」
「…そういえばないですね。」
吹奏楽でジャズのナンバーを演奏する事は良くある。あるんだけど、吹奏楽のジャズとジャズは違う。
「行ってみない?」
部活のない土曜日、北条くんとさくら駅で待ち合わせをしたのは私となぜか和津くん。
「土曜日何してる?」
そう聞かれてそのまま答えた。
「北条くんとジャズ演奏を聞きに行く。」
すると
「一緒に行ってもいい?」
と和津くんからそう言われた。
もちろん一緒にいられるのは嬉しい。
だけど和津くんの休みに無理やり付き合わせるのは申し訳ない気がしてなんだか引け目を感じてしまう。
「…いいの?」
いいよとアッサリと答えてくれる。
…本当に和津くん優しい。
そうして3人で待ち合わせをしてやってきたのは地下にあるバー「Y 'Club」
昼はレストラン、夜はバーとして営業するこの店のメインは「ジャズの生演奏」を聴きながらお酒と料理が楽しめる所。
もちろん高校生が出入りするのを咎める人は多いだろう。
だけど翠は幼い頃から、否、生まれる前からここに通っていたといってもいい。
何故ならここは父が経営し、たまに演奏もする場所だから。
「あ、翠ちゃん。…お友達となんて珍しいね。
こんにちは、いらっしゃいませ、どうぞごゆっくり。」
ホールを担当するナギさんは長くこのお店に勤めている「マダム」で、私にとっては叔母にあたる。
父とはひと回り離れているので、叔母というよりは姉に近い。
父はいたりいなかったりするので、ナギさんに電話で話を通していた。
「和津くんってどっち?」
先へ向かいながら小声でこっそり聞いてくるのが恥ずかしい。
そう、ナギさんは私の事ならなんでも知っている。
なるべく小さな声で耳元に
「背の高い方…。」
と答える。
どうせナギさんは根掘り葉掘り聞いてきて最後まで聞き出されてしまうから、初めにちゃんと教えた方がスマートに終わらせられる。
「ふーん。イケメンだね。翠ちゃんは面食いだったかぁ。ニイ、かなり落ち込んでたよ。」
ニイというのは、父の事だ。
「…えっ?言ってないよ。」
「ううん、体育祭見てたって。応援団も。」
あっ!
「…ねえ、言ってないって?どういう事?あっ、そういう事?」
「…知りません!」
「ふーん。」
ニヤニヤしながらもナギさんは3人を角のテーブルへと案内してくれた。
北条くんと練習を始めて3日。早くも北条くんは正確に暗部をし終えて、2人で音を合わせ始めているのだけれど。
北条くんは上手いと思う。思うんだけど…。
もう少しジャズっぽい感じに出来ないかな?
「ねえ、北条くん。ジャズの生演奏聞いたことある?」
「…そういえばないですね。」
吹奏楽でジャズのナンバーを演奏する事は良くある。あるんだけど、吹奏楽のジャズとジャズは違う。
「行ってみない?」
部活のない土曜日、北条くんとさくら駅で待ち合わせをしたのは私となぜか和津くん。
「土曜日何してる?」
そう聞かれてそのまま答えた。
「北条くんとジャズ演奏を聞きに行く。」
すると
「一緒に行ってもいい?」
と和津くんからそう言われた。
もちろん一緒にいられるのは嬉しい。
だけど和津くんの休みに無理やり付き合わせるのは申し訳ない気がしてなんだか引け目を感じてしまう。
「…いいの?」
いいよとアッサリと答えてくれる。
…本当に和津くん優しい。
そうして3人で待ち合わせをしてやってきたのは地下にあるバー「Y 'Club」
昼はレストラン、夜はバーとして営業するこの店のメインは「ジャズの生演奏」を聴きながらお酒と料理が楽しめる所。
もちろん高校生が出入りするのを咎める人は多いだろう。
だけど翠は幼い頃から、否、生まれる前からここに通っていたといってもいい。
何故ならここは父が経営し、たまに演奏もする場所だから。
「あ、翠ちゃん。…お友達となんて珍しいね。
こんにちは、いらっしゃいませ、どうぞごゆっくり。」
ホールを担当するナギさんは長くこのお店に勤めている「マダム」で、私にとっては叔母にあたる。
父とはひと回り離れているので、叔母というよりは姉に近い。
父はいたりいなかったりするので、ナギさんに電話で話を通していた。
「和津くんってどっち?」
先へ向かいながら小声でこっそり聞いてくるのが恥ずかしい。
そう、ナギさんは私の事ならなんでも知っている。
なるべく小さな声で耳元に
「背の高い方…。」
と答える。
どうせナギさんは根掘り葉掘り聞いてきて最後まで聞き出されてしまうから、初めにちゃんと教えた方がスマートに終わらせられる。
「ふーん。イケメンだね。翠ちゃんは面食いだったかぁ。ニイ、かなり落ち込んでたよ。」
ニイというのは、父の事だ。
「…えっ?言ってないよ。」
「ううん、体育祭見てたって。応援団も。」
あっ!
「…ねえ、言ってないって?どういう事?あっ、そういう事?」
「…知りません!」
「ふーん。」
ニヤニヤしながらもナギさんは3人を角のテーブルへと案内してくれた。
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