若松2D協奏曲

ジャズ演奏

ジャズ 疾風視点

「土曜日何してる？」もし部活がなかったら、２人でどこか…なんて考えていたのに、返ってきた答えに絶句する。

北条くんとジャズ演奏を聴きに行く？
北条くん…あの子だ。部活の後輩。おそらく今年はずっと翠と一緒に過ごす子。
皇が「気を付けろ。」と言っていた子。

わかってる。わかってるんだけど。
翠はとても面倒見がいい、先輩として、それだけ。
でも向こうは…？

思わず口をついて出た言葉。
「一緒に行ってもいい？」
「…いいけど？」
和津くんにはつまらないかも、という言葉は即座に否定する。
翠がいれば、絶対楽しいハズだから。

行くというお店は聞いた事がある。
確かお父さんがやっていて、去年のクラスメイトは何人か行ったはず、自分も行きたかったけれど、その日は公式戦と重なっていて欠席となった。

あっ、…お父さん。

北条と翠が２人で出掛ける事に気を取られ過ぎて、行き先に翠の父親がいる事までは思いが至らなかった。

緊張する…。
翠は僕をどう紹介するんだろう？
彼氏？
仲の良い友達？
クラスメイト？

…怖い。

「最近やっと付き合い始めた。」
トランペットの先輩に皇がそう言った時、翠は恥ずかしがってはいたけれど否定しなかった。

ねえ、そうだって思って良いんだよね。

終わった後、どうするんだろう。
ライブ、多分そんな時間は掛からないと翠は言っていた。食事の合間に少し演奏を楽しめるスタイルって。

そのまま３人でどこかに行くのかな。
出来れば少し２人で会いたい気もするけれど、まさか「帰れ」なんて言えない。
割り込んだのが俺の方だという自覚くらいはある。

だけど俺だけ帰る気は更々ない。

「うーん。どうしよう。」
数時間、楽しめそうなところってムズイな。