若松2D協奏曲

枝豆

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ホタルを愛でる夜

北斗と優の秘密

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「みんな消えちゃったね。」
と優が言って初めて2人になっていると気付いた。
優の浴衣姿が可愛すぎてあまり周りを見ていなかった。

「あれっ?いつの間に…。」
疾風と翠ちゃんがそっと離れたのは気付いていたけれど、こちらもそっとしといた。

「さっきまでいたのに…。」
皇と花音まで消えるとは思わなかった。
なんか2人でコソコソ話してるとは思っていたけれど…。
もしかしてもしかする?
嫌な予感がする。

「ねえ優、俺、嫌な予感するんだけど。」
「…私もする。」

「花音ちゃんが皇をって事は…?」
「それはない。」
「だよな…。」
「皇くんが?」
「うーん、それもない。」

皇はもう吹っ切ると言いながら、吹っ切れてないのは明白だ。

「ターゲット変更ってところか?」
「えー、それヤダな。もう話しちゃう?」

潮干狩りの帰り道、優に告白した。受けて貰って付き合うことになってひと月とちょっと経つ。
スモールフォワードの俺は隙を突く速攻タイプだから、ソッコー告白した。
優が恥ずかしがるから誰にも言わなかっただけだ。

優の一言目の返事は
「えっー!それ今言っちゃう?」
だった。
振られたかと思ったけれど、違った。
もう心臓に悪いだろ!

優が言うには、翠ちゃんと疾風は時間の問題、俺と優が付き合い始めると多分皇が離れていくんじゃないか?って。

あー、そうか?ってその時は思ったけど、皇の気持ちを暴露は出来ないから黙っていた。
だからみんなには特には話さないことにした。優は翠ちゃんには話したいみたいだけれど、翠に話したら疾風にもバレるからとまだ黙って貰っている。

疾風達が付き合い始めて、皇が離れて行きそうな予感がヒシヒシし始めた。
もう少し皇が落ち着くのを待って、グループの絆がしっかりしたら話そうと2人で決めていた。体育祭の後から応援団の仲間でつるみ始めたところだ。
今日だって花音ちゃんという新たな仲間が増えている。

「バレたわけじゃない…よな。」
反省会の2次会のカラオケで、皇は
「次はお前」と言った。
あの時はマジでビビった。ビクン!と固まった。
でもそう言うからには付き合い始めた事はバレていない…はず。

「そう思うけど…。」
浴衣姿で首を傾げる優は壮絶に可愛い。
今日の浴衣はよく似合っている。
…じゃなくてっ!

伝えた方がいいことなのはわかるけど、イヤでも気付かない方が悪くはないか?
その時ふと気付いた。
「ねえ、皇と花音ちゃんってアル?」
「うーん、花音はキラキラ王子が好きになれるタイプじゃないし。」
「皇もな。すり寄ってくる女の子はすり寄ってきている時点でアウトみたいだし。」

「でも、今2人でいるんだよね。」
「うんそうね、今2人だね。自主的に…。」

「なあ、もう少し内緒にしとくって面白そうな気がする。」
「北斗…。それは腹黒さ全開かも。」
「でもさ、俺たちが何かするわけじゃないじゃん。」
「まあ…そうだけど。」

皇が花音ちゃんに…あるかなぁ。ないかもなぁ。

だけど今の状態なら皇が俺達から離れていかないんじゃないか、そう思ったんだ。

だからもうしばらく内緒にしておいて、皇のやりたいようにやらせてみようかと思ったんだ。
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