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さくらや
目が回る忙しさとは?
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北斗くんのおばあちゃんの海の家は大盛況だった。
ここ何日か猛暑日が続いていて、浜への人出が多いのに加えて、元々有名行列ラーメン店の臨時支店ということも知れ渡っていてお客さんが全くといって引かなかった。
皇子くんはクーラーボックスを抱えて飲み物を売りに行った。去年と同じらしい。ゴールデンウィークの時にお姉さんが期待していた、あれ。
須藤くんと疾風くんは厨房に、私と花音ちゃんは優ちゃんと北斗くんと接客に回る。
少し慣れている優ちゃんは座敷でオーダー取り。花音ちゃんはお冷と料理のお運び。
私は長期バイトの女子大生しおりさんに仕事を習う。
お客さんは2つの列に分かれてもらう。
座敷に入って食事をする人の列と、ドリンクや軽食を買っていく人の列とに分ける。
そしてしおりさんと手分けして軽食を買っていく人のオーダーを伝票にあらかじめ書き込むのが私の仕事。
伝票をカウンターにいる北斗くんに渡してもらい、商品を受け取り会計という流れ。
「少しくらい失敗しても北斗さんが修正してくれるから大丈夫だよ。」
って、しおりさんが教えてくれる。
「北斗さん」という呼び方に花音ちゃんと2人で吹いた。オーナーの孫だから少し偉い人扱いなのだそうだ。
「じゃあ、私たちも、だね。」
と2人でふふふと笑った。
笑っていられたのはここまで。
いつもより少し遅めにオープンした店は開いた瞬間から人が並んだ。
良くわからないけれど、人が少ない朝のうちにサーフィンをしていた人が、こちらに流れるらしく、混むのはお昼だけなんて甘いよ、としおりさんに笑われてしまった。
「コーラ2つ、ビール2つ、ビールは缶になりますけれど大丈夫ですか?はい、ありがとうございます。じゃあこれをカウンターにいる男の人に渡してください。」
「お待たせいたしました、ラーメンとフランクフルト2個ずつと、水2本ですね。じゃあこれをカウンターの人に渡してください。」
「お待たせいたしました…。オススメですか、ラーメンオススメですよ。たしか…魚介ですよねしおりさん、はい、すみません、魚介スープ、麺は中太麺です。
はい、塩ラーメン2つですね。ありがとうございます。じゃあこれを…。」
こんな感じで列を進めていく。
大半の人は普通に注文してくれる。
お客さんは基本みんな優しい。
「えっ?電話番号ですか、ちょっと待ってください。確認して来ます。」
列から離れて北斗「さん」のところに小走りで行く。
「このお店の電話番号教えて。」
「なんで?何かあった?」
「電話番号教えてってお客さんが。」
北斗「さん」はちょっと固まって、
「企業秘密って言っておいて。どうしても必要ならここで俺が教えるから。」
「はい、わかりました。」
そのまま走って戻ってそうお客さんに伝えると、
「お姉さん上手いねぇ、ガード固い。」
とゲラゲラ笑われた。
「すみません…慣れてなくて。」
と謝ると
「あはは、大丈夫、大丈夫。次いくから。」
頑張って、と優しい声までかけてもらった。
次…?
って迷う間もなく、後ろのお客さんに私が行かなくてはいけない。
「すみませんお待たせしました。水とビールと、ビールは缶になりますけど良いですか?はい、ではこれを…。」
「えっ?上がりですか?わからないんですよね。引き継ぎの人が来たら上がれるんですけど…来ないかもしれなくて。お店は4時に閉まります。」
「4時に…ですか?いや、その後もあるし、彼と来てるので…。」
「これ?お客さんの携帯?」
お客さんの携帯番号を書いたメモを渡されそうになった時、それは横からしおりさんに取り上げられた。
「お客さん、残念。この子まだ高校生だから。」
メモはしおりさんからお客さんに返された。
「休憩行って。彼が待ってる。」
ニコっと笑ったしおりさんはその後直ぐにお客さんに向き直った。
ここ何日か猛暑日が続いていて、浜への人出が多いのに加えて、元々有名行列ラーメン店の臨時支店ということも知れ渡っていてお客さんが全くといって引かなかった。
皇子くんはクーラーボックスを抱えて飲み物を売りに行った。去年と同じらしい。ゴールデンウィークの時にお姉さんが期待していた、あれ。
須藤くんと疾風くんは厨房に、私と花音ちゃんは優ちゃんと北斗くんと接客に回る。
少し慣れている優ちゃんは座敷でオーダー取り。花音ちゃんはお冷と料理のお運び。
私は長期バイトの女子大生しおりさんに仕事を習う。
お客さんは2つの列に分かれてもらう。
座敷に入って食事をする人の列と、ドリンクや軽食を買っていく人の列とに分ける。
そしてしおりさんと手分けして軽食を買っていく人のオーダーを伝票にあらかじめ書き込むのが私の仕事。
伝票をカウンターにいる北斗くんに渡してもらい、商品を受け取り会計という流れ。
「少しくらい失敗しても北斗さんが修正してくれるから大丈夫だよ。」
って、しおりさんが教えてくれる。
「北斗さん」という呼び方に花音ちゃんと2人で吹いた。オーナーの孫だから少し偉い人扱いなのだそうだ。
「じゃあ、私たちも、だね。」
と2人でふふふと笑った。
笑っていられたのはここまで。
いつもより少し遅めにオープンした店は開いた瞬間から人が並んだ。
良くわからないけれど、人が少ない朝のうちにサーフィンをしていた人が、こちらに流れるらしく、混むのはお昼だけなんて甘いよ、としおりさんに笑われてしまった。
「コーラ2つ、ビール2つ、ビールは缶になりますけれど大丈夫ですか?はい、ありがとうございます。じゃあこれをカウンターにいる男の人に渡してください。」
「お待たせいたしました、ラーメンとフランクフルト2個ずつと、水2本ですね。じゃあこれをカウンターの人に渡してください。」
「お待たせいたしました…。オススメですか、ラーメンオススメですよ。たしか…魚介ですよねしおりさん、はい、すみません、魚介スープ、麺は中太麺です。
はい、塩ラーメン2つですね。ありがとうございます。じゃあこれを…。」
こんな感じで列を進めていく。
大半の人は普通に注文してくれる。
お客さんは基本みんな優しい。
「えっ?電話番号ですか、ちょっと待ってください。確認して来ます。」
列から離れて北斗「さん」のところに小走りで行く。
「このお店の電話番号教えて。」
「なんで?何かあった?」
「電話番号教えてってお客さんが。」
北斗「さん」はちょっと固まって、
「企業秘密って言っておいて。どうしても必要ならここで俺が教えるから。」
「はい、わかりました。」
そのまま走って戻ってそうお客さんに伝えると、
「お姉さん上手いねぇ、ガード固い。」
とゲラゲラ笑われた。
「すみません…慣れてなくて。」
と謝ると
「あはは、大丈夫、大丈夫。次いくから。」
頑張って、と優しい声までかけてもらった。
次…?
って迷う間もなく、後ろのお客さんに私が行かなくてはいけない。
「すみませんお待たせしました。水とビールと、ビールは缶になりますけど良いですか?はい、ではこれを…。」
「えっ?上がりですか?わからないんですよね。引き継ぎの人が来たら上がれるんですけど…来ないかもしれなくて。お店は4時に閉まります。」
「4時に…ですか?いや、その後もあるし、彼と来てるので…。」
「これ?お客さんの携帯?」
お客さんの携帯番号を書いたメモを渡されそうになった時、それは横からしおりさんに取り上げられた。
「お客さん、残念。この子まだ高校生だから。」
メモはしおりさんからお客さんに返された。
「休憩行って。彼が待ってる。」
ニコっと笑ったしおりさんはその後直ぐにお客さんに向き直った。
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