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皇子くんの一番
壮
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学校を出たところでスマホが鳴った。
着信画面に学童保育所の文字が出たのを見て、慌てて電話に出た。
「もしもし、皇です。すみません。」
「あっコウくん、ごめんねー。学童のイズミです。まだ学校?今日のソウくんのお迎えなんだけど、何か聞いてる?」
「いや、特には。和津さんは?」
「うーんそれが和津さんは聞いてないんだって。立場的に依頼がないと引き取れないから、今お母さんに連絡取ろうとしてるんだけど、お仕事かな?捕まらなくて。」
「俺が今から行きます。7時は過ぎちゃうけど。」
「まあ仕方ないよね。じゃあ待ってるから。」
すみませんと電話の向こうに頭を下げてた。
「ごめん、本屋行けなくなったわ。」
北斗と疾風にそう告げると、
「壮くん?」
と疾風がこっそりと聞いてくる。
疾風には隠せない。ああ、と頭を縦に振った。
「わかった。早く行ってやれよ。」
「ああ、悪いな。」
みんなから離れて駅へと走り出す。
弟の壮は小学3年生で、学童で迎えを待っている。
ホテルマンの父親は夜勤があり、同じホテルでウエディングプランナーをしている母の帰りは不定時だから度々時間までに迎えに行けない事がある。
そのため母は市の育児支援制度のひとつ、「保育ママ制度」を度々利用する。
看護師、保育士、教員…何かしらの資格を持っていたり、講習を受けた出産育児経験のある女性による一時預かりの制度で、壮の担当は「和津 梓さん。」
…疾風のお母さんだ。
母は今日は迎えに間に合わないのに、和津さんへの連絡をまた怠ったようだ。
チラリとホームで時計を確認すると、18時35分、学童の閉園時間には間に合いそうもない。
「…壮。」
つい床に座って膝を抱えている姿を想像してしまう。
途端に気分が更に落ち込んだ。
こういう時「もっと遊べる、ラッキー!」と思うタイプの子供と、大人に迷惑を掛けてしまうとかこのまま迎えに来てもらえないんじゃないかと不安になるタイプの子がいるが、壮は間違いなく不安になる方だ。
早く行ってやらないと…。
いつもと変わらないはずの電車の速度がやけにゆっくりに思えて、イライラと焦る気持ちがまとわりついて離れなかった。
着信画面に学童保育所の文字が出たのを見て、慌てて電話に出た。
「もしもし、皇です。すみません。」
「あっコウくん、ごめんねー。学童のイズミです。まだ学校?今日のソウくんのお迎えなんだけど、何か聞いてる?」
「いや、特には。和津さんは?」
「うーんそれが和津さんは聞いてないんだって。立場的に依頼がないと引き取れないから、今お母さんに連絡取ろうとしてるんだけど、お仕事かな?捕まらなくて。」
「俺が今から行きます。7時は過ぎちゃうけど。」
「まあ仕方ないよね。じゃあ待ってるから。」
すみませんと電話の向こうに頭を下げてた。
「ごめん、本屋行けなくなったわ。」
北斗と疾風にそう告げると、
「壮くん?」
と疾風がこっそりと聞いてくる。
疾風には隠せない。ああ、と頭を縦に振った。
「わかった。早く行ってやれよ。」
「ああ、悪いな。」
みんなから離れて駅へと走り出す。
弟の壮は小学3年生で、学童で迎えを待っている。
ホテルマンの父親は夜勤があり、同じホテルでウエディングプランナーをしている母の帰りは不定時だから度々時間までに迎えに行けない事がある。
そのため母は市の育児支援制度のひとつ、「保育ママ制度」を度々利用する。
看護師、保育士、教員…何かしらの資格を持っていたり、講習を受けた出産育児経験のある女性による一時預かりの制度で、壮の担当は「和津 梓さん。」
…疾風のお母さんだ。
母は今日は迎えに間に合わないのに、和津さんへの連絡をまた怠ったようだ。
チラリとホームで時計を確認すると、18時35分、学童の閉園時間には間に合いそうもない。
「…壮。」
つい床に座って膝を抱えている姿を想像してしまう。
途端に気分が更に落ち込んだ。
こういう時「もっと遊べる、ラッキー!」と思うタイプの子供と、大人に迷惑を掛けてしまうとかこのまま迎えに来てもらえないんじゃないかと不安になるタイプの子がいるが、壮は間違いなく不安になる方だ。
早く行ってやらないと…。
いつもと変わらないはずの電車の速度がやけにゆっくりに思えて、イライラと焦る気持ちがまとわりついて離れなかった。
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