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文化祭 準備
寄付は付加価値
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店を閉めて、父ちゃんは明日の仕込みに入ったところで、俺とねえちゃんは2階に上がった。
「コハク島とか、浜通りの方でも磯山の被害を気に掛けている人はいるんだよ。」
麦茶を飲みながら、ねえちゃんは話し出す。
「でもさ、何かしたいと思っていても、何をして良いかわからないっていう人もたくさんいる訳。」
タイミングを逃して送られてきた支援物資に困った自治体のニュースを思い出した。
そんな時にわかりやすくこうしたら支援出来ますよ、っていう物が目の前に出されると、つい手を伸ばしてしまう、らしい。
「文化祭でしょ?ただでさえ財布の紐は緩い。」
これを買えば寄付になる、と思えば手を伸ばしてくれる人はいる、逆、つまり寄付したくないから買わないという人は少ない、とねえちゃんは言い切った。
「フカカチになる?」
「あー、なるね。付加価値。」
「フカカチ、ってどういう意味?」
「自分で言ったでしょ?」
ねえちゃんは呆れ気味になった。
「ホームルームで、そのことに触れて、フカカチになるか足枷になるか、考えろ、って。」
「ふーん。」
「…正直わからなくて。」
「足枷かぁ。」
「ウチのラーメンに寄付を付けたとするでしょう。
お腹いっぱいにになって、社会貢献もできる。2度おいしい。」
「うん。」
「それが付加価値、ね。
でも、じゃあ寄付なしで900円と、寄付付きで1000円、選べるならどっちを選ぶ?」
あっ!ストンと落ちた。
「わかったみたいだね。そう、興味のない人にとっては100円値上げと一緒。多分それが足枷。
あー、これ高いな。じゃあ、違うのにしようと考える人もいる。」
ふーん、そうなんだ。
「ねえ、価格の付け方に迷うなら、募金箱作っちゃえば?もちろん価格に乗せるのも良いけど、上限が出来ちゃうでしょ。100個に100円つけたら、10000円って。
だけど、募金箱なら1000円入れてくれる人もいるかもしれない。」
…なるほど。
「損しない程度に、あまり高くならないように値段をつけて、寄付金は募金箱頼り、って事?」
「まあ、そんなとこ。」
「そんなに上手くいくかなぁ。」
「上手くいかせるんだよ。」
「で、何売るの?」
「これ。」
花音ちゃんから教えてもらったサイトの画面を出して、ねえちゃんに見せた。
「ふーん、悪くないね。」
ねえちゃんの反応は結構いいみたいだ。
「買う?」
と聞いてみた。
「…多分、買う。デザインにもよるけど。」
「北斗でもこれなら買うかもよ。」
シンプルな生成りの小物で、ワンポイントのアルファベットのイラスト付き。
うーん、よくわかんない。
こういうのは案外使い勝手が良いんだって。
なんかピンっときてない俺にねえちゃんが畳みかけた。
「そうだなぁ…。ビニール袋とかで済ましちゃってる物ってアンタない?
北斗なら…遠征の時の靴入れとか。脱いだ汗ぐっしょりのユニホームとか。」
「あー、言われてみたら。」
バッシュを入れる袋はあるが、履いて行った靴を入れるのはビニール袋。
ユニホームはそのままカバンに突っ込んでいる。
「…それから…。あっ、叔母ちゃんもやってるじゃん。」
家の中を見回したねえちゃんが指で指したのは、キッチンで母ちゃんがスーパーで貰ったビニール袋を溜めている袋だ。
母ちゃんはデパートの紙袋にまとめているけれど、たしかにあれが生成りのバックでも良さそうだ。
「まだ袋って決まってないけどな。」
クッションカバーやバンダナも候補にあったはずで…。
「袋だよ、絶対袋!」
「そうなの?」
「うん、この中なら袋、一択。」
良くわかんないけど、ねえちゃんがそういうなら、そうなのかもと思ってしまうくらい、ねえちゃんは袋を推してきた。
「コハク島とか、浜通りの方でも磯山の被害を気に掛けている人はいるんだよ。」
麦茶を飲みながら、ねえちゃんは話し出す。
「でもさ、何かしたいと思っていても、何をして良いかわからないっていう人もたくさんいる訳。」
タイミングを逃して送られてきた支援物資に困った自治体のニュースを思い出した。
そんな時にわかりやすくこうしたら支援出来ますよ、っていう物が目の前に出されると、つい手を伸ばしてしまう、らしい。
「文化祭でしょ?ただでさえ財布の紐は緩い。」
これを買えば寄付になる、と思えば手を伸ばしてくれる人はいる、逆、つまり寄付したくないから買わないという人は少ない、とねえちゃんは言い切った。
「フカカチになる?」
「あー、なるね。付加価値。」
「フカカチ、ってどういう意味?」
「自分で言ったでしょ?」
ねえちゃんは呆れ気味になった。
「ホームルームで、そのことに触れて、フカカチになるか足枷になるか、考えろ、って。」
「ふーん。」
「…正直わからなくて。」
「足枷かぁ。」
「ウチのラーメンに寄付を付けたとするでしょう。
お腹いっぱいにになって、社会貢献もできる。2度おいしい。」
「うん。」
「それが付加価値、ね。
でも、じゃあ寄付なしで900円と、寄付付きで1000円、選べるならどっちを選ぶ?」
あっ!ストンと落ちた。
「わかったみたいだね。そう、興味のない人にとっては100円値上げと一緒。多分それが足枷。
あー、これ高いな。じゃあ、違うのにしようと考える人もいる。」
ふーん、そうなんだ。
「ねえ、価格の付け方に迷うなら、募金箱作っちゃえば?もちろん価格に乗せるのも良いけど、上限が出来ちゃうでしょ。100個に100円つけたら、10000円って。
だけど、募金箱なら1000円入れてくれる人もいるかもしれない。」
…なるほど。
「損しない程度に、あまり高くならないように値段をつけて、寄付金は募金箱頼り、って事?」
「まあ、そんなとこ。」
「そんなに上手くいくかなぁ。」
「上手くいかせるんだよ。」
「で、何売るの?」
「これ。」
花音ちゃんから教えてもらったサイトの画面を出して、ねえちゃんに見せた。
「ふーん、悪くないね。」
ねえちゃんの反応は結構いいみたいだ。
「買う?」
と聞いてみた。
「…多分、買う。デザインにもよるけど。」
「北斗でもこれなら買うかもよ。」
シンプルな生成りの小物で、ワンポイントのアルファベットのイラスト付き。
うーん、よくわかんない。
こういうのは案外使い勝手が良いんだって。
なんかピンっときてない俺にねえちゃんが畳みかけた。
「そうだなぁ…。ビニール袋とかで済ましちゃってる物ってアンタない?
北斗なら…遠征の時の靴入れとか。脱いだ汗ぐっしょりのユニホームとか。」
「あー、言われてみたら。」
バッシュを入れる袋はあるが、履いて行った靴を入れるのはビニール袋。
ユニホームはそのままカバンに突っ込んでいる。
「…それから…。あっ、叔母ちゃんもやってるじゃん。」
家の中を見回したねえちゃんが指で指したのは、キッチンで母ちゃんがスーパーで貰ったビニール袋を溜めている袋だ。
母ちゃんはデパートの紙袋にまとめているけれど、たしかにあれが生成りのバックでも良さそうだ。
「まだ袋って決まってないけどな。」
クッションカバーやバンダナも候補にあったはずで…。
「袋だよ、絶対袋!」
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「うん、この中なら袋、一択。」
良くわかんないけど、ねえちゃんがそういうなら、そうなのかもと思ってしまうくらい、ねえちゃんは袋を推してきた。
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