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文化祭 準備
従姉妹 北斗視点
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部活が終わった後、優と皇、実行委員の仁志と菜々子と、絵里とで飯を食いに行った。
絵里おすすめのオシャレなイタリアン。
高そう…と思ったけれど、そんなでもなかったのでホッとする。
飯喰いながら、みんなでどうするか話し合う。
「寄付っていくらぐらいが良いんだろうね。」
と優が言い、
「10万とか?」
と答えたら、
「バカ、さすがに無理だろ。」
と皇に突っ込まれた。
「考えたんだけどさぁ…。」
部活をしていない絵里と仁志は図書室で自習しながら考えていたんだそうだ。
「留学してたカナダはさ、ボランティアとか結構頻繁にやってて…。」
バザーをして売り上げは寄付するというのは結構あったんだそうだ。
「ただね、規模が違う。もう学校あげて大人も地域も巻き込んでやるんだ。」
パスタを口に入れながら絵里は話した。
「去年の文化祭の入場者は1日1000人くらいで、1番売り上げたのはたこ焼き屋の1日で350個。10万寄付ならざっと280円利益を乗せる。たこ焼きはひとつ250円で売ったから、400円になる。」
と菜々子が教えてくれた。
「…買わねーな。」
「うん、買わない。」
「あー、無理かぁ。」
ガックリと俯いた。
「250円を300円にしたとして、35000円の寄付。」
横でスマホの電卓アプリで仁志がボチボチと計算してくれている。
「それ、最高売り上げまで行った場合でしょう?それ以下になる可能性もある。」
うーん。
難しいな。
結局たいした話し合いにもならなくて、遅くなる前にと解散になった。
家に帰ったら従姉妹が来ていた。
「あれ?珍しいじゃん。」
普段浜通りの店にいるねえちゃんがこっちに来るのはあまりない。
「あ、叔母ちゃんと母さん、旅行だって。」
…あ、思い出した。
「そういえばそんな事言ってたな。」
夏休みに婆ちゃんが倒れて、2つの店と海の家と、看病と。目まぐるしかった桜井の看板姉妹は揃って「お疲れ様休暇」を要求した。
嫁に甘い2人の旦那は2つ返事で嫁達を送り出した。
「あっちは婆ちゃんが見るから、叔母ちゃん帰ってくるまでこっち。」
「婆ちゃん大丈夫なのか?ねえちゃんだって新婚だろう?」
大変だったのはねえちゃんもなのに、ねえちゃんは旅行には行かなかった。
「うん、婆ちゃんはもう大丈夫。ちゃんとパートさんにも来てもらうし。
私はダーリンと来週から。」
「なんだよ、ダーリンって。キモっ!」
「うるさい!」
それでもねえちゃんは、
「ご飯は?」
と気遣ってくれる。
「食べた。」
「ん、そっ。じゃあ北斗は残りの丼洗ってね。」
…ちっ、気遣いじゃなかった。
「ねえちゃん、ウチの値段の付け方って?」
「…なんで?」
「…文化祭でさぁ、なんかモノ作って売るらしいんだけど。」
「文化祭なんて、人件費も固定費も考えなくて良いんだから、適当でいいよ。」
と適当に返された。
寄付の話をしだすと、途端にねえちゃんの顔つきが変わる。
「…ふーん。磯山ね。いい所突くじゃん、その子。」
「そうなの?」
「うん、そう思うよ。」
とりあえず店が閉まったら話してやる、だから手を動かせ!
とねえちゃんはやっぱり人使いが粗かった。
絵里おすすめのオシャレなイタリアン。
高そう…と思ったけれど、そんなでもなかったのでホッとする。
飯喰いながら、みんなでどうするか話し合う。
「寄付っていくらぐらいが良いんだろうね。」
と優が言い、
「10万とか?」
と答えたら、
「バカ、さすがに無理だろ。」
と皇に突っ込まれた。
「考えたんだけどさぁ…。」
部活をしていない絵里と仁志は図書室で自習しながら考えていたんだそうだ。
「留学してたカナダはさ、ボランティアとか結構頻繁にやってて…。」
バザーをして売り上げは寄付するというのは結構あったんだそうだ。
「ただね、規模が違う。もう学校あげて大人も地域も巻き込んでやるんだ。」
パスタを口に入れながら絵里は話した。
「去年の文化祭の入場者は1日1000人くらいで、1番売り上げたのはたこ焼き屋の1日で350個。10万寄付ならざっと280円利益を乗せる。たこ焼きはひとつ250円で売ったから、400円になる。」
と菜々子が教えてくれた。
「…買わねーな。」
「うん、買わない。」
「あー、無理かぁ。」
ガックリと俯いた。
「250円を300円にしたとして、35000円の寄付。」
横でスマホの電卓アプリで仁志がボチボチと計算してくれている。
「それ、最高売り上げまで行った場合でしょう?それ以下になる可能性もある。」
うーん。
難しいな。
結局たいした話し合いにもならなくて、遅くなる前にと解散になった。
家に帰ったら従姉妹が来ていた。
「あれ?珍しいじゃん。」
普段浜通りの店にいるねえちゃんがこっちに来るのはあまりない。
「あ、叔母ちゃんと母さん、旅行だって。」
…あ、思い出した。
「そういえばそんな事言ってたな。」
夏休みに婆ちゃんが倒れて、2つの店と海の家と、看病と。目まぐるしかった桜井の看板姉妹は揃って「お疲れ様休暇」を要求した。
嫁に甘い2人の旦那は2つ返事で嫁達を送り出した。
「あっちは婆ちゃんが見るから、叔母ちゃん帰ってくるまでこっち。」
「婆ちゃん大丈夫なのか?ねえちゃんだって新婚だろう?」
大変だったのはねえちゃんもなのに、ねえちゃんは旅行には行かなかった。
「うん、婆ちゃんはもう大丈夫。ちゃんとパートさんにも来てもらうし。
私はダーリンと来週から。」
「なんだよ、ダーリンって。キモっ!」
「うるさい!」
それでもねえちゃんは、
「ご飯は?」
と気遣ってくれる。
「食べた。」
「ん、そっ。じゃあ北斗は残りの丼洗ってね。」
…ちっ、気遣いじゃなかった。
「ねえちゃん、ウチの値段の付け方って?」
「…なんで?」
「…文化祭でさぁ、なんかモノ作って売るらしいんだけど。」
「文化祭なんて、人件費も固定費も考えなくて良いんだから、適当でいいよ。」
と適当に返された。
寄付の話をしだすと、途端にねえちゃんの顔つきが変わる。
「…ふーん。磯山ね。いい所突くじゃん、その子。」
「そうなの?」
「うん、そう思うよ。」
とりあえず店が閉まったら話してやる、だから手を動かせ!
とねえちゃんはやっぱり人使いが粗かった。
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