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恋するクリスマス
知り合い
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「すいません、チケット無いと入れないんですけれど。」
チャペルの近くまで誰にも咎められずに歩いてきて、初めて警備の人に声を掛けられた、
「あっ、はい、わかってます。人を迎えに来ただけなので…。」
そう答えて、どこかに居させて貰えるか聞こうとしたら、
「山本さん?」
と言われた。
えっ!なんで分かった?おれが翠を迎えに来たなんて!
「えっ!あっ、はい。って、あー!」
見たことがある人だった。去年の吹部のトランペットの人。新入部員の翠の教育係の3年生だった人。
「俺の事わかる?」
「はい、わかります。吹部の…」
名前なんだっけ?
俺の戸惑いには感知しないで、
「20時終わりって聞いてる?」
と聞かれた。
「はい。そうなんですけど、翠携帯OFFにしたままみたいで…。」
「ははは、翠らしいな。」
と笑ってる。
「あったかいとこで待ってても良いんだけど。多分翠帰りに俺に挨拶して帰ると思うし。だけど…我慢できるならここにいてよ。
ちょっとだけ良い事ある…かも。」
カイロを渡されてそこで待て、と言われた。
仕方なくビリっとカイロの袋を開けて手に握り込んだ。
「付き合えた?」
「ええ、まあ。」
「お前たち、長かったもんな。…片思い。」
「…そうですか?」
そっか。気付かれてたのか。
まあ、みんな気付くからな。
「隠せてない!」
って言ったのは誰だったけ?
「キャンドルミサの聖列は必ずここを通る。それで東門まで歩くんだけど、必ず東門に行かなきゃいけない訳じゃない。」
この先輩はそんな事を呟き始めた。
建物の中に炎を持ち込まなければ、構内は好きに歩いて構わない。
「結構幻想的なムードになると思うよ。とっておきの場所があるんだ。」
この先輩が言うには。
あるサークルがイルミネーションイベントを開催した。そのイルミネーションがあまりに出来が良かったので、明日までそのまま取ってあるそうだ。
警備の為の詳細が細々と書き込まれた構内図のコピーを見せてくれながら、その場所を教えてくれる。
「この道を進むと、溜池があるんだ。雅楽のための和風庭園なんだけど、そこを無理矢理イルミネーションでデコった。」
んで、ここな、とある一点を指さす。
「ここからなら溜池が上から見下ろす事が出来る。」
2人でキャンドルを抱えて誰もいない構内を歩いて、舗道を抜けたら真下にイルミネーション。
「良いだろう、これ。」
「うん、いいですね。クリスマスっぽい。」
本当は遥と見たかったんだ、とその先輩は苦笑い。
違う大学を志望している先輩の彼女さんはこのミサには参加出来ない。
「仕方ないから、可愛い後輩たちに譲る。感謝しろ。」
「…はい、ありがとうございます。」
ホラ、やるよ。
先輩がくれたのは器に入ったキャンドル。
「あっ、出て来た。」
神父服に身を包んだ人を先頭にキャンドルをもった人が並んで歩いてくる。
「あっ、あそこ。翠いた!あの紺のダッフル。」
行け!とその先輩が俺の背中を押した。
チャペルの近くまで誰にも咎められずに歩いてきて、初めて警備の人に声を掛けられた、
「あっ、はい、わかってます。人を迎えに来ただけなので…。」
そう答えて、どこかに居させて貰えるか聞こうとしたら、
「山本さん?」
と言われた。
えっ!なんで分かった?おれが翠を迎えに来たなんて!
「えっ!あっ、はい。って、あー!」
見たことがある人だった。去年の吹部のトランペットの人。新入部員の翠の教育係の3年生だった人。
「俺の事わかる?」
「はい、わかります。吹部の…」
名前なんだっけ?
俺の戸惑いには感知しないで、
「20時終わりって聞いてる?」
と聞かれた。
「はい。そうなんですけど、翠携帯OFFにしたままみたいで…。」
「ははは、翠らしいな。」
と笑ってる。
「あったかいとこで待ってても良いんだけど。多分翠帰りに俺に挨拶して帰ると思うし。だけど…我慢できるならここにいてよ。
ちょっとだけ良い事ある…かも。」
カイロを渡されてそこで待て、と言われた。
仕方なくビリっとカイロの袋を開けて手に握り込んだ。
「付き合えた?」
「ええ、まあ。」
「お前たち、長かったもんな。…片思い。」
「…そうですか?」
そっか。気付かれてたのか。
まあ、みんな気付くからな。
「隠せてない!」
って言ったのは誰だったけ?
「キャンドルミサの聖列は必ずここを通る。それで東門まで歩くんだけど、必ず東門に行かなきゃいけない訳じゃない。」
この先輩はそんな事を呟き始めた。
建物の中に炎を持ち込まなければ、構内は好きに歩いて構わない。
「結構幻想的なムードになると思うよ。とっておきの場所があるんだ。」
この先輩が言うには。
あるサークルがイルミネーションイベントを開催した。そのイルミネーションがあまりに出来が良かったので、明日までそのまま取ってあるそうだ。
警備の為の詳細が細々と書き込まれた構内図のコピーを見せてくれながら、その場所を教えてくれる。
「この道を進むと、溜池があるんだ。雅楽のための和風庭園なんだけど、そこを無理矢理イルミネーションでデコった。」
んで、ここな、とある一点を指さす。
「ここからなら溜池が上から見下ろす事が出来る。」
2人でキャンドルを抱えて誰もいない構内を歩いて、舗道を抜けたら真下にイルミネーション。
「良いだろう、これ。」
「うん、いいですね。クリスマスっぽい。」
本当は遥と見たかったんだ、とその先輩は苦笑い。
違う大学を志望している先輩の彼女さんはこのミサには参加出来ない。
「仕方ないから、可愛い後輩たちに譲る。感謝しろ。」
「…はい、ありがとうございます。」
ホラ、やるよ。
先輩がくれたのは器に入ったキャンドル。
「あっ、出て来た。」
神父服に身を包んだ人を先頭にキャンドルをもった人が並んで歩いてくる。
「あっ、あそこ。翠いた!あの紺のダッフル。」
行け!とその先輩が俺の背中を押した。
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