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happy birthday
ましろさんは心配症
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藍さんのニヤニヤの原因も、翠がお父さんが面倒だと言っていた意味はすぐにわかった。
翠がこっちに来ないとわかると、ましろさんは直ぐに俺達のテーブルへとやってきた。
「君は…去年はいなかった、ね。」
はい、誘われたけど、行けなかった。
そういうとましろさんは少しどこか嫌そうな顔をした。
「去年もね、沢山の友達が来てくれた。翠はね、あんまり自分のことを俺には話さない。
だからこうやって無理矢理にでも友達を紹介させる。
でないと、演奏会や行事のたびに翠のところへ行って、友達一人一人に話を聞かないと…心配でいられなくなってしまう。」
ああ、だから。
「やらなきゃやらなきゃで面倒。」
翠がそう言っていた。
「去年も沢山のお友達が来てくれて、翠は本当に楽しそうだったけど、直ぐに学校生活がおかしくなった。…君は知ってる…よね?」
貴行の事だ、そう思った。
「学校から親へ連絡が無いはずがないだろう?」
短期間で翠が買い直した学用品は普通の学校生活じゃあり得ない。
上履き、体操着、教科書…。
肌身離さず持ち歩いていたトランペットを音楽室に預けるようにもなった。
「…確かに。はい。」
「それでも翠は何も俺には話さない。」
「心配掛けたくなかった…んじゃないでしょうか…。
それに…その件は、もう…。」
「何か知ってる、そうだね?
イヤ、やっぱりいい。君から聞く訳にはいかない。それくらいはわかる。
でないと翠が本当に口を聞いてはくれなくなる。」
ましろさんはそう言って弱々しい作った笑顔を見せる。
絵里…。今この場には原因のひとりの絵里がいるから…話せない。
だけど…だけど。
「ちょっとした誤解が、縺れて絡んだんです。今は…大丈夫です。」
このくらいなら。
「そうか。あと体育祭の辺りでも…。」
「はい。」
これは話せる。
「2年でセクションリーダーになったプレッシャーだったんです。」
「そうか、うん、そうだね。俺も同じく音楽の道を歩いてきた、大抵のことは想像できるし、似たような事も経験してきてる。
…でも翠は頼ってくれない。」
「それは…俺もでした。」
「そうなのか?」
「はい…。普通に振舞ってて。だけど…金管のメンバーに救われた、そう言ってました。」
「残念だ。君が去年来てくれていたら、もう少し穏やかに見守れたかもしれない。
去年はまだクミちゃんに色々聞けたけど、いじめの犯人がわからなかったから、今年はクラス替えで翠の友人はほとんどリセットされたと思う。
だから約束してくれるか?
翠を、側で見てやれない俺たち家族の代わりに…あの…。
何かあったら直ぐに教えて欲しい。」
とましろさんはお願いして来る。
…そっか。アレが原因か。
4月、仲の良い子が見事にバラバラにされて、落ち込んでいた翠を思い出した。
…配慮ってヤツだ。
直ぐに優と仲良くなって、それはそれで良かったけど。
けれど結果としてましろさんは学校での伝手がなくなり翠の様子を知る事が難しくなった。
…クミなら何か知ってるのかもしれないけど…。
まあ、いい。
今は大丈夫だと胸を張って言える。
「任せてください。」
そう伝えた。
ずっと側にいる、そう約束したんだから。
もう翠は泣かせない。俺が守る、そう決めたから。
…少し早まったかも。
そう思ったのは直ぐだった。
翠を守ることじゃない、ましろさんにそう宣言してしまったことを、だ。
「翠の写真、アルバムに。」
写真…?さっきのか。
写真をアルバムに投稿した。
「これだけ?」
「まだあるだろ?」
まだあるだろ?まあ、あるけど。
ちょっと怖くなる。
「潮干狩りのと磯山学園のが欲しい。
というか、全部見せろ。」
ってどういう事?
「親父、この辺で辞めとかないと。」
見かねて藍さんが助け出してくれようとする。
「ああ、わかった。
今日はこの辺で。」
今日は?
俺、しちゃいけない事をしたんだ。
…何が、かはわからないけど。
きっと翠がさっき言ってた「変な事」。
「疾風、後は頼んだ!俺はもうこれ以上翠に嫌われたくはない!」
えっ!?ええっ!?
「覚悟をしなさい、疾風くん。
これから頼んだよ。」
ましろさんはニッコリと笑うけど、目は笑ってない…気がした。
翠がこっちに来ないとわかると、ましろさんは直ぐに俺達のテーブルへとやってきた。
「君は…去年はいなかった、ね。」
はい、誘われたけど、行けなかった。
そういうとましろさんは少しどこか嫌そうな顔をした。
「去年もね、沢山の友達が来てくれた。翠はね、あんまり自分のことを俺には話さない。
だからこうやって無理矢理にでも友達を紹介させる。
でないと、演奏会や行事のたびに翠のところへ行って、友達一人一人に話を聞かないと…心配でいられなくなってしまう。」
ああ、だから。
「やらなきゃやらなきゃで面倒。」
翠がそう言っていた。
「去年も沢山のお友達が来てくれて、翠は本当に楽しそうだったけど、直ぐに学校生活がおかしくなった。…君は知ってる…よね?」
貴行の事だ、そう思った。
「学校から親へ連絡が無いはずがないだろう?」
短期間で翠が買い直した学用品は普通の学校生活じゃあり得ない。
上履き、体操着、教科書…。
肌身離さず持ち歩いていたトランペットを音楽室に預けるようにもなった。
「…確かに。はい。」
「それでも翠は何も俺には話さない。」
「心配掛けたくなかった…んじゃないでしょうか…。
それに…その件は、もう…。」
「何か知ってる、そうだね?
イヤ、やっぱりいい。君から聞く訳にはいかない。それくらいはわかる。
でないと翠が本当に口を聞いてはくれなくなる。」
ましろさんはそう言って弱々しい作った笑顔を見せる。
絵里…。今この場には原因のひとりの絵里がいるから…話せない。
だけど…だけど。
「ちょっとした誤解が、縺れて絡んだんです。今は…大丈夫です。」
このくらいなら。
「そうか。あと体育祭の辺りでも…。」
「はい。」
これは話せる。
「2年でセクションリーダーになったプレッシャーだったんです。」
「そうか、うん、そうだね。俺も同じく音楽の道を歩いてきた、大抵のことは想像できるし、似たような事も経験してきてる。
…でも翠は頼ってくれない。」
「それは…俺もでした。」
「そうなのか?」
「はい…。普通に振舞ってて。だけど…金管のメンバーに救われた、そう言ってました。」
「残念だ。君が去年来てくれていたら、もう少し穏やかに見守れたかもしれない。
去年はまだクミちゃんに色々聞けたけど、いじめの犯人がわからなかったから、今年はクラス替えで翠の友人はほとんどリセットされたと思う。
だから約束してくれるか?
翠を、側で見てやれない俺たち家族の代わりに…あの…。
何かあったら直ぐに教えて欲しい。」
とましろさんはお願いして来る。
…そっか。アレが原因か。
4月、仲の良い子が見事にバラバラにされて、落ち込んでいた翠を思い出した。
…配慮ってヤツだ。
直ぐに優と仲良くなって、それはそれで良かったけど。
けれど結果としてましろさんは学校での伝手がなくなり翠の様子を知る事が難しくなった。
…クミなら何か知ってるのかもしれないけど…。
まあ、いい。
今は大丈夫だと胸を張って言える。
「任せてください。」
そう伝えた。
ずっと側にいる、そう約束したんだから。
もう翠は泣かせない。俺が守る、そう決めたから。
…少し早まったかも。
そう思ったのは直ぐだった。
翠を守ることじゃない、ましろさんにそう宣言してしまったことを、だ。
「翠の写真、アルバムに。」
写真…?さっきのか。
写真をアルバムに投稿した。
「これだけ?」
「まだあるだろ?」
まだあるだろ?まあ、あるけど。
ちょっと怖くなる。
「潮干狩りのと磯山学園のが欲しい。
というか、全部見せろ。」
ってどういう事?
「親父、この辺で辞めとかないと。」
見かねて藍さんが助け出してくれようとする。
「ああ、わかった。
今日はこの辺で。」
今日は?
俺、しちゃいけない事をしたんだ。
…何が、かはわからないけど。
きっと翠がさっき言ってた「変な事」。
「疾風、後は頼んだ!俺はもうこれ以上翠に嫌われたくはない!」
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