若松2D協奏曲

枝豆

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happy birthday

初試合

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「どうして見送りに来なかったんだ?」
ましろさんからの連絡に、
「部活の試合だったので行けませんでした。」
と返すしかない。

だって…今日は部活だから。
バスケ部の秋の新人戦が始まっている。

翠にはちゃんとその事は伝えてあって、パーティーの後で誕生日プレゼントを渡して、
「お互い頑張ろうね。」
と約束しあって…。

翠からも合間に連絡が来てる。

広島駅に着いたよ。
宿に着いたらすぐ練習だからしばらく電源切るね。
試合頑張って。

会場の観客席の一部に割り当てられた、若松高校の荷物置き場の片隅に座り込んで、最後の携帯チェックをしてた。

「翠から?」
「ああ、広島着いたよって。」

今日の試合は地区大会の初戦。

「…もう、そろそろ時間。」
「うん、すぐ行く。」

3年が引退して、俺達の代が主軸になり、皇がキャプテンになった。

そろそろ…。
今日の試合に集中しろって事だよな。

俺も電源を落として、カバンに突っ込んだ。



3年生が主体で試合に出ていた頃、俺達の学年に割り当てられるのは良くて枠ひとり分。
フォワードの北斗か俺、センターの皇か。
やっと3人揃って試合に出れるようになった。

試合開始前の練習時間。
最後のフォーメーションの確認中。

ガードの真人は高校生になって初の公式戦。
…ちょっと、いやかなり動きが固い。

「真人!らしくねーぞ!考えんな!」
「…ふぁい!」
…アハハ、だいぶ緊張してんな。

チラリ、北斗を見る。
北斗がニヤリと笑ったのが合図。

「真人!こっち!」
とパスを貰って…。
速攻でそのまま北斗の脚目掛けてワンハンドで投げつけた。

…そうまるでドッジボールみたいに。

俺が投げたボールは北斗の脚に当たる前に北斗にジャンプして避けられる。
「っと、あぶねっ!」
あはは、と笑いながら、コートの外に出てしまったボールを取りに行く。
取ってきたボールを同じように俺に猛スピードで投げ返してきて…。
無理矢理止めたボールを同じく真人に返す。
…単調な練習に飽きた時、俺達が時々やるお約束だ。
「くおらー、疾風!テメェ真面目にやれ!」
と皇がキレ始めるのもお約束だ。

「うっせー、どんなパスでも取れねー奴の方が下手なんだ!なっ、真人!」

真人がニヤリと笑う。
「ああそうだ、取れねー奴が下手くそだ!」

ゲームメイクをしていく真人。その真人がはっきりと言った。
「取れねー奴が下手くそだ!」ってな。
「あー、うるせー!どんなパスでも取ってやる!バッチこい!だ!」
北斗が叫んだ。

…もう大丈夫。

この試合、絶対に負けない!






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