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アンハッピーハロウィン 富田
禁止令
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放課後に面談の約束をさせられて、鳩の死体は用務員さんが持って行ってくれた。
教室に入ってしばらくすると、原田が教室に入って来た。
「全員、靴を持って来て。しばらく下駄箱の使用を禁止するから。」
えっ!?
なんで?
教室中が騒めき出す。
廊下に人が溢れ出した。隣のクラスも動き始めたらしい。
原田は俺の方をじっと見るから、プイッと横を向いた。
…余計な事してんじゃねぇーよ。
これじゃ、尻尾捕まえられねーじゃねぇか。
「他人の下駄箱にイタズラをするヤツがいる。犯人が名乗り出るまで下駄箱の使用を禁止する。ホラ、早く靴を取りに行け!」
ガタガタと椅子を引く音がして、みんながブーブー文句を言いながら廊下に歩いて行った。
「富田、お前のだろ?」
悠太がそう聞いてくるけど、
「知らねー。」
と答えておく。
だって直ぐ近くには真っ青な顔をした新田がいる。
山本も何か思い当たるのだろうか、2人で顔を見合わせている。
…察するなよ、気付くなよ。良いことなんか無いんだから。
昼休み。
中庭でコッチを睨んでいるアイツに向かって歩き出そうとした時、
「…富田…どこ行くの?」
って新田が不安そうな声で俺を呼び止めた。
「…どこにも。」
本当はアイツを問い詰めたかったケド、新田の前じゃ出来ない。
「図書館…行こう?」
新田が手を差し出して俺を誘う。
その手をしっかりと握って、
「うん、行こう。」
と答える。
先生達は山本の私物が荒らされた時、何もしていなかった訳ではなかった。
それは放課後の面談で知らされた。
「去年の今頃も似たような事があってな。
それはひと月くらいで収まったんだが、今度また起きたらどうするかは決めてあった。」
「それが靴箱使用禁止?」
「ああ、そうだ。」
「無関係なヤツ巻き込むなよ。」
俺たちが授業を受けている間にカラの下駄箱はビニールシートで覆われていて、使いたくても誰も使えない状態にされていた。
「ロッカーは何もされてないか?」
「教室のとロッカー室のは空にしたから、されてない。」
「空!?それ困らないか?」
「部室のがあるから、平気。」
「それはそれでどーかと思うけど、仕方ない、今回は見逃す。」
まさかと思うけど、ロッカーも使用禁止にするつもりか?と聞いたら、被害が出ればそうだと答えた。
「みんな困るだろう?」
「スポーツ系の部活の奴は困らないだろう?お前みたいに。」
と原田はニヤリと笑った。
帰宅部、文化部の奴らは困るだろーがっ!
「靴箱もロッカーを禁止にして、犯人捕まえる気ないの?」
「あるよ。
「どうやって。」
「お前の心当たりと、教員の心当たりの結果次第。」
「…吐けっていうの?」
「そうだ。もうお前だけの問題じゃない。さすがに鳩はやりすぎだろ。」
まあ、確かにな。動物に罪はない。
「A組の森。」
「理由は?接点無いだろ。」
「…ある。好きなヤツが同じ。」
「誰だ。」
それには答えない。新田は巻き込めない。
原田が探るように俺を見つめる。
仕方ないから、じっと見つめ返してやった。
剣道三段の俺と睨み合いをして勝てるなんて思うなよ。
だけどインドアの教員に負けたのは俺だった。
「新田。じゃないと答えが合わない。」
と原田に言われて、スッと視線を逸らしちまった。くそっ!全部お見通しか。
だけど。
「言いたく無い。」
と悪あがきをしてみる。
諦めて原田はそこで話題を変えた。
「ずっと耐えるつもりだったか?」
「まさか。こっちからは手を出さないけど、向こうから出して来たら話は別。」
「…剣道か。お前は絶対に手を出すな。正当防衛でも専守防衛でもダメ。
後は俺たちに任せろ。」
「…わかった。」
嫌だって言ったら、話は進まないし終わらない。
渋々だけど、不本意だけど。
「富田、お前のロッカーの鍵寄越せ。」
「鍵なんか付けてない。」
「…じゃあ、こっちで付ける。」
カラのロッカーに鍵!?
「無駄な事すんなよ。」
「ビデオカメラを入れる。」
「そんなん捨てられて終わりだろう?」
「データはWi-Fiで飛ばす。」
「本気?」
去年見逃されたから、アイツ何にも考えて無いんだろうな。先生に当たりつけられていたことも対策練られていたことも気付いてない。
森ってヤツ、おそらくはもう詰んでる。
「ああ、誰にも言うなよ。」
言わねーって。
和津以外には。
教室に入ってしばらくすると、原田が教室に入って来た。
「全員、靴を持って来て。しばらく下駄箱の使用を禁止するから。」
えっ!?
なんで?
教室中が騒めき出す。
廊下に人が溢れ出した。隣のクラスも動き始めたらしい。
原田は俺の方をじっと見るから、プイッと横を向いた。
…余計な事してんじゃねぇーよ。
これじゃ、尻尾捕まえられねーじゃねぇか。
「他人の下駄箱にイタズラをするヤツがいる。犯人が名乗り出るまで下駄箱の使用を禁止する。ホラ、早く靴を取りに行け!」
ガタガタと椅子を引く音がして、みんながブーブー文句を言いながら廊下に歩いて行った。
「富田、お前のだろ?」
悠太がそう聞いてくるけど、
「知らねー。」
と答えておく。
だって直ぐ近くには真っ青な顔をした新田がいる。
山本も何か思い当たるのだろうか、2人で顔を見合わせている。
…察するなよ、気付くなよ。良いことなんか無いんだから。
昼休み。
中庭でコッチを睨んでいるアイツに向かって歩き出そうとした時、
「…富田…どこ行くの?」
って新田が不安そうな声で俺を呼び止めた。
「…どこにも。」
本当はアイツを問い詰めたかったケド、新田の前じゃ出来ない。
「図書館…行こう?」
新田が手を差し出して俺を誘う。
その手をしっかりと握って、
「うん、行こう。」
と答える。
先生達は山本の私物が荒らされた時、何もしていなかった訳ではなかった。
それは放課後の面談で知らされた。
「去年の今頃も似たような事があってな。
それはひと月くらいで収まったんだが、今度また起きたらどうするかは決めてあった。」
「それが靴箱使用禁止?」
「ああ、そうだ。」
「無関係なヤツ巻き込むなよ。」
俺たちが授業を受けている間にカラの下駄箱はビニールシートで覆われていて、使いたくても誰も使えない状態にされていた。
「ロッカーは何もされてないか?」
「教室のとロッカー室のは空にしたから、されてない。」
「空!?それ困らないか?」
「部室のがあるから、平気。」
「それはそれでどーかと思うけど、仕方ない、今回は見逃す。」
まさかと思うけど、ロッカーも使用禁止にするつもりか?と聞いたら、被害が出ればそうだと答えた。
「みんな困るだろう?」
「スポーツ系の部活の奴は困らないだろう?お前みたいに。」
と原田はニヤリと笑った。
帰宅部、文化部の奴らは困るだろーがっ!
「靴箱もロッカーを禁止にして、犯人捕まえる気ないの?」
「あるよ。
「どうやって。」
「お前の心当たりと、教員の心当たりの結果次第。」
「…吐けっていうの?」
「そうだ。もうお前だけの問題じゃない。さすがに鳩はやりすぎだろ。」
まあ、確かにな。動物に罪はない。
「A組の森。」
「理由は?接点無いだろ。」
「…ある。好きなヤツが同じ。」
「誰だ。」
それには答えない。新田は巻き込めない。
原田が探るように俺を見つめる。
仕方ないから、じっと見つめ返してやった。
剣道三段の俺と睨み合いをして勝てるなんて思うなよ。
だけどインドアの教員に負けたのは俺だった。
「新田。じゃないと答えが合わない。」
と原田に言われて、スッと視線を逸らしちまった。くそっ!全部お見通しか。
だけど。
「言いたく無い。」
と悪あがきをしてみる。
諦めて原田はそこで話題を変えた。
「ずっと耐えるつもりだったか?」
「まさか。こっちからは手を出さないけど、向こうから出して来たら話は別。」
「…剣道か。お前は絶対に手を出すな。正当防衛でも専守防衛でもダメ。
後は俺たちに任せろ。」
「…わかった。」
嫌だって言ったら、話は進まないし終わらない。
渋々だけど、不本意だけど。
「富田、お前のロッカーの鍵寄越せ。」
「鍵なんか付けてない。」
「…じゃあ、こっちで付ける。」
カラのロッカーに鍵!?
「無駄な事すんなよ。」
「ビデオカメラを入れる。」
「そんなん捨てられて終わりだろう?」
「データはWi-Fiで飛ばす。」
「本気?」
去年見逃されたから、アイツ何にも考えて無いんだろうな。先生に当たりつけられていたことも対策練られていたことも気付いてない。
森ってヤツ、おそらくはもう詰んでる。
「ああ、誰にも言うなよ。」
言わねーって。
和津以外には。
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