若松2D協奏曲

枝豆

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アンハッピーハロウィン 富田

あっけない終わり

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原田のヤツ、俺までも騙しやがった。

ビデオカメラをつけたのはロッカーだけじゃなくて、自転車置き場もだった。

学校の駐輪場に自転車を停めるためには事前に申請を出さなきゃならない。
防犯登録番号と持ち主の名前を書いた申請書を出して、自転車に通し番号がついたステッカーを貼らなきゃいけない。

だから原田は直ぐに俺の自転車を割り出した。
俺が知らないうちに俺の自転車の周りに停まってた自転車は離れたところに移動させられていて。

昼休みに俺の自転車に森が近づいた映像がバッチリ残された。

俺が直した覚えのない自転車のタイヤの空気弁は、用務員が知らない間に直していた。
森が駐輪場から出た時、そこには原田と津山が揃って立っていた。
俺の自転車のタイヤは刃物でズタズタに切り裂かれていた。
その瞬間を先生達は視聴覚室のモニターでしっかりと確認してた。


俺がその話を聞いたのは、呼び出された6時間目の授業中。

「やっぱり森だった。」
面談室で真っ赤な瞳の原田がそう告げた。
「…アイツは。」
「津山先生と校長室で保護者待ち。」

森は全部吐いたそうだ。
「山本の事も?」
「ああ。」

…終わった?
イヤ、まだだ。

アイツはもうしないかもしれないけれど、新田の恐怖は消えてない。

「なあ、少し時間くれない?俺と新田と山本とで話したいんだけど。」
「…許可出来ない。森は今普通じゃない。」
「じゃあ、俺だけでも。」
「…許可出来ない。」

バンっ!

痛え!ちょっとやりすぎたか?
思ったよりも怒りが外にでちゃったらしく、机を叩いた手のひらがジンジンと痛い。

「悪いけど、俺も今普通じゃない。」

ちゃんと話さないと終わりにはならない。
おそらく森はもう学校には来れない。
アイツがやったことは犯罪だから。動物虐待、器物破損。無かった事にはきっとできない。
少なくても俺はしない。

「謝ってほしいとかじゃない、新田の気持ちを伝えるだけ。」
たったそれだけ。お前なんか好きでもなんでも無い、もう関わってほしく無い、そう告げるだけ。

原田は腕組みをしたまま俺を睨むようにみつめて、
「手紙にしろ。」
と冷たく言い放つ。

「原田!」
「…許可できるのは手紙までだ。」
「なんで!」

原田はその理由を簡潔に伝えた。
「…警察に行くから。」

取り押さえる時、森は刃物を持っていて…それを原田に向かって振り下ろしてた。


















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