若松2D協奏曲

枝豆

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新年

ただいま 優

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ただいま。

そう言って仁志と北斗のいる店にラーメンを食べに行く。
もちろん美和子さんの家でもたくさん食べたけど、ラーメン屋に行くためにはラーメンが食べられるお腹を開けておかないとならない。

「あっ、優ちゃん。おかえりなさい。仁志もおかえり。」

このお店で働く人の大半は「ただいま」と店に入る。それで「おかえり」と迎えてもらう。
出迎えてくれたのは北斗のお母さん。

「あけましておめでとう。ごめんね、北斗借りちゃって。」
「…いえ。」

「優、おかえり。2階行ってて!仁志も。」
と北斗にいわれて、居室への階段を上がる。

「俺、1年もここで働いてるのに、仁志も、って「も」って酷い!」
「…なんかごめん。」
「…どうした?らしくねぇーな。」
「すいませんね、らしくなくて。」

…ホントらしくねぇなぁ。
仁志の独言は聞こえない。

「仁志だって、最近変だよ。」
「そう?気のせいじゃない?」

気のせいじゃない。

最近みんなバラバラ。
和津と富田は急激に仲良くなって、翠と絵里と4人でなんかコソコソしてる。

富田と仁志はとっても仲が良かったのに、最近仁志は富田よりも北斗の側で過ごす。
翠と絵里がコソコソしてるから、私は花音や菜々子と一緒にいる事が増えた。

…最近、みんなと居ても居心地があんまり良くない…気がする。

「優、初詣どうだった?」
ラーメン丼の乗ったお盆を持って北斗が2階に上がってきた。
3つあるから、北斗も少しはここに居られるんだろう、と思うとちょっとホッとする。

「うん、楽しかったよ。こっちに戻ってたんだね。」
北斗がいたらもっと楽しめたと思うけど。
「うん、パートのおばちゃんの代わりだから、学生さんが来たら帰れた。」

暮れに浜通りで採用された調理師さんと大学生さんは冬休みが終わる頃にシフトにそれぞれひとり分としてカウントされるようになる。
そうしたらおかみさんがこっちに専念できる。
それまでの我慢。

「富田ん家のカルタ会どうだった?」
「…行ってない。皇子と嶋田さんの新年会に行った。」
「えっ!?疾風と翠は?」
「カルタ会。」

えっ!?えっ!?と北斗がうるさい。

「もう、うるさい!」

自分だってビックリだ!

「北斗、お前なんとかしろ。」
「なんとかしなくちゃなんねーのはお前らの方だろう?」
「はっ!?なんで俺!?」

「原因はお前と絵里と富田!!」
「…関係ない!!」
「ある、絶対ある!!」

そう、きっとおかしいのはこの3人だ。
この3人がクラスをおかしくしている。

そう思うけど…。
どうしたらいいか、わからない。

だって…。
私は仲間はずれだから。
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