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新年
3回戦
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ここまではいい。
本題はここから。
「俺、富田と新田は付き合い始めたと思ってるんだけど。」
俺が聞くと、新田は俯いて、富田は
「違う!」と否定した。
「そこだ!俺は納得できない。」
仁志が叫ぶ。
「なんなんだよ、あれだけ手繋いだり腕組んだりイチャイチャしてたくせに、貴行ってヤツの件が片付いたら、もうお終い、別れるってか!?」
「別れるも何もそもそも付き合ってない!」
その言葉に新田が目を見開く。
「聞く順番間違えた。
仁志、悪いけど、お前から。」
ごめん、仁志。恨み言は後で必ず聞いてやるから。
ああ、と仁志が姿勢を正した。
「気にはなってた。身の丈に合わないのもわかってた。
だけど…だから…絵里は俺にとっては友達。絵里の恋を応援できるくらいには、友達。」
「はぁ?お前何言い切ってんの!友達?あり得ない!ふざけんな!」
「…だから富田。勝手に新田の気持ちを決めつけるな。それにもし新田が仁志を好きだと思っていても、仁志がそれに必ず応えなきゃいけないモノでもない。」
富田はダンマリだ。
いるよなこういう時、黙ってただ嵐が過ぎ去るのを待つしか出来ない奴。
脳が思考停止してて、何にも考えられなくなる奴。
まあ、いい。黙って聞いてろ。
最後にはお前は話さなきゃならなくなるんだから。
お前が吐き出さないとこの話し合いは終わらないんだから。
聞きながら気付け!お前の最大の勘違いに。
「次!新田!」
「もういい!もうわかった!」
「絵里、大丈夫。翠ちゃんもそう言ったよな。信じろ、富田を信じろ!」
「もう…いい…。もう…無理。」
とうとう絵里は泣き出した。
「絵里…。頑張ろう。でないとコイツは一生気付かない。」
「…無理。もういい!失恋でも破局でもお別れでもなんでもいい!」
はあ、泣くなよ。
ったく、世話が焼ける。
「富田。お前は好きでもない女の子と手は繋げるか?好きでもない女の子と恋人のフリは出来るか?」
「…出来ない…と思う。」
「でも、このままだとお前は新田にそういうことをした、そうなるぞ?」
富田の顔が赤くなる。
やっと自覚したか。
「そりゃ俺は新田の事が…だけど…新田は…。」
…まだ言わないか。往生際が悪すぎる。
そして勘違いには気付いてねぇー。
「新田、多分ここが富田の限界だと思う。お前がはっきりと言ってやれ。」
そう水を向けてやった。
俺に出来るのもここまでだ。
「もういい!もお、おわり!」
ちっ、新田のヤツ、怯みやがった。
さて、どうしよう。
悩んだ一瞬に動いたのは仁志だった。
「じゃあ、絵里。俺と付き合ってよ。初めは友達からでいいからさぁ。」
「仁志!ヤメロ!」
…馬鹿だコイツ。傷口に自分で塩を刷り込み始めた。
「…やめない!
だって、富田、譲ってくれるんだろう?
俺が絵里と手を繋いでも腕を組んでも…キスしても、お前にはどうでも良いんだろう?
だったらもう放っておいてくれればいいから。
変に気を使わなくてもいい、俺自分で頑張るよ。」
視線は真っ直ぐに新田を見ている仁志。
対照的に俯いたままの富田。
それでも新田はきちんと答えを決めた。
「…仁志じゃない。
ご、ごめん、仁志じゃない。富田じゃなきゃ…。ダメ…。」
泣きながら新田がつぶやく。
富田が立ち上がった。
「仁志、帰ろう。」
試合終了、この先はもう仁志は見なくていい。
本題はここから。
「俺、富田と新田は付き合い始めたと思ってるんだけど。」
俺が聞くと、新田は俯いて、富田は
「違う!」と否定した。
「そこだ!俺は納得できない。」
仁志が叫ぶ。
「なんなんだよ、あれだけ手繋いだり腕組んだりイチャイチャしてたくせに、貴行ってヤツの件が片付いたら、もうお終い、別れるってか!?」
「別れるも何もそもそも付き合ってない!」
その言葉に新田が目を見開く。
「聞く順番間違えた。
仁志、悪いけど、お前から。」
ごめん、仁志。恨み言は後で必ず聞いてやるから。
ああ、と仁志が姿勢を正した。
「気にはなってた。身の丈に合わないのもわかってた。
だけど…だから…絵里は俺にとっては友達。絵里の恋を応援できるくらいには、友達。」
「はぁ?お前何言い切ってんの!友達?あり得ない!ふざけんな!」
「…だから富田。勝手に新田の気持ちを決めつけるな。それにもし新田が仁志を好きだと思っていても、仁志がそれに必ず応えなきゃいけないモノでもない。」
富田はダンマリだ。
いるよなこういう時、黙ってただ嵐が過ぎ去るのを待つしか出来ない奴。
脳が思考停止してて、何にも考えられなくなる奴。
まあ、いい。黙って聞いてろ。
最後にはお前は話さなきゃならなくなるんだから。
お前が吐き出さないとこの話し合いは終わらないんだから。
聞きながら気付け!お前の最大の勘違いに。
「次!新田!」
「もういい!もうわかった!」
「絵里、大丈夫。翠ちゃんもそう言ったよな。信じろ、富田を信じろ!」
「もう…いい…。もう…無理。」
とうとう絵里は泣き出した。
「絵里…。頑張ろう。でないとコイツは一生気付かない。」
「…無理。もういい!失恋でも破局でもお別れでもなんでもいい!」
はあ、泣くなよ。
ったく、世話が焼ける。
「富田。お前は好きでもない女の子と手は繋げるか?好きでもない女の子と恋人のフリは出来るか?」
「…出来ない…と思う。」
「でも、このままだとお前は新田にそういうことをした、そうなるぞ?」
富田の顔が赤くなる。
やっと自覚したか。
「そりゃ俺は新田の事が…だけど…新田は…。」
…まだ言わないか。往生際が悪すぎる。
そして勘違いには気付いてねぇー。
「新田、多分ここが富田の限界だと思う。お前がはっきりと言ってやれ。」
そう水を向けてやった。
俺に出来るのもここまでだ。
「もういい!もお、おわり!」
ちっ、新田のヤツ、怯みやがった。
さて、どうしよう。
悩んだ一瞬に動いたのは仁志だった。
「じゃあ、絵里。俺と付き合ってよ。初めは友達からでいいからさぁ。」
「仁志!ヤメロ!」
…馬鹿だコイツ。傷口に自分で塩を刷り込み始めた。
「…やめない!
だって、富田、譲ってくれるんだろう?
俺が絵里と手を繋いでも腕を組んでも…キスしても、お前にはどうでも良いんだろう?
だったらもう放っておいてくれればいいから。
変に気を使わなくてもいい、俺自分で頑張るよ。」
視線は真っ直ぐに新田を見ている仁志。
対照的に俯いたままの富田。
それでも新田はきちんと答えを決めた。
「…仁志じゃない。
ご、ごめん、仁志じゃない。富田じゃなきゃ…。ダメ…。」
泣きながら新田がつぶやく。
富田が立ち上がった。
「仁志、帰ろう。」
試合終了、この先はもう仁志は見なくていい。
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