グリーンピアト物語~命を紡いで愛を紡ぐ・国王様の愛した女医さん~

紫メガネ

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命を紡いで愛を紡ぐ…永遠に

生涯を紡ぐ永遠の愛

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 セシレーヌはちょっと赤くなって、そっとお腹に手をあてた…。

「実は…子供ができたの…」
「え? 本当ですか? 」

「ええ。ずっと、不順だったから気が付かなくて。…最近、体調が悪くて調べてもらったら妊娠反応が出ているって言われて。…もうすぐ6週目に入るって、言われたの…」

 
 満面の微笑みを浮かべて、ジュニアールはギュッとセシレーヌを抱きしめた。

「おめでとうございます。…嬉しいです、私と貴女の愛の結晶が来てくれたのですね」
「…うん…」

「お腹の子は、奇跡の子です」
「奇跡の子? 」

「ええ、メイシスの命受け継いでくれた貴女がいたから来てくれたのですよ。鎮魂したメイシスからの、贈り物かもしれませんね」
「そうかもしれない…。でも、結婚式まだ終わっていないし。結婚の報告だって、まだ国民の方にしていないのに…」

「そんな事は気にする事はありませんよ。私の、父と母も授かり婚ですから」
「え? そうなの? 」

「はい。王家は代々、授かり婚が多いと聞いています。私がメイシスと結婚を決めた時には「赤ちゃんが来てっくれたのか? 」て聞かれたくらいでした。「まだです」って答えたら、意外そうな顔をされましたよ」


 王家が授かり婚が多いとは意外だ。
 でも…
 来てくれた命を素直に喜ぼうと、セシレーヌは思った。


「結婚式、早くしませんか? お腹が目立たないうちに、すませた方がいと思うのですが」
「そんな…まだ何も発表していないし…。結婚式は、やらなくてもいいと思うの」

「どうしてですか? 」
「苦手だもん…そうゆうの…」

「何を言っているのですか。貴女の一生に一度の門出じゃないですか。ちゃんとやりましょう。私も、貴女のウェディングドレス姿、ちゃんと見たいですから」
「でも年内。あと2ヶ月、病院の勤務が残っているし。その間に、お腹目立ってくると思うから」

「それでもいいですよ。それに、今6週ならこれから悪阻などで大変です。2か月後なら、少し落ち着いているのではありませんか? 」
「個人差があるから、分からないけど」

「体調を見計らって、結婚式やりましょう。お腹の子も、きっと望んでいますよ」


 ヨシヨシと、ジュニアールはセシレーヌの頭を撫でたジュニアール。

 セシレーヌはちょっと複雑だったが、一生に一度の事だからと前向きに考える事にした。




 
 それからの日々は、セシレーヌも気を付けながら仕事をしていた。

 まだ安定期ではなくボチボチ、悪阻も始まりつつあり時折気分が悪そうにしているセシレーヌを気遣う看護師もいた。


 
 
 セシレーヌの勤務が終わりにしかづいて来た頃。

 看護師の間で

「セシレーヌ先生、もしかして妊娠している? 」
「最近、なんとなくお腹出てきていない? 」

「なんだか胸も大きくなっている感じ」
「気分が悪そうにもしていたし」

 などと看護師の間では言われるようになっていた。


 もう12週を過ぎて4ヶ月目に入ろうとしている。
 それほどお腹が出てきているわけではないが、細身のセシレーヌにしてはちょっとお腹がふっくらしてきたようにみえるようだ。

 
 そんな看護師達の噂もセシレーヌは気にしないまま。

 無事に全ての勤務をこなして病院を退職した。


 去り行くセシレーヌを惜しむ声も多く、これからどうするのかを聞かれるとセシレーヌは「まだ決めていません」とごまかしていた。


 最後までジュニアールと結婚する事は、誰にもバレないままだった。






 病院を退職したセシレーヌは、そのままお城に向かった。

 
「お疲れ様」

 と、ジュニアールとミディスが迎えてくれた。


「セシレーヌ様、長い間お疲れ様でございます」

 ブック里が丁寧な挨拶をしてくれた。
 

「ブックルさん、私には気を使わないで下さい」

 ちょっと照れてセシレーヌが言った。

「いえ、王妃様になられるお方ですから」

 と、ブックルは生真面目に答えた。

 何となく気が引けるのもあるが、執事と王妃なら仕方がないだろうとセシレーヌは納得した。




 

 セシレーヌがお城に来てから2週間後。

 年明けして暫く経過した頃に、ジュニアールとセシレーヌの婚約が発表された。


 国民達はやっと再婚してくれたと、とても安心して大喜びしていた。
 出会いのきっかけが手術と書いてあり、納得さる事も多かった。

 国立病院ではクラウドル以外は何も知らず、大変驚かれていた。


 号外にはセシレーヌの素顔も写っていて、火傷の跡があるセシレーヌしか知らない者が多く驚いていた。

 大きなマスクで退職するまで、ずっとマスクを外さなかったセシレーヌ。
 いつの間にあんなに酷かった火傷の跡が消えたのだろうか? と不思議で。
 クラウドルにセシレーヌが結婚する事を知っていたのか? と、聞いてくる医師達も多かったが何も知りませんとクラウドルは言いとおしていた。


 現在、妊娠4ヶ月を経過している事も書かれており、看護師の間ではなんとなくセシレーヌが妊娠しているのではないか? と感じていた者もいて、ずっと隠していたセシレーヌだったが、国王様の子供もであるゆえに騒がれたく無かったのではないか? と話している。



 結婚式は発表から翌週に行われるが、セシレーヌが妊娠している事もあり城下町へのパレードは中止になり城内でのみ行われる事になった。

 
 
 もうすぐ38歳になるジュニアールと、31歳のセシレーヌ。
 2人の歳の差は7歳あるが、とてもそんなふうには見えず、とても仲が良く初々しい。
 
 ミディスはセシレーヌを「お母さん」とは呼ばずに「お姉ちゃん」と呼んでいる。
 親子になったはずなのに、姉妹みたいなミディスとセシレーヌ。

 ジュニアールは、そんな関係でも別に良いと言っている。






 ちょっと天然で不思議な国王ジュニアール。
 そんなジュニアールが愛した女医さんは、火傷の跡を背負って自分に蓋をしていました。

 それに気づいたジュニアールは、伝授された不思議な力で、セシレーヌの火傷の跡を綺麗に消して蓋を開けました。

 綺麗な顔に戻ったセシレーヌは、喜びがあふれる中、ジュニアールの愛したメイシスの心臓を移植してもらった事にとても罪悪感を感じていた。

 でも、愛する人の命を受け継いでくれていたのが、愛した人だったことを知るとジュニアールは溢れんばかりの喜びでいっぱいになった。

 
 国王様の愛した女医さんは、愛する人の命を受け継いだ人だった。

 奇跡が重なり、愛する人の命を受け継いだ人と、今愛し合っているジュニアール。











 長い冬を超えて新緑の季節になる頃。

 ジュニアールとセシレーヌの下に、新しい命が誕生した。


 透明感あふれる白い肌に、まるで天使のような神秘的なエネルギーを持った可愛い男の子。
 名前をシャルロとなずけだ。

 産まれた時はジュニアールに似ているように見えたが、今はセシレーヌによく似ている顔をしている。
 日に日に顔が変わる事から、ミディスにも似ている顔も見えたりとまだ安定していない。


 セシレーヌは黒魔法の力はすっかり消えたようで、感情により無意識に黒魔術を使ってしまう事もなくなった。
 ジュニアールは相変わらず死者の声が聞けたり、ちょっとした傷を治す事はできるが、さすがに酷い火傷を消したしまうほどの力はもう使っていない。

 手術を受けるまでの10年の間は、自分に治癒魔法をかけ体調回復をしていたが。
 手術を受けてからは、すっかり元気になり発作を起こす事もなくなった。
 
 セシレーヌも移植された心臓は、ずっかり自分のものとなり元気に動いている。

 見えていたメイシスの姿はもう見えなくなったが、いつも守られているのは感じている。


 ミディスも弟が産まれてとても喜び、オムツを変えたりミルクを作ったりと手伝ってくれる事も多い。
 歳が離れているがミディスににとっては、たった一人の弟で大切な存在である。
 相変わらずセシレーヌの事を「お姉ちゃん」と呼んでいるミディス。
 シャルとが大きくなる頃には「お母さん」と呼ばないと、混乱されてしまうと言われているが変える気はないようだ。




 産まれてきたシャルロが、まだ不思議な能力を受け継いでるのかどうかは分からない。

 命を紡いで愛を紡いだジュニアールとセシレーヌの、壮大な愛の元に誕生した奇跡の子供シャルロ。

 シャルロはこの先どんな物語を見せてくれるのだろうか?
 今から楽しみである。


 グリーンピアトにまた新しい伝説が生まれた…

 END 



 
 

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