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幸せにならなくては
思いがけない事が…
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翌日。
エルファは昨夜はあまり眠れなかった。
フィーネは昔から自分の思いのままにならないと豹変して、何をやりだすか判らなかった。
平気で人を傷つける事もあり、エルファも殴られたり、ナイフで切られた事もあった。
継母が亡くなってからは、フィーネの暴力はますます酷くなっていた。
そんなフィーネでも幸せになりたいと思う気持ちは、エルファにも痛いほど伝わて来た。
それ故にフィーネが何とか幸せになってほしい…自分のやっている事が、自分で自分を不幸にしている事に気づいてほしいと思って、フィーネの言いなりになっていた。
病院を抜け出して、お金の要求をしてきたフィーネに、エルファはこのまま病院に送り返してもフィーネの気持ちが収まるわけではないだろう…そう思ったのだ。
自分がお金を渡す事で、フィーネが満たされるならと思っていたのだが…。
朝食の後、エルファな部屋で一人考えこんでいた。
昨夜あまり眠れなかったせいなのか、今朝から気分が優れず朝食もあまり食べることが出来なかったエルファ。
コンコン。
ノックの音にハッと驚いて顔を上げたエルファ。
「エルファさん、入るわよ」
セシレーヌがやって来た。
「エルファさん、顔色が悪かったから心配で来てみたの大丈夫? 」
「はい、大丈夫です。ご心配おかけしても申し訳ございません」
「いいのよ、気にしなくて」
セシレーヌはエルファの隣に座った。
「私達は家族よ。心配して、当然じゃない」
「はい…」
「昨日は大変だったわね。でも、何も心配しないでいいのよ。ペリロッドさんから、全て聞いているから」
「父から? 」
「ええ。だから、何も心配しなくていいの。自分の事を、責めたりしなくていいのよ」
「…はい…」
小さく返事をしたエルファ。
そんなエルファの顔を覗き込んだセシレーヌは、エルファの顔色がかなり悪い事に気づいた。
「エルファさん、とりあえず病院に行きましょう。顔色が悪すぎるから」
「いえ、大丈夫です。昨晩、あまり眠れなかったので」
「寝不足だけじゃなさそうよ。ここ最近、食欲も減っていたじゃない。食事の後に、なんだか気分が悪そうにしていたってリューディも話していたわよ。まだ慣れないお城の生活だから、疲れも溜まっていると思うけど。ちゃんと診てもらわなくちゃ、悪化したら大変よ」
「…判りました…」
あまり乗り気ではなかったエルファだが、セシレーヌが言う通り最近食後に胸やけがしたり気分が悪くなったり、お腹が空いているのに食べたくなかったりと症状はあった。
特に動いていないのに眠気が襲ってきて、やったら眠かったり…。
疲れているだけだと思われるが…。
国立病院。
ここは、かつてセシレーヌが勤務していた病院。
現在はクラウドルが理事長できりもりしている。
あれからクラウドルは5年後に結婚して、現在娘が2人いる。
奥さんは元検事で、現在は専業主婦をしている。
娘は、1人は看護師を目指して、1人はクラウドルの後継者を目指している。
家庭を持ったクラウドルは、とっても優しいお父さんの顔をしている為、小児科の子供にとても人気がある。
そして高齢者にも好感度が高い。
診察が終わると、クラウドルはニコっとした笑みをエルファに向けた。
「おめでとうございます。ご懐妊ですよ」
「え? 」
エルファは驚いてきょんとなった。
「気が付かなかったのですか? もうすぐ8週目になります」
「8週目? 」
「はい、これから悪阻も酷くなると思われますので。安静にして下さいね」
エルファはあの夜の事を思い出した。
気づいたらホテルのベッドで寝ていたエルファ。
何があったのか覚えていないエルファだが、何があったのかは想像できた。
結局、顔を見れないまま帰ってしまった心から愛している男性。
電話をもらったが名前すら聞けなかった男性。
どうしよう・・・。
「あの、先生。お願いがあります」
「はい、どうしました? 」
「まだ、この事は内緒にして下さい」
「はぁ・・・」
「すみません。私がきちんと話しますので、絶対に誰にも口外しないで下さい」
「そうですか。わかりました」
診察を終えてエルファが歩いてくると、待合室でセシレーヌが待っていた。
「どうだった? 診察は」
「あ、はい。風邪のようです、数日安静にしていれば大丈夫と言われました」
「そう。じゃあ、栄養のある物を沢山食べてゆっくりしてね」
「はい…」
浮かない気持ちを隠して返事をしたエルファ。
そのまま診察が終わりお城へ戻って来たエルファは、しばらく休む事にした。
公務から帰ってきたシャルロは、セシレーヌからエルファが風邪をひいているようだから暫く安静にしてあげてと言われた。
帰って来てから残務が残っていたシャルロは、暫く執務室にこもっていた。
コンコン。
ノックの音に手を止めたシャルロ。
「シャルロ、入りますよ」
ジュニアールがやって来た。
「父さん…どうかされましたか? 」
「いや、ちょっと気になる事がありましてね」
ゆっくりとソファーに腰かけたジュニアールは、そっとシャルロを見つめた。
「1つお聞きしたいと思いましてね」
「え? なんですか? 」
「いえ。…シャルロは、エルファさんとは一度もお会いしたことはありませんよね? 結婚式まで」
一瞬ドキッとなったシャルロだが、いつもの笑顔を浮かべた。
「ありませんよ、どうしてそんな事を聞かれるのですか? 」
「いえ…。貴方が、エルファさんを見つめる目が前から知っているような目をしているので。もしかして、結婚式の前にお会いしたのではないかと思ったのです」
「そうですか…」
いつもの笑顔を浮かべながら、シャルロはそっと視線を反らした。
そんなシャルロを見て、ジュニアールはピンと何かを感じたようだ。
「エルファさんとの結婚は、結婚式まで会わない写真も見せない名前も教えない。そうゆう条件でした。ですが、運命の赤い糸で結ばれている人は自然に引き合い出会ってしまうものです。それに、ずっと引っかかっているのです。貴方が結婚式前に、急に外泊したことが」
「それは…飲みすぎてしまい、歩けなくなってしまったので外泊しただけですよ」
「そう言っていましたね。でも、帰って来た時の貴方が、とてもイキイキして幸せそうな顔をしていましたので。…その顔を見た時、私も思い出しましてね。セシレーヌと、初めて結ばれた日の事を…」
どうしよう…
もしかして見抜かれてしまったのだろうか?
父さんは勘が鋭い人だから…。
視線を反らして動揺した目をしているシャルロを見て、ジュニアールは小さく笑った。
「シャルロ。きっと、貴方は縁談申し込みを見た時からエルファさんの魂を感じていたのだと思います。それ故に、愛しさも溢れてくるのでしょう。私は、結婚式の前に貴方とエルファさんが出会っていたとしても、悪い事だとは思いません。愛し合うものは自然と引き合うものですからね」
やっぱり見抜かれている…。
どうしよう…。
「お仕事の邪魔をして、すみませんでした。エルファさん、体調が優れないようですから気を付けてあげて下さいね。お城に来てお疲れもあるでしょうし、妹さんの件も心身ともにショックがあると思われますから」
「はい、わかりました」
ジュニアールはそっと席を立った。
席を立ったジュニアールを見て、シャルロは…
「あの、父さん」
声をかけられ、ジュニアールは、ん? とシャルロを見た。
「あの…。」
シャルロが何かを言いかけた時。
コンコン。
「国王様、こちらにいらっしゃいますか? 」
リューディがやって来た。
ジュニアールは何か言痛そうなシャルロが気になりつつも、リューディの声にドアを開けた。
「失礼します。国王様、少しよろしいでしょうか? 」
「どうかしましたか? 」
ジュニアールはリューディと一緒に、執務室を後にした。
シャルロはそっと溜息をついた。
「言い出せなかった…。でも、父さんに言う前にエルファさんに言わなくてはいけないのかもしれない…」
一息ついて、シャルロは机の引き出しを開いた。
その引き出しの中には、黒い手帳が入っている。
その手帳を手に取って、シャルロはじっと見つめた。
「…この手帳を拾った時、とっても嬉しかった…。覚えていなくてもいい…僕の気持ちは変わらない…」
愛しそうな目をして手帳を見つめるシャルロ…。
「ちゃんと話します。…僕も、隠し事をしているからきっと壁が出来ているのです…」
手帳を引き出しにしまって、シャルロは仕事の続きを始めた。
エルファは昨夜はあまり眠れなかった。
フィーネは昔から自分の思いのままにならないと豹変して、何をやりだすか判らなかった。
平気で人を傷つける事もあり、エルファも殴られたり、ナイフで切られた事もあった。
継母が亡くなってからは、フィーネの暴力はますます酷くなっていた。
そんなフィーネでも幸せになりたいと思う気持ちは、エルファにも痛いほど伝わて来た。
それ故にフィーネが何とか幸せになってほしい…自分のやっている事が、自分で自分を不幸にしている事に気づいてほしいと思って、フィーネの言いなりになっていた。
病院を抜け出して、お金の要求をしてきたフィーネに、エルファはこのまま病院に送り返してもフィーネの気持ちが収まるわけではないだろう…そう思ったのだ。
自分がお金を渡す事で、フィーネが満たされるならと思っていたのだが…。
朝食の後、エルファな部屋で一人考えこんでいた。
昨夜あまり眠れなかったせいなのか、今朝から気分が優れず朝食もあまり食べることが出来なかったエルファ。
コンコン。
ノックの音にハッと驚いて顔を上げたエルファ。
「エルファさん、入るわよ」
セシレーヌがやって来た。
「エルファさん、顔色が悪かったから心配で来てみたの大丈夫? 」
「はい、大丈夫です。ご心配おかけしても申し訳ございません」
「いいのよ、気にしなくて」
セシレーヌはエルファの隣に座った。
「私達は家族よ。心配して、当然じゃない」
「はい…」
「昨日は大変だったわね。でも、何も心配しないでいいのよ。ペリロッドさんから、全て聞いているから」
「父から? 」
「ええ。だから、何も心配しなくていいの。自分の事を、責めたりしなくていいのよ」
「…はい…」
小さく返事をしたエルファ。
そんなエルファの顔を覗き込んだセシレーヌは、エルファの顔色がかなり悪い事に気づいた。
「エルファさん、とりあえず病院に行きましょう。顔色が悪すぎるから」
「いえ、大丈夫です。昨晩、あまり眠れなかったので」
「寝不足だけじゃなさそうよ。ここ最近、食欲も減っていたじゃない。食事の後に、なんだか気分が悪そうにしていたってリューディも話していたわよ。まだ慣れないお城の生活だから、疲れも溜まっていると思うけど。ちゃんと診てもらわなくちゃ、悪化したら大変よ」
「…判りました…」
あまり乗り気ではなかったエルファだが、セシレーヌが言う通り最近食後に胸やけがしたり気分が悪くなったり、お腹が空いているのに食べたくなかったりと症状はあった。
特に動いていないのに眠気が襲ってきて、やったら眠かったり…。
疲れているだけだと思われるが…。
国立病院。
ここは、かつてセシレーヌが勤務していた病院。
現在はクラウドルが理事長できりもりしている。
あれからクラウドルは5年後に結婚して、現在娘が2人いる。
奥さんは元検事で、現在は専業主婦をしている。
娘は、1人は看護師を目指して、1人はクラウドルの後継者を目指している。
家庭を持ったクラウドルは、とっても優しいお父さんの顔をしている為、小児科の子供にとても人気がある。
そして高齢者にも好感度が高い。
診察が終わると、クラウドルはニコっとした笑みをエルファに向けた。
「おめでとうございます。ご懐妊ですよ」
「え? 」
エルファは驚いてきょんとなった。
「気が付かなかったのですか? もうすぐ8週目になります」
「8週目? 」
「はい、これから悪阻も酷くなると思われますので。安静にして下さいね」
エルファはあの夜の事を思い出した。
気づいたらホテルのベッドで寝ていたエルファ。
何があったのか覚えていないエルファだが、何があったのかは想像できた。
結局、顔を見れないまま帰ってしまった心から愛している男性。
電話をもらったが名前すら聞けなかった男性。
どうしよう・・・。
「あの、先生。お願いがあります」
「はい、どうしました? 」
「まだ、この事は内緒にして下さい」
「はぁ・・・」
「すみません。私がきちんと話しますので、絶対に誰にも口外しないで下さい」
「そうですか。わかりました」
診察を終えてエルファが歩いてくると、待合室でセシレーヌが待っていた。
「どうだった? 診察は」
「あ、はい。風邪のようです、数日安静にしていれば大丈夫と言われました」
「そう。じゃあ、栄養のある物を沢山食べてゆっくりしてね」
「はい…」
浮かない気持ちを隠して返事をしたエルファ。
そのまま診察が終わりお城へ戻って来たエルファは、しばらく休む事にした。
公務から帰ってきたシャルロは、セシレーヌからエルファが風邪をひいているようだから暫く安静にしてあげてと言われた。
帰って来てから残務が残っていたシャルロは、暫く執務室にこもっていた。
コンコン。
ノックの音に手を止めたシャルロ。
「シャルロ、入りますよ」
ジュニアールがやって来た。
「父さん…どうかされましたか? 」
「いや、ちょっと気になる事がありましてね」
ゆっくりとソファーに腰かけたジュニアールは、そっとシャルロを見つめた。
「1つお聞きしたいと思いましてね」
「え? なんですか? 」
「いえ。…シャルロは、エルファさんとは一度もお会いしたことはありませんよね? 結婚式まで」
一瞬ドキッとなったシャルロだが、いつもの笑顔を浮かべた。
「ありませんよ、どうしてそんな事を聞かれるのですか? 」
「いえ…。貴方が、エルファさんを見つめる目が前から知っているような目をしているので。もしかして、結婚式の前にお会いしたのではないかと思ったのです」
「そうですか…」
いつもの笑顔を浮かべながら、シャルロはそっと視線を反らした。
そんなシャルロを見て、ジュニアールはピンと何かを感じたようだ。
「エルファさんとの結婚は、結婚式まで会わない写真も見せない名前も教えない。そうゆう条件でした。ですが、運命の赤い糸で結ばれている人は自然に引き合い出会ってしまうものです。それに、ずっと引っかかっているのです。貴方が結婚式前に、急に外泊したことが」
「それは…飲みすぎてしまい、歩けなくなってしまったので外泊しただけですよ」
「そう言っていましたね。でも、帰って来た時の貴方が、とてもイキイキして幸せそうな顔をしていましたので。…その顔を見た時、私も思い出しましてね。セシレーヌと、初めて結ばれた日の事を…」
どうしよう…
もしかして見抜かれてしまったのだろうか?
父さんは勘が鋭い人だから…。
視線を反らして動揺した目をしているシャルロを見て、ジュニアールは小さく笑った。
「シャルロ。きっと、貴方は縁談申し込みを見た時からエルファさんの魂を感じていたのだと思います。それ故に、愛しさも溢れてくるのでしょう。私は、結婚式の前に貴方とエルファさんが出会っていたとしても、悪い事だとは思いません。愛し合うものは自然と引き合うものですからね」
やっぱり見抜かれている…。
どうしよう…。
「お仕事の邪魔をして、すみませんでした。エルファさん、体調が優れないようですから気を付けてあげて下さいね。お城に来てお疲れもあるでしょうし、妹さんの件も心身ともにショックがあると思われますから」
「はい、わかりました」
ジュニアールはそっと席を立った。
席を立ったジュニアールを見て、シャルロは…
「あの、父さん」
声をかけられ、ジュニアールは、ん? とシャルロを見た。
「あの…。」
シャルロが何かを言いかけた時。
コンコン。
「国王様、こちらにいらっしゃいますか? 」
リューディがやって来た。
ジュニアールは何か言痛そうなシャルロが気になりつつも、リューディの声にドアを開けた。
「失礼します。国王様、少しよろしいでしょうか? 」
「どうかしましたか? 」
ジュニアールはリューディと一緒に、執務室を後にした。
シャルロはそっと溜息をついた。
「言い出せなかった…。でも、父さんに言う前にエルファさんに言わなくてはいけないのかもしれない…」
一息ついて、シャルロは机の引き出しを開いた。
その引き出しの中には、黒い手帳が入っている。
その手帳を手に取って、シャルロはじっと見つめた。
「…この手帳を拾った時、とっても嬉しかった…。覚えていなくてもいい…僕の気持ちは変わらない…」
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