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校舎内は走らないでください
第20話 研究会 (カリン)
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学院で行われる魔術の授業は、基礎の基礎でしかなかった。
私は自分の魔術を研くため、先生が言われていた研究会に入ることにした。
ここでいう研究会は、前世の大学の研究室やゼミと言うよりは、部活やサークルに近いものらしい。
学院には、魔術や魔道具の研究会だけでなく、様々な研究会があり、歴史やレース編みといった頭や手先を使うものだけではなく、ダンスや剣術など体を動かす研究会なども存在していた。
もちろん、私が入ろうとしていたのは魔術研究会である。
ちなみに、魔術研究会と魔道具研究会は仲が悪いらしい。同じ魔法を扱うのだから、仲良くすればいいと思うのだが、そう思うのは私だけだろうか?
先生に相談したところ、一度活動の様子を見学するように勧められたので、放課後、活動場所である研究会室を訪ねることにした。
学院には研究会室棟があり、魔術研究会は、その二階の一室だった。
コンコンコン。
私は魔術研究会室の扉をノックする。
「すみません。こちら魔術研究会でよろしいでしょうか?」
「そうだけど、何か用かな?」
ドア越しに中から返事がありました。
「入会希望なのですが、その前に少し見学させてもらえればと思いまして――」
「新入生の見学? 随分と早いですね?」
「早い?」
講義が終わってすぐに来てしまったので、早すぎたのでしょうか?
「普通、もっと、学院に慣れて、落ち着いてから研究会の加入を考えるものなんですが」
「そうなのですか? 私の場合、魔術の授業が物足りなかったので、見学に来たのですが」
「魔術の授業が物足りない? なら、魔術は得意なんですね。魔術のランクはいくつです?」
「魔術のランクは5ですが」
バン!
勢いよく入り口のドアが開けられた。
「君! 魔術ランクが5だというのは本当ですか?!」
「は、はい――」
「そうですか、そうですか、どうぞ中に入ってください! ほら、どうぞ、どうぞ! 汚いところですみませんが、そこに座ってください。今、お茶を出しますね。お茶菓子は何がいいかな?」
「どうぞ、お構いなく――」
急に扉が開いて、部屋の中に連れ込まれてびっくりしたが、歓迎されているのは間違いないようだ。
部屋の中には、ドアを開けて部屋に招き入れてくれた男子学生の他に、男子学生がもう一人と女学生が三人、椅子に座っていた。
「今年入学した、カリン・オバンコールです。失礼します」
私は、名前を名乗ってお辞儀をしてから、勧められた椅子に座った。
「私は二年のサテン・ホースチェスよ。カリンさんは、どちらの出身なの?」
「南部のサウスランド・ビーチ公爵領です。父はそこで港町の代官をしています」
女学生の一人が話しかけてきたので、私はそれに答えた。
ホースチェスといえば、確か伯爵家だったはずだ。失礼のないように注意しないと。
「それで、どうやって、ウォール様と知り合ったの?」
「ウォール様? いえ、ウォール様とは学院に来て初めてお会いしましたが――」
「またまたー。今更隠さなくてもいいのよ」
「いえ、本当に入学パーティーまでは、顔も名前も存じ上げませんでした」
「そうなの? じゃあ、一目惚れ? いきなり燃え上がってしまったの?」
「いえ、アカシア様が言われたようなことはありませんから!」
「えー。ほんとにー」
「本当です!!」
私が強く否定すると、彼女はつまらなそうな顔をして、それ以上は問い詰めてこなかった。
しかし、まいったな。困ったことに、入学パーティーのことが、思っていた以上に尾鰭が付いて、話が広がっているようだ。
私は自分の魔術を研くため、先生が言われていた研究会に入ることにした。
ここでいう研究会は、前世の大学の研究室やゼミと言うよりは、部活やサークルに近いものらしい。
学院には、魔術や魔道具の研究会だけでなく、様々な研究会があり、歴史やレース編みといった頭や手先を使うものだけではなく、ダンスや剣術など体を動かす研究会なども存在していた。
もちろん、私が入ろうとしていたのは魔術研究会である。
ちなみに、魔術研究会と魔道具研究会は仲が悪いらしい。同じ魔法を扱うのだから、仲良くすればいいと思うのだが、そう思うのは私だけだろうか?
先生に相談したところ、一度活動の様子を見学するように勧められたので、放課後、活動場所である研究会室を訪ねることにした。
学院には研究会室棟があり、魔術研究会は、その二階の一室だった。
コンコンコン。
私は魔術研究会室の扉をノックする。
「すみません。こちら魔術研究会でよろしいでしょうか?」
「そうだけど、何か用かな?」
ドア越しに中から返事がありました。
「入会希望なのですが、その前に少し見学させてもらえればと思いまして――」
「新入生の見学? 随分と早いですね?」
「早い?」
講義が終わってすぐに来てしまったので、早すぎたのでしょうか?
「普通、もっと、学院に慣れて、落ち着いてから研究会の加入を考えるものなんですが」
「そうなのですか? 私の場合、魔術の授業が物足りなかったので、見学に来たのですが」
「魔術の授業が物足りない? なら、魔術は得意なんですね。魔術のランクはいくつです?」
「魔術のランクは5ですが」
バン!
勢いよく入り口のドアが開けられた。
「君! 魔術ランクが5だというのは本当ですか?!」
「は、はい――」
「そうですか、そうですか、どうぞ中に入ってください! ほら、どうぞ、どうぞ! 汚いところですみませんが、そこに座ってください。今、お茶を出しますね。お茶菓子は何がいいかな?」
「どうぞ、お構いなく――」
急に扉が開いて、部屋の中に連れ込まれてびっくりしたが、歓迎されているのは間違いないようだ。
部屋の中には、ドアを開けて部屋に招き入れてくれた男子学生の他に、男子学生がもう一人と女学生が三人、椅子に座っていた。
「今年入学した、カリン・オバンコールです。失礼します」
私は、名前を名乗ってお辞儀をしてから、勧められた椅子に座った。
「私は二年のサテン・ホースチェスよ。カリンさんは、どちらの出身なの?」
「南部のサウスランド・ビーチ公爵領です。父はそこで港町の代官をしています」
女学生の一人が話しかけてきたので、私はそれに答えた。
ホースチェスといえば、確か伯爵家だったはずだ。失礼のないように注意しないと。
「それで、どうやって、ウォール様と知り合ったの?」
「ウォール様? いえ、ウォール様とは学院に来て初めてお会いしましたが――」
「またまたー。今更隠さなくてもいいのよ」
「いえ、本当に入学パーティーまでは、顔も名前も存じ上げませんでした」
「そうなの? じゃあ、一目惚れ? いきなり燃え上がってしまったの?」
「いえ、アカシア様が言われたようなことはありませんから!」
「えー。ほんとにー」
「本当です!!」
私が強く否定すると、彼女はつまらなそうな顔をして、それ以上は問い詰めてこなかった。
しかし、まいったな。困ったことに、入学パーティーのことが、思っていた以上に尾鰭が付いて、話が広がっているようだ。
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