勘違い令嬢は婚約破棄したい 予言の書によると俺は将来浮気するらしい。だから婚約破棄と言われても、それ予言の書でなく異世界日本のラノベだから!

なつきコイン

文字の大きさ
51 / 56
いよいよ大詰めです

第51話 おかしいですわ (アカシア)

しおりを挟む
 おかしいですわ!
 なぜ、何の問題も起きずに事件が解決してしまいましたの?
 あり得ませんわ!

 もちろん、国民に犠牲者が出る前に、速やかに事態が終息したことは喜ばしいことですが……。
 それにしたって、私の活躍する場面が一つもないなんて、どういうことですの!

 普通、治療中にウォールの魔力が切れて、具合が悪くなったところを、私が看病する場面があるはずでしょう。
 そして、私に膝枕をされたウォールは言うのです。

「僕は、どれくらい意識を失っていたんだ? アカシア、すまない。脚が痺れただろ」
「ウォール、無理をしないで。もう少し、このままでいいのよ」

 起き上がろうとするウォールを止めて、私はウォールの頭を自分の膝に戻します。

「ああ、なんて心地いいんだ。天にも昇る気持ちだ」
「ウォールったら、大袈裟ね。膝枕くらいならいつでもしてあげるわよ」

「本当かい? もう、僕は一生君を離さないよ」
「ウォール、他の人が見ているわ」

「構わないさ、僕たちは婚約者同士だろ」
「それでも、まだ、婚約者同士に過ぎないわ」

「わかった、なら、すぐに結婚しよう。そうなれば、誰にも文句を言えないだろう」
「ウォール、嬉しいわ」

 そして、二人は熱い抱擁を交わす……。その、はずだったのです。

 それなのに、最後まで治療を終えてもピンピンしているなんて、少しは空気を読んで、ふらつくくらいのことはしなさいよね!
 そうすれば、支えてあげることくらいできたのに……。

 それに、大規模連携魔法の時もそうです。
 なんで、あんなにすんなり成功するんですの? あり得ませんわ!

 本当なら、カリンさんが魔法に失敗し、私が代わりになって魔法を成功させるところでしょう。
 ……。まあ、魔術ランクゼロの私には無理な話なのはわかっていますが。
 一度くらいは失敗しないと、話が盛り上がらないでしょう。

 それか、一層のこと、悪の組織が出てきて、魔法の妨害をする展開があっても良かったはずです。
 そうすれば、王子やその側近たちにも出番があったでしょうに。
 このままでは、王子やその側近たちも、その能力が宝の持ち腐れですわ。

 折角のイケメン、ハイスペック軍団が、ポッと出の魔術研究会にいいところを持っていかれて、飛んだ三枚目ですわ。

 本当なら、私が悪漢からウォールを救う場面があって、然るべきだったはずです。

「ウォール! 危ない!」

 私は、ウォールを陰から狙う、剣を手にした男の背中に体当たりをします。

「アカシア! なんでここに?」
「あなたのことが心配で……」
「このアマア! よくも邪魔してくれたな」

 一度は、私の体当たりで、たたらを踏んだ男でしたが、すぐ体勢を立て直し、私は腕を掴まれてしまいます。

「キャァー!」

 私は、その男に捕まり人質にされてしまいます。

「アカシア!」
「おっと、動くな! こいつがどうなってもいいのか?」

 男は私の首筋に剣を当てます。

「ウォール、私のことは構わないで、この男を倒して!」
「アカシア、僕には君を見捨てることなんてできないよ。君が傷付いたら僕は生きていけない!」

「それは私も同じよ」

「なら、二人とも仲良くあの世に送ってやる。先ずはお前から死ね!」

 男は、私をウォールの方に突き飛ばすと、私を受け止めたウォールに斬りかかります。

「危ない!」

 ウォールは咄嗟に魔法障壁を張り、男の剣を防ぎます。

 キィンー!

 魔法障壁と剣がぶつかり、甲高い音が響きます。

「クッ。俺様の剣を防ぐとは、流石はランク5といったところか。だが、その娘を守りながら、いつまで防ぎ切れるかな」

 男はそう言うと、連続で斬りかかってきます。

「何度だって防いで見せるさ。アカシアのことは一生守り通すと決めているんだ!」
「ウォール、私も一生あなたについていくわ」

「こんな時にイチャついてんじゃねえ!」

 男は怒りを込めて剣を振います。

「そうだぞ、時と場所を弁えてもらいたいものだな」
「殿下! なぜここに?!」

「殿下だけではありませんよ」
「遅くなってすまなかったな」
「あらら、苦戦してるの?」
「二人だけでは心配だから、助けに来てやったからな」

「マカバ先輩。それにみんなも」

 王子とその側近たちが、ここぞとばかりに全員で援護に来ました。

「まあ、ここは俺に任せろ!」

 イチイが得意の剣術で男に斬りかかります。

「おっと。助っ人か。なかなかやるが、まだ、実践不足だな」

 イチイの剣は男にうまくいなされてしまいます。

「こいつ、できるな!」

「できるな、じゃないよ。さっさとケリをつけちゃいなよ」
「そんなこと言うならチークがやってみろ」

「あー。僕には無理、無理」
「おしゃべりしているなんて、随分と余裕だな。それ!」

 男の剣を受けて、イチイが弾き飛ばされ、後ろにいたチークを巻き込んで盛大に転びます。

「あいたたた」
「しまった!」
「死ねや!」

 男はそのまま二人に斬りかかりますが、それを許すウォールではありません。

「僕のことを忘れてもらっては困るな」

 ウォールの必殺魔法が男に炸裂します。
 男は、ウォールの魔法で痺れたように体を引き攣らせて倒れてしまいました。

「やったわね、ウォール!」
「これも君のおかげさ」

「私は何もしていないわ。それより今の魔法はなに? 見たことがないわ」
「あれかい。あれは、二人の愛の絆でできた、新しい魔法、ラブラブショックだ」

「まあ! 二人の愛の絆でできた魔法なのね」
「そうだよ。だから、アカシア、君のおかげだ」

「そんなー。二人の愛の絆なのだから、二人の愛の成果よ」
「そうだな。愛しているよ、アカシア」

 ウオールは私を抱き寄せます。

「私もよ、ウォール」

 そして、二人は熱い口づけを交わすのです。

 ムフフフ。

「お嬢様。お顔がだらしなくゆるんでますよ」
「はッ! マリア! いつからそこに?!」

「最初からいましたが」
「今のは違うの。ウォールのことなんか考えてないから!」

「はい、はい、そうですか。ラブラブでよかったですね」
「そんなこと妄想してないから!」

 私は、サンタマリアから生暖かい目で微笑まれるのでした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』

放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」 王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。 しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!? 「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!) 怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

処理中です...