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第2章
光の向こう
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少しずつ斜面を登っていき、魔法の障壁がなくても問題ないくらいの温度である深奥まで戻ることに成功した私たちは、このまま洞窟外への出入り口につながっていると信じてひたすら歩いていた。
モンスターとなるべく遭遇しないように慎重に警戒しながら歩いているが、その足取りは決して遅いものではなかった。
なぜならボルカヌアとの戦闘時に大技を使った反動でディランの動きがかなり鈍っており、なおかつ怪我の手当てをする際に何本かポーションも使ってしまった。おまけにクーラードリンクは底をついてしまっている。
今回のボルカヌア戦では初めてポーションを使わなければいけないほど魔力の消費と怪我の量が多かった。
ここまで激しい戦闘を繰り広げたのは私たちがエレアナに入って初めてのことであり、私たちはここまで疲弊したみんなの姿を初めて見ることになった。
疲弊しているといっても表情はいつも通りだし、警戒も十分行っているため、普段と何ら変わりないように見える。
しかし一緒に過ごしてきた時間が一番浅い私たちがわかってしまうほど、みんなの足取りが重い。
さっきも言ったように歩みが遅いわけではない。むしろ早く出口にたどり着きたいと逸る気持ちが歩くスピードを上げている。
ただ、気持ちの面でいえば早く休みたい、この場で寝転がっていたいという思いが強くなっているのだろうことがわかった。
移動中はほとんど会話をしない。する余裕がないほどにつかれている証拠だろう。
戦闘中であっても余計な口を開かずに最小限の合図だけを送って最短で処理している。
そして戦闘にならないように明かりを控えめにして、目と耳を最大限利用してモンスターとの遭遇を回避している。
上に行くたびに分かれ道が増え、そのたびに道を誤らないようにレナとポートが慎重に調べていく。
余裕がない。とても窮屈だ。
けれど最低限深層部を抜けないことには安心して休むこともできない。
モンスターのあまりでない地底湖を見つけることもできていない今、中層部の広い空間に出るまではひたすら歩き続けるしかないのだ。
あのポートですら真剣な表情を崩さず、無駄口をたたくことなくひたすら歩き続けている。
私たちはそんなみんなに何かしてあげられないかと考えるが、結局黙って応援し続けることしかできそうになかった。
私たちも疲れることができたなら、なにか励ましの声の一つでも書けることができたのだろうか。
疲れることを知らないスライムの体をこれほどまでに恨めしく思ったのも今回が初めてだ。
ひたすら歩き続け、モンスターの処理をし、また歩き続ける。
そろそろ中層部にたどり着くのではないかというところで、何やら前方が明るくなってきた。
「まだ、深層部も抜けていないはずだが・・・。」
ディランも思わず言葉を漏らす。
最奥から歩いて2時間ほど経っていたが、しかしその間に傾斜が強くなる場所は一つもなく、むしろ坂になっているのかわからない場所も少なくなかった通路。
かなり深いところまで落ちてしまった私たちが出口にたどり着くにはまだまだ時間がかかることはだれもがわかることだったが、しかしこの通路の先にある点のような光がありもしない希望を抱かせた。
その光が外につながっていることを信じて、あるいは時間間隔がくるっていたのだと期待して。ディランたちは慎重に、だが歩く速さを上げて光の先に向かっていった。
ようやく抜けた洞窟の先の光景を目の当たりにして、全員が思わず戸惑いの声を上げた。
予想は半分正解で半分誤りであった。
光の向こうにあったのは東京ドーム2つ分よりまだ広いと思われる円形の空間であり、その空間に天井はなく、まるで山をくりぬいたかのように頂上まで穴が開いていた。
地面には今まで見たことのない独特な草花があたり一面に茂っていた。
その地面は普通の地面とは違って黒よりの灰色で、洞窟内の赤黒い土ともまた少し違う。
そしてこの空間で特に異彩を放っているのが、この空間の中央にある巨大なピンク色の湖だった。
「ここって・・・もしかして。」
レナは目の前の光景に唖然としながらも、地面の土を少しさわり、何かを確かめる。
「やっぱり。ここはドルン山脈の火口だよ。」
モンスターとなるべく遭遇しないように慎重に警戒しながら歩いているが、その足取りは決して遅いものではなかった。
なぜならボルカヌアとの戦闘時に大技を使った反動でディランの動きがかなり鈍っており、なおかつ怪我の手当てをする際に何本かポーションも使ってしまった。おまけにクーラードリンクは底をついてしまっている。
今回のボルカヌア戦では初めてポーションを使わなければいけないほど魔力の消費と怪我の量が多かった。
ここまで激しい戦闘を繰り広げたのは私たちがエレアナに入って初めてのことであり、私たちはここまで疲弊したみんなの姿を初めて見ることになった。
疲弊しているといっても表情はいつも通りだし、警戒も十分行っているため、普段と何ら変わりないように見える。
しかし一緒に過ごしてきた時間が一番浅い私たちがわかってしまうほど、みんなの足取りが重い。
さっきも言ったように歩みが遅いわけではない。むしろ早く出口にたどり着きたいと逸る気持ちが歩くスピードを上げている。
ただ、気持ちの面でいえば早く休みたい、この場で寝転がっていたいという思いが強くなっているのだろうことがわかった。
移動中はほとんど会話をしない。する余裕がないほどにつかれている証拠だろう。
戦闘中であっても余計な口を開かずに最小限の合図だけを送って最短で処理している。
そして戦闘にならないように明かりを控えめにして、目と耳を最大限利用してモンスターとの遭遇を回避している。
上に行くたびに分かれ道が増え、そのたびに道を誤らないようにレナとポートが慎重に調べていく。
余裕がない。とても窮屈だ。
けれど最低限深層部を抜けないことには安心して休むこともできない。
モンスターのあまりでない地底湖を見つけることもできていない今、中層部の広い空間に出るまではひたすら歩き続けるしかないのだ。
あのポートですら真剣な表情を崩さず、無駄口をたたくことなくひたすら歩き続けている。
私たちはそんなみんなに何かしてあげられないかと考えるが、結局黙って応援し続けることしかできそうになかった。
私たちも疲れることができたなら、なにか励ましの声の一つでも書けることができたのだろうか。
疲れることを知らないスライムの体をこれほどまでに恨めしく思ったのも今回が初めてだ。
ひたすら歩き続け、モンスターの処理をし、また歩き続ける。
そろそろ中層部にたどり着くのではないかというところで、何やら前方が明るくなってきた。
「まだ、深層部も抜けていないはずだが・・・。」
ディランも思わず言葉を漏らす。
最奥から歩いて2時間ほど経っていたが、しかしその間に傾斜が強くなる場所は一つもなく、むしろ坂になっているのかわからない場所も少なくなかった通路。
かなり深いところまで落ちてしまった私たちが出口にたどり着くにはまだまだ時間がかかることはだれもがわかることだったが、しかしこの通路の先にある点のような光がありもしない希望を抱かせた。
その光が外につながっていることを信じて、あるいは時間間隔がくるっていたのだと期待して。ディランたちは慎重に、だが歩く速さを上げて光の先に向かっていった。
ようやく抜けた洞窟の先の光景を目の当たりにして、全員が思わず戸惑いの声を上げた。
予想は半分正解で半分誤りであった。
光の向こうにあったのは東京ドーム2つ分よりまだ広いと思われる円形の空間であり、その空間に天井はなく、まるで山をくりぬいたかのように頂上まで穴が開いていた。
地面には今まで見たことのない独特な草花があたり一面に茂っていた。
その地面は普通の地面とは違って黒よりの灰色で、洞窟内の赤黒い土ともまた少し違う。
そしてこの空間で特に異彩を放っているのが、この空間の中央にある巨大なピンク色の湖だった。
「ここって・・・もしかして。」
レナは目の前の光景に唖然としながらも、地面の土を少しさわり、何かを確かめる。
「やっぱり。ここはドルン山脈の火口だよ。」
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