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第3章

幕間 服選び

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「さあライム!服を脱ぎましょう!」

「ルーナ。一人で脱げるのでそんなに身構えないでください。レナも。」

「ダメだよライムちゃん。私たちに任せたらちゃんと可愛くしてあげるんだから!」

ルーナが今にも飛びかからんとする野獣のように身構えており、私たちの背後ではレナがどこにも逃さないようににじり寄ってきている。

もはや逃げ道はなく、さりとてディランたちの方に逃げ込むことも叶わず。結局は諦めて身をまかせることとなるのだろう。

しかしだからといって最初から体を許せるほど貞操観念が緩くなっているわけではないわけで。

「無駄だよライムちゃん。結局はいつものように私たちに捕まるんだから。」

「そうです。早くお縄につきなさい!」

「私はっ・・一人でえっ・・着替えられます!」

2ヶ月以上もの付き合いの中で何度もこのやり取りをしてきたからか、ルーナとレナの連携がより洗練されてきており、その連携を掻い潜る私たちの回避技術も日々進歩し続けてきた。

8畳ほどの小さなスペースで繰り広げる攻防は激しさを増し、今では目にも留まらぬ速さで動く3つの影が見えるばかりである。

「レナ!」

「了!」

突然レナとルーナが声を掛け合い、何事かと注意を一層詰めた私たちにそれは突然表れた。

それは過去に私たちが透明化の光魔法を付与した投網。それも鉄を編んで作った特別製である。

本来の用途は力の強いモンスターを捕らえるためなのだが、それをたかが着せ替えしたいがために使ってくるとは。

意表を突かれた作戦により、私たちはついに捕まってしまったのだった。

「さあ~。ライムちゃん早くお着替えしましょうね~。」

「もう観念しておとなしくしてくださいね。」

あみに捕まった私たちを囲むように手を大きく広げて近寄るルーナとレナ。

ついに私たちは観念して二人の着せ替え人形と化すことになった。

「やはり黒地に白のレースがついたこのドレスの方が!」

「いや、やっぱりこのピンクにフリルがいっぱいついたこっちの方が! 「いいえ!それよりもこちらの青のドレスにフリルがふんだんにあしらわれたドレスの方が!」

「やっぱりこっちの黄色にフリフリがついた方が!」

二人が言い争っているドレスはどれも少女趣味の可愛らしいゴスロリチックなもので、微妙な違いこそあっても私から見ればどれも一緒のように思えた。単なる色違いかと思ってしまうのだ。

(やっぱりのーちゃんは向こうの赤の方が!)

孤軍奮闘とはまさにこのこと。半身にまで裏切られればなすすべがなくなるのは自明の理だろう。

結局しばらく大騒ぎした末に、深い紺色を基調としたとても可愛らしいドレスを着せられた。まさに年相応というにふさわしいドレスに合わせられたアクセサリーも買い、6人中私にかける服の金額がダントツで高かった。

その金額およそ金貨50枚。2番目に高かったリィーネが金貨4枚と言えばその差がより分かりやすくなるだろう。なにしろ5人合わせた金額よりも私たちにかける金額の方が2倍以上も高いのだから。

「こんな服を着るのは久しぶりだな。50年前ぶりか。」

リィーネはすごく大人っぽく胸の開いた大胆なドレスを身にまとっている。親子であることを強調するために色を合わせて紺色のドレスなのだが、私たちとは真逆で女を強調するセクシーなドレスに思わず見惚れる。

「そっちは決めたか?」

ディランの声がする。向こうはすでに決め終えているようだ。こちらもほとんど決め終わっているので声をかける。

残念ながらディランとポートのスーツは拝めなかったが、またすぐに見ることができると思うのでここは割愛!
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