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12☆事件発生
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次の日は、朝早くマネージャーが迎えに来て、十夜と一緒に事務所へ向かった。
その後、十夜だけドラマの現場へと向かう。僕は他のメンバーと合流して、次のコンサートに向けてレッスンを行った。
仕事を終えると、メンバー達と事務所内で軽く夕飯を済ませて、帰宅する。
お風呂から出てソファーに座りながらスマホを確認するが、十夜からの連絡はなかった。
(随分遅いな……)
今日はそんなに遅くならないと聞いていたが、どうしたのだろうか……。
何気なくSNSを開くと、十夜が出演するドラマの公式サイトの投稿写真が目に入った。
『今日は出演者のみんなでご飯を食べていまーす!』
どうやら共演者との飲み会があったらしい。十夜の隣には、共演している若い女優の姿が見える。
(この人……前に雑誌のインタビューで、好きなタイプは十夜って言ってた人だ……)
十夜のファンである彼女は、共演が決まった時、とても喜んでいたらしい。
(やっぱりアイツ、モテるんだよな……)
その写真が気になりつつも、十夜に一言だけメッセージを送る。
『撮影お疲れ様』
するとすぐに既読がついたが、返事はない。いつもはすぐに返ってくるのに。
(忙しいのかな……でも撮影はもう終わってるんだよな……)
なんだか落ち着かない気分になってしまう。どうしてこんな気持ちになるのか、自分でもよく分からなかった。
(いいや、もう寝よう……)
深く考えることをやめて、そのまま眠りについた。
次の日、朝起きても十夜が家に帰ってきた様子はなかった。
(まだ帰ってないんだ……あのまま朝まで飲んでるのかな……)
何か連絡がないかスマホを確認するが、何も来ていない。
(昨日のあの子は、まだ十夜と一緒にいるのかな……)
ふと頭に浮かんで、モヤッとする。十夜の隣で嬉しそうに笑っていた彼女を思い出してしまって、胸がチクチクと痛むような気がした。
(いやいや、別にアイツが誰といようと関係ないし!何を考えてるんだ僕は!)
ブンブン頭を振って変な考えを振り払う。
その瞬間、手に持っていたスマホが鳴った。
「うひゃぁ!?」
驚いて大きな声が出てしまう。もしかして十夜からだろうかと思い、慌てて画面を見ると、マネージャーからだった。
「もしもし……」
「光輝くん、朝早くにごめんなさい。ちょっと問題が発生していて……」
電話越しに聞こえる声は、なんだか焦っているように感じる。
「どうかしたんですか?」
「とりあえず今から迎えにいくので、準備しておいてください」
メンバー全員、事務所に緊急収集ということだった。マネージャーは手が離せないようで、別のスタッフが迎えに来て、事務所へ向かう。
「おはようございます……」
事務所に着くと、すでにメンバーが揃っていた。
「なんだよこれ!ふざけんじゃねえぞ!」
いきなり怒鳴り声が響いてくる。
慌てて駆け寄ると、翔が何かを見ながら大声で叫んでいるようだった。
「翔!どうしたの?」
「光輝……これまだ見てないか?」
慌てて駆け寄った僕に、翔がスマホを差し出す。
その画面には、昨日の十夜と女優の写真が表示されていた。
「えっ……」
昨日見たのと同じ写真だが、十夜と女優の部分だけが切り取られていて、しかも、周りにハートのスタンプが押されている。
まるで、ラブラブな恋人同士のツーショットのようだ。
(なんだろう……なんか……なんだこの感情……?)
胸の奥の方から、何か嫌なものが込み上げてくるような気がして、思わずギュッと手を握りしめてしまう。
「これが、今炎上してるんだよ」
翔から説明を聞くと、これは、その女優が自分のアカウントで投稿した写真らしい。
まるで十夜と付き合っているかのように見えるため、ファンからは怒りの声が上がっていた。
「本当にムカつく!十夜は光輝と付き合ってるのに……」
翔は、自分のことのように怒っている。
「まあでも、実際何もないわけだし、大丈夫でしょ~」
蓮はいつも通りマイペースだ。
僕はどうしていいか分からず、呆然と突っ立っていた。
すると、すごく不機嫌そうな十夜が、こちらに近づいてくる。
(なんだろう……なんか、今コイツと話したくない……)
「光輝、あのさ……」
「すみません、十夜くんは社長室へ来てください!」
十夜が何か言いかけたところで、スタッフに連れていかれてしまった。少しホッとしながら見送る。
「えっと……ちょっとトイレ行ってくるね」
なんだか一人になりたくて、僕も部屋を出た。
「はあ……」
一人になって落ち着いたところで、頭に浮かぶのは十夜のことだ。
十夜が人気者なのは知っていた。アイツのことが好きな人は周りにだってたくさんいる。さっきの女優のように、綺麗でスタイルが良くて、可愛い子だって……。
(分かっていたことなのに……)
今回のことで、僕はショックを受けているのだ。ショックを受けている自分に動揺している。
あんなに嫌いな奴だったはずなのに。
僕しか知らないアイツの姿を知ることができるのが嬉しかった。なんだか優しくされているのを感じてドキドキしていた。一緒にいるのが楽しかった。
いつの間にか、形だけの恋人ということを忘れていたのだ。だから、こんなにショックを受けている。
(馬鹿だなぁ、僕……)
深い溜息をついて、部屋へ戻った。
午後になると、例の女優が自分のマネージャーと一緒に事務所に謝罪にやって来た。
十夜のファンだった彼女は、一緒に写真を撮れたことが嬉しくて、ついやってしまったということだった。まさか、こんなに大騒ぎになるとは思っていなかったらしい。
事務所側は、今後このようなことがないようにと注意をするに留め、大事にはしない方向となった。
彼女も写真を削除し、謝罪の投稿をして、炎上は収まっていった。
その後、十夜だけドラマの現場へと向かう。僕は他のメンバーと合流して、次のコンサートに向けてレッスンを行った。
仕事を終えると、メンバー達と事務所内で軽く夕飯を済ませて、帰宅する。
お風呂から出てソファーに座りながらスマホを確認するが、十夜からの連絡はなかった。
(随分遅いな……)
今日はそんなに遅くならないと聞いていたが、どうしたのだろうか……。
何気なくSNSを開くと、十夜が出演するドラマの公式サイトの投稿写真が目に入った。
『今日は出演者のみんなでご飯を食べていまーす!』
どうやら共演者との飲み会があったらしい。十夜の隣には、共演している若い女優の姿が見える。
(この人……前に雑誌のインタビューで、好きなタイプは十夜って言ってた人だ……)
十夜のファンである彼女は、共演が決まった時、とても喜んでいたらしい。
(やっぱりアイツ、モテるんだよな……)
その写真が気になりつつも、十夜に一言だけメッセージを送る。
『撮影お疲れ様』
するとすぐに既読がついたが、返事はない。いつもはすぐに返ってくるのに。
(忙しいのかな……でも撮影はもう終わってるんだよな……)
なんだか落ち着かない気分になってしまう。どうしてこんな気持ちになるのか、自分でもよく分からなかった。
(いいや、もう寝よう……)
深く考えることをやめて、そのまま眠りについた。
次の日、朝起きても十夜が家に帰ってきた様子はなかった。
(まだ帰ってないんだ……あのまま朝まで飲んでるのかな……)
何か連絡がないかスマホを確認するが、何も来ていない。
(昨日のあの子は、まだ十夜と一緒にいるのかな……)
ふと頭に浮かんで、モヤッとする。十夜の隣で嬉しそうに笑っていた彼女を思い出してしまって、胸がチクチクと痛むような気がした。
(いやいや、別にアイツが誰といようと関係ないし!何を考えてるんだ僕は!)
ブンブン頭を振って変な考えを振り払う。
その瞬間、手に持っていたスマホが鳴った。
「うひゃぁ!?」
驚いて大きな声が出てしまう。もしかして十夜からだろうかと思い、慌てて画面を見ると、マネージャーからだった。
「もしもし……」
「光輝くん、朝早くにごめんなさい。ちょっと問題が発生していて……」
電話越しに聞こえる声は、なんだか焦っているように感じる。
「どうかしたんですか?」
「とりあえず今から迎えにいくので、準備しておいてください」
メンバー全員、事務所に緊急収集ということだった。マネージャーは手が離せないようで、別のスタッフが迎えに来て、事務所へ向かう。
「おはようございます……」
事務所に着くと、すでにメンバーが揃っていた。
「なんだよこれ!ふざけんじゃねえぞ!」
いきなり怒鳴り声が響いてくる。
慌てて駆け寄ると、翔が何かを見ながら大声で叫んでいるようだった。
「翔!どうしたの?」
「光輝……これまだ見てないか?」
慌てて駆け寄った僕に、翔がスマホを差し出す。
その画面には、昨日の十夜と女優の写真が表示されていた。
「えっ……」
昨日見たのと同じ写真だが、十夜と女優の部分だけが切り取られていて、しかも、周りにハートのスタンプが押されている。
まるで、ラブラブな恋人同士のツーショットのようだ。
(なんだろう……なんか……なんだこの感情……?)
胸の奥の方から、何か嫌なものが込み上げてくるような気がして、思わずギュッと手を握りしめてしまう。
「これが、今炎上してるんだよ」
翔から説明を聞くと、これは、その女優が自分のアカウントで投稿した写真らしい。
まるで十夜と付き合っているかのように見えるため、ファンからは怒りの声が上がっていた。
「本当にムカつく!十夜は光輝と付き合ってるのに……」
翔は、自分のことのように怒っている。
「まあでも、実際何もないわけだし、大丈夫でしょ~」
蓮はいつも通りマイペースだ。
僕はどうしていいか分からず、呆然と突っ立っていた。
すると、すごく不機嫌そうな十夜が、こちらに近づいてくる。
(なんだろう……なんか、今コイツと話したくない……)
「光輝、あのさ……」
「すみません、十夜くんは社長室へ来てください!」
十夜が何か言いかけたところで、スタッフに連れていかれてしまった。少しホッとしながら見送る。
「えっと……ちょっとトイレ行ってくるね」
なんだか一人になりたくて、僕も部屋を出た。
「はあ……」
一人になって落ち着いたところで、頭に浮かぶのは十夜のことだ。
十夜が人気者なのは知っていた。アイツのことが好きな人は周りにだってたくさんいる。さっきの女優のように、綺麗でスタイルが良くて、可愛い子だって……。
(分かっていたことなのに……)
今回のことで、僕はショックを受けているのだ。ショックを受けている自分に動揺している。
あんなに嫌いな奴だったはずなのに。
僕しか知らないアイツの姿を知ることができるのが嬉しかった。なんだか優しくされているのを感じてドキドキしていた。一緒にいるのが楽しかった。
いつの間にか、形だけの恋人ということを忘れていたのだ。だから、こんなにショックを受けている。
(馬鹿だなぁ、僕……)
深い溜息をついて、部屋へ戻った。
午後になると、例の女優が自分のマネージャーと一緒に事務所に謝罪にやって来た。
十夜のファンだった彼女は、一緒に写真を撮れたことが嬉しくて、ついやってしまったということだった。まさか、こんなに大騒ぎになるとは思っていなかったらしい。
事務所側は、今後このようなことがないようにと注意をするに留め、大事にはしない方向となった。
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