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║08║それを日課にするのは、いけない
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まぶたの裏にじんわりと光が差し込み、ゆっくりと意識が浮上していく。
ぼんやりとした頭で天井を見上げながら——昨夜のことを思い出してしまった。
(……あれ、夢じゃなかった……)
身体を起こし、ぼんやりとした頭のままベッドの端に腰を下ろす。
昨日のキスの感触が、唇に残っている気がして、思わず顔を覆った。
(グレンと、キスして……僕の魔力が落ち着いて……で、抱っこされてベッドに運ばれて……)
思い出せば出すほど、胸が苦しくなる。というか、気まずさで気絶しそうだ。
(会いたくない……けど会わないわけにもいかない……くっ、逃げ道がない……!)
そこへ、ノックの音が聞こえた。
「殿下、失礼します。朝食の支度ができました。降りてきていただけますか?」
「う、うん……すぐ行く」
気合いを入れて立ち上がり、寝癖をぐしゃぐしゃと手で押さえつけてから階下へと向かう。
食卓には、瓶詰めのベリージャムと少し古めのパン、チーズ、それにハーブティーが並んでいた。どれも調理不要のものばかりだが、なんとか僕のために整えようとした気配が伝わってくる。几帳面すぎるくらいきっちりと並べられた食器に、グレンの真面目さがにじんでいた。
「おはようございます、殿下」
「お、おはよう……」
椅子を引いてくれるグレンに挨拶し、そそくさと着席する。
(……いつも通り、すぎる)
視線をそっと向ければ、グレンは表情ひとつ変えず、実に効率的な所作で食事を進めていた。無駄がなく、静かで、落ち着いた朝――まるで、昨日の出来事が存在しなかったかのように。
あのキスも、抱きしめられたことも、彼にとっては取るに足らないことだったのか。そう思えてしまうほど、彼の態度には何の波もない。
静寂に包まれた食卓。いつもなら安心できるはずの空気が、今日はやけに息苦しい。平静を装おうとすればするほど、頭の中では同じ問いがぐるぐると回る。
――どうして、グレンは何事もなかった顔でいられるんだ。
――僕は、こんなに動揺してるのに。
言わないつもりだった。口にしたら、きっと後悔するとわかっていたのに。それでも、こらえきれずに、言葉がこぼれてしまった。
「……グレン、あの、昨日のことだけど……」
声をかけると、グレンはすぐに顔を向ける。
「はい。あれから体調はどうですか?」
その言葉に、思考が一瞬止まる。
目の前のグレンは、淡々と落ち着いた目つきで、まるで昨夜の出来事を特別視していないようだった。
落ち着いていて穏やかで、まるでいつもの業務の一環であるかのような調子で。
――やっぱり、気にしてないんだ。
魔力がどうこうじゃなくて、あんなこと――キスだって、彼にとっては特別じゃなかったんだ。
もやもやとした感情が胸を埋めつくす。戸惑いと悔しさと恥ずかしさがごちゃまぜになって、もうどこにやればいいのか分からなくなった。
「グ……グレンは……キ、キスくらい慣れてるのかもしれないけど、僕は……僕は、初めてだったのに……!」
ついにその想いが、声となって飛び出してしまった。言ったあとで胸がじんじんと熱くなる。視線を上げるのが怖い。けれど、どうしても確かめたくて、恐る恐る顔を向けると――
「え?私も初めてですが?」
「…………えっ?」
グレンはきょとんとした顔で、まっすぐこちらを見つめていた。
まったく悪びれも、照れも、意識もしていない。どこまでも真面目で、どこまでも真顔だった。
「えっ、ちょっと待って……それなのに、あんなに自然に……?」
「いえ、状況が状況でしたので……」
(そんな……!)
こっちは頭が真っ白になって、心臓が張り裂けそうだったのに。グレンの落ち着きっぷりを見ていると、思わずテーブルに突っ伏したくなる。なんで僕だけ、こんなに情けないくらい動揺してるんだ。
そのまま無言でパンをかじる。一方のグレンはというと、すでに食事を終えかけている。
けれど、急いでいるわけでも手を抜いているわけでもない。ただ丁寧に、実に無駄のない動作で食べ終わっただけだった。
(どうしてそんなに普通でいられるんだ……)
意識していないように見えるその姿が、逆に胸に引っかかる。
いや、きっとそれが彼の生き方で、鍛錬の賜物なんだ。場数の違いだ。――そう、何度も自分に言い聞かせる。でも、胸の奥には妙なもやもやが渦巻いていた。
昨日の出来事を納得したつもりでいたのに。
たった一言、たった一瞬で、こんなにも心が揺れるなんて。自分でも、自分のことがよく分からなかった。
食後の片づけをしていても、思考はどこか宙を漂ったままだった。
手は動いているのに、意識はまったく別のところにあって、洗った器をもう一度洗い直していたりする。
「殿下」
不意に呼ばれて、はっと現実に引き戻された。
隣を見ると、グレンが器を拭いていた。けれどその手つきは、どこかぎこちない。まるで高価な宝石でも扱っているかのような慎重さで、布巾で器の表面をそっとなぞるだけ。
(……こういうのは、やっぱり苦手なんだ)
その不器用さが、どこか微笑ましかった。
完璧に見える彼にも、不得手なものがあると思うと、ふっと気持ちが緩む。
「ありがとう。続きは僕がやるよ」
そう言うと、グレンはすぐに手を止めた。
その動きには、ほのかな安堵がにじんでいて――どうやら、内心かなり緊張していたらしい。
そのささやかなやりとりに、張りつめていた心が少しだけほどけた。
けれど、静けさが戻れば、また思考は同じ場所に戻っていく。
(……でも、あのキスのあと、確かに魔力はおさまったんだよな)
昨日のことを思い返していると、あのときの感覚がよみがえる。
胸の奥の熱がすうっと引いていって、恐ろしいほど荒れていた魔力が、嘘のように静かになった。あれは偶然ではない気がする。
(感情が高ぶって、魔力が暴走して……でも、グレンに触れられて、落ち着いて……)
自然と、あのキスの場面が脳裏をよぎる。あれが効果的だったのだとしたら。手段としては、確かに有効だ。でも——
僕が暴走するまで放っておいて、それから……キス、するなんて。それは良くないと思う。というか、僕の心臓がもたない。
うまく言葉にできないもやもやを抱えたまま、台所から戻った僕は、おそるおそる切り出した。
「あの……グレン。昨日の……その……魔力の安定について、考えてみたんだけど……」
僕がそう言うと、グレンはすぐに表情を引き締め、椅子に座ったまま背筋をぴんと伸ばした。どこか、少しだけ、構えたような仕草だった気がする。
「私もです。魔力の状態と接触との因果関係について、いくつか仮説を立てました」
「か、仮説……?」
「はい。まず、あのときの魔力の暴走は、感情の昂ぶりによるものと仮定できます。そして、接触——とくに唇を介した直接的なスキンシップが、殿下の情緒を瞬時に安定させ、それに伴って魔力が収束した可能性が高いです。つまり、感情の制御と魔力の状態には密接な関係があり、今後も愛情表現――いえ、スキンシップを通じて制御を図る手段は、一定の効果が期待できると判断します」
(……なんか、早口だな)
ふと、そんな違和感が頭をかすめた。
言っていることは、いつものグレンらしく理路整然としている。論理も展開も的確で、聞いていて矛盾はまったくない――はず、なのに。どこか、せっかちというか。言葉を急いで繋げているような、そんな感じがした。
目元も、いつもよりほんの少しだけ、きりっとしていて。まるで、何かをごまかすみたいに、必要以上に冷静を装っているような……?
(いやいや……気のせいだ)
グレンはいつだって、冷静で落ち着いていて、何事にも動じない。
少なくとも、僕が知っている限りでは。
だから今の早口も、きっと、単なる気のせい。
……そう、自分に言い聞かせた瞬間。
「つまり、感情の動揺を未然に防ぐ手段として――日常的にキスをしていれば、魔力の暴走自体が起きにくくなる可能性があります」
…………え?
思考が一瞬、真っ白になる。
(き、キスを……日常的に……?)
言葉はちゃんと聞こえた。理屈も通ってる。でも、だめだ。思考が追いつかない。
「ま、待って、それってつまり……毎日とかってこと……?」
思わず口から出た言葉に、グレンはすっとこちらを見た。相変わらずの無表情……と思いきや。
(……あれ、今ちょっと目、泳いだ?)
ごくわずかに視線が左右に動いたような。気のせいだろうか……。
でも、その違和感を深追いする余裕もなく、グレンは平然と返す。
「はい。一定間隔で魔力を安定させるには、定期的な接触が有効かと。例えば就寝前など、習慣化することで心身が安定し、魔力の暴走も未然に防げる可能性があります」
(……完全に、予定に組み込むつもりだ)
グレンの口調はどこまでも淡々としている。でもそのわりに、なぜだろう。さっきからやたらと説明が長い。饒舌というほどじゃないけど、いつもの彼ならもっと端的に要点だけ伝えるはず。
気のせいかもしれない。でも、もしかしたら。
もしかしたら、グレンも少しくらいは動揺していて、ただそれを必死に隠しているだけなのかもしれない。
そう思った瞬間、ぶわっと熱がこみ上げてきた。
(グレンも動揺するレベルって……この話、やっぱりかなり恥ずかしいやつなのでは!?)
もう顔どころか耳まで熱い。感情が暴走して魔力が飛び出さないのが不思議なくらいだ。
それなのにグレンは、いつも通りの落ち着いた口調で――とんでもない一言を放つ。
「では――今日から毎日、やってみましょう」
「むりいいいいいいいっ!!」
椅子がガタッと鳴るのも気にせず、僕は顔を両手で覆った。
お願いだから、もう少し自分の言ってることの破壊力に自覚を持って……!
魔力の不安定さよりも、僕の心臓のほうがよほど深刻だった。
ぼんやりとした頭で天井を見上げながら——昨夜のことを思い出してしまった。
(……あれ、夢じゃなかった……)
身体を起こし、ぼんやりとした頭のままベッドの端に腰を下ろす。
昨日のキスの感触が、唇に残っている気がして、思わず顔を覆った。
(グレンと、キスして……僕の魔力が落ち着いて……で、抱っこされてベッドに運ばれて……)
思い出せば出すほど、胸が苦しくなる。というか、気まずさで気絶しそうだ。
(会いたくない……けど会わないわけにもいかない……くっ、逃げ道がない……!)
そこへ、ノックの音が聞こえた。
「殿下、失礼します。朝食の支度ができました。降りてきていただけますか?」
「う、うん……すぐ行く」
気合いを入れて立ち上がり、寝癖をぐしゃぐしゃと手で押さえつけてから階下へと向かう。
食卓には、瓶詰めのベリージャムと少し古めのパン、チーズ、それにハーブティーが並んでいた。どれも調理不要のものばかりだが、なんとか僕のために整えようとした気配が伝わってくる。几帳面すぎるくらいきっちりと並べられた食器に、グレンの真面目さがにじんでいた。
「おはようございます、殿下」
「お、おはよう……」
椅子を引いてくれるグレンに挨拶し、そそくさと着席する。
(……いつも通り、すぎる)
視線をそっと向ければ、グレンは表情ひとつ変えず、実に効率的な所作で食事を進めていた。無駄がなく、静かで、落ち着いた朝――まるで、昨日の出来事が存在しなかったかのように。
あのキスも、抱きしめられたことも、彼にとっては取るに足らないことだったのか。そう思えてしまうほど、彼の態度には何の波もない。
静寂に包まれた食卓。いつもなら安心できるはずの空気が、今日はやけに息苦しい。平静を装おうとすればするほど、頭の中では同じ問いがぐるぐると回る。
――どうして、グレンは何事もなかった顔でいられるんだ。
――僕は、こんなに動揺してるのに。
言わないつもりだった。口にしたら、きっと後悔するとわかっていたのに。それでも、こらえきれずに、言葉がこぼれてしまった。
「……グレン、あの、昨日のことだけど……」
声をかけると、グレンはすぐに顔を向ける。
「はい。あれから体調はどうですか?」
その言葉に、思考が一瞬止まる。
目の前のグレンは、淡々と落ち着いた目つきで、まるで昨夜の出来事を特別視していないようだった。
落ち着いていて穏やかで、まるでいつもの業務の一環であるかのような調子で。
――やっぱり、気にしてないんだ。
魔力がどうこうじゃなくて、あんなこと――キスだって、彼にとっては特別じゃなかったんだ。
もやもやとした感情が胸を埋めつくす。戸惑いと悔しさと恥ずかしさがごちゃまぜになって、もうどこにやればいいのか分からなくなった。
「グ……グレンは……キ、キスくらい慣れてるのかもしれないけど、僕は……僕は、初めてだったのに……!」
ついにその想いが、声となって飛び出してしまった。言ったあとで胸がじんじんと熱くなる。視線を上げるのが怖い。けれど、どうしても確かめたくて、恐る恐る顔を向けると――
「え?私も初めてですが?」
「…………えっ?」
グレンはきょとんとした顔で、まっすぐこちらを見つめていた。
まったく悪びれも、照れも、意識もしていない。どこまでも真面目で、どこまでも真顔だった。
「えっ、ちょっと待って……それなのに、あんなに自然に……?」
「いえ、状況が状況でしたので……」
(そんな……!)
こっちは頭が真っ白になって、心臓が張り裂けそうだったのに。グレンの落ち着きっぷりを見ていると、思わずテーブルに突っ伏したくなる。なんで僕だけ、こんなに情けないくらい動揺してるんだ。
そのまま無言でパンをかじる。一方のグレンはというと、すでに食事を終えかけている。
けれど、急いでいるわけでも手を抜いているわけでもない。ただ丁寧に、実に無駄のない動作で食べ終わっただけだった。
(どうしてそんなに普通でいられるんだ……)
意識していないように見えるその姿が、逆に胸に引っかかる。
いや、きっとそれが彼の生き方で、鍛錬の賜物なんだ。場数の違いだ。――そう、何度も自分に言い聞かせる。でも、胸の奥には妙なもやもやが渦巻いていた。
昨日の出来事を納得したつもりでいたのに。
たった一言、たった一瞬で、こんなにも心が揺れるなんて。自分でも、自分のことがよく分からなかった。
食後の片づけをしていても、思考はどこか宙を漂ったままだった。
手は動いているのに、意識はまったく別のところにあって、洗った器をもう一度洗い直していたりする。
「殿下」
不意に呼ばれて、はっと現実に引き戻された。
隣を見ると、グレンが器を拭いていた。けれどその手つきは、どこかぎこちない。まるで高価な宝石でも扱っているかのような慎重さで、布巾で器の表面をそっとなぞるだけ。
(……こういうのは、やっぱり苦手なんだ)
その不器用さが、どこか微笑ましかった。
完璧に見える彼にも、不得手なものがあると思うと、ふっと気持ちが緩む。
「ありがとう。続きは僕がやるよ」
そう言うと、グレンはすぐに手を止めた。
その動きには、ほのかな安堵がにじんでいて――どうやら、内心かなり緊張していたらしい。
そのささやかなやりとりに、張りつめていた心が少しだけほどけた。
けれど、静けさが戻れば、また思考は同じ場所に戻っていく。
(……でも、あのキスのあと、確かに魔力はおさまったんだよな)
昨日のことを思い返していると、あのときの感覚がよみがえる。
胸の奥の熱がすうっと引いていって、恐ろしいほど荒れていた魔力が、嘘のように静かになった。あれは偶然ではない気がする。
(感情が高ぶって、魔力が暴走して……でも、グレンに触れられて、落ち着いて……)
自然と、あのキスの場面が脳裏をよぎる。あれが効果的だったのだとしたら。手段としては、確かに有効だ。でも——
僕が暴走するまで放っておいて、それから……キス、するなんて。それは良くないと思う。というか、僕の心臓がもたない。
うまく言葉にできないもやもやを抱えたまま、台所から戻った僕は、おそるおそる切り出した。
「あの……グレン。昨日の……その……魔力の安定について、考えてみたんだけど……」
僕がそう言うと、グレンはすぐに表情を引き締め、椅子に座ったまま背筋をぴんと伸ばした。どこか、少しだけ、構えたような仕草だった気がする。
「私もです。魔力の状態と接触との因果関係について、いくつか仮説を立てました」
「か、仮説……?」
「はい。まず、あのときの魔力の暴走は、感情の昂ぶりによるものと仮定できます。そして、接触——とくに唇を介した直接的なスキンシップが、殿下の情緒を瞬時に安定させ、それに伴って魔力が収束した可能性が高いです。つまり、感情の制御と魔力の状態には密接な関係があり、今後も愛情表現――いえ、スキンシップを通じて制御を図る手段は、一定の効果が期待できると判断します」
(……なんか、早口だな)
ふと、そんな違和感が頭をかすめた。
言っていることは、いつものグレンらしく理路整然としている。論理も展開も的確で、聞いていて矛盾はまったくない――はず、なのに。どこか、せっかちというか。言葉を急いで繋げているような、そんな感じがした。
目元も、いつもよりほんの少しだけ、きりっとしていて。まるで、何かをごまかすみたいに、必要以上に冷静を装っているような……?
(いやいや……気のせいだ)
グレンはいつだって、冷静で落ち着いていて、何事にも動じない。
少なくとも、僕が知っている限りでは。
だから今の早口も、きっと、単なる気のせい。
……そう、自分に言い聞かせた瞬間。
「つまり、感情の動揺を未然に防ぐ手段として――日常的にキスをしていれば、魔力の暴走自体が起きにくくなる可能性があります」
…………え?
思考が一瞬、真っ白になる。
(き、キスを……日常的に……?)
言葉はちゃんと聞こえた。理屈も通ってる。でも、だめだ。思考が追いつかない。
「ま、待って、それってつまり……毎日とかってこと……?」
思わず口から出た言葉に、グレンはすっとこちらを見た。相変わらずの無表情……と思いきや。
(……あれ、今ちょっと目、泳いだ?)
ごくわずかに視線が左右に動いたような。気のせいだろうか……。
でも、その違和感を深追いする余裕もなく、グレンは平然と返す。
「はい。一定間隔で魔力を安定させるには、定期的な接触が有効かと。例えば就寝前など、習慣化することで心身が安定し、魔力の暴走も未然に防げる可能性があります」
(……完全に、予定に組み込むつもりだ)
グレンの口調はどこまでも淡々としている。でもそのわりに、なぜだろう。さっきからやたらと説明が長い。饒舌というほどじゃないけど、いつもの彼ならもっと端的に要点だけ伝えるはず。
気のせいかもしれない。でも、もしかしたら。
もしかしたら、グレンも少しくらいは動揺していて、ただそれを必死に隠しているだけなのかもしれない。
そう思った瞬間、ぶわっと熱がこみ上げてきた。
(グレンも動揺するレベルって……この話、やっぱりかなり恥ずかしいやつなのでは!?)
もう顔どころか耳まで熱い。感情が暴走して魔力が飛び出さないのが不思議なくらいだ。
それなのにグレンは、いつも通りの落ち着いた口調で――とんでもない一言を放つ。
「では――今日から毎日、やってみましょう」
「むりいいいいいいいっ!!」
椅子がガタッと鳴るのも気にせず、僕は顔を両手で覆った。
お願いだから、もう少し自分の言ってることの破壊力に自覚を持って……!
魔力の不安定さよりも、僕の心臓のほうがよほど深刻だった。
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