異世界の平和を守るため、魔王に抱かれています!?

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01 勇者、召喚!

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「やったぞー!召喚成功だ!」
「勇者殿、ようこそおいでくださいました!」
人々から歓声が上がる中、その中心にいる俺はひとり、ポカンと立ち尽くしてしていた。

目の前には白い髭を蓄えた老人、その横には金髪碧眼の少女がいる。そして、他にも鎧を着た兵士のような者や、杖を持った魔法使い風の者など、大勢の人たちが俺のことを囲んで見ていた。
「えっと……これは……どういうことだ……?」
俺はさっきまで大学にいたはずだった。休み時間に昼寝でもしようと思い、あまり人のいない校舎裏にあるベンチに向かっている途中で、突然強い光に包まれた記憶がある。そして、気が付いたらこの状況だったのだ。

「勇者殿、突然お呼びして申し訳ない。ワシはこの国の王ですじゃ」
そう言って王と名乗った白い髭の老人が頭を下げてきた。
「あ……いえ、どうも……」
つられてつい俺も会釈をする。普通に身体も動かせるし、どうやら夢ではなさそうだ。しかし、あまりにも現実離れした状況である。一体ここはどこなのか……。俺が混乱していると、王様が話しかけてきた。
「勇者殿、まずは落ち着いて聞いてくだされ。ここは勇者殿がいた世界とは異なる場所なのですじゃ」
「異なるって……」
確かに周囲を見てみれば、現代日本とは思えないような作りの部屋だった。石造りの壁や床、天井から吊るされているランプのようなものなど、まるでファンタジー世界のようである。
「つまり……俺は、異世界に召喚されたっていうことですか?」
自分でも何を言っているんだと思うが、今の状況はそうとしか考えられなかった。
「その通りなのじゃ。勇者殿にこの世界を救ってもらいたいのですじゃ」
王様は真剣な顔で言う。どうやら本当に、漫画やラノベの世界のように、突然異世界に召喚されてしまったようだ。

「詳しい話は後にして、まずは歓迎の宴じゃ!勇者殿、どうぞこちらへ」
そう言われて案内されたのは、大きな広間だった。テーブルには豪華な料理が用意されていて、たくさんの人々が集まっている。促されて椅子に座ると、すぐに宴会が始まった。
「それではこれより、勇者殿の歓迎パーティーを始めます!みなさま、グラスをお持ち下さいませ」
その言葉と共に、全員が手に持ったグラスを掲げる。中にはワインらしき赤い液体が入っていた。
「勇者殿にかんぱーい!」
『かんぱーい!』
一斉に乾杯の声が上がる。
「か、かんぱい……」
戸惑いながら俺もみんなに合わせて乾杯をした。恐る恐る口をつけると、ほんのり甘くて芳香な香りが鼻腔をくすぐる。
「美味しい……」
思わず呟くと、近くにいた兵士っぽい人が微笑みかけてきた。
「それはよかった。我が国の名産品なんです。お食事にもよく合いますよ」
勧められるままに食事を口に運ぶ。見た目だけでなく味の方もとても美味しいものだった。特に肉料理は最高で、口の中で溶けるような感覚さえしたほどだ。
そんな風に感動しながら食べていると、王様に声をかけられた。
「勇者殿、我らのためにこの世界に来てくれたこと、心から感謝なのじゃ。どうかこの国を救ってくだされ」
そう言って、王様が頭を下げる。すると、周りの人も同じように深々とお辞儀をした。
「えっ……ええっと……」
まだ何も説明されていないし、了承もしていないんだけど……。
しかし、ここまで歓迎されてしまうと、今さら断れない雰囲気がある。
「あの、まだ状況がよく分かっていないんですが……」
「おお、そうじゃった。これは失礼した。まずは、この世界のことについて説明させてもらおう」
それから彼はゆっくりと語り始めた。

この世界には、代々魔王が存在している。過去の魔王は人間を襲ったりもしていたが、現魔王は人間と関わることなく、魔王城でひっそりと暮らしているそうだ。そのため、人間達はずっと平和に暮らすことができていた。
ところが、近年魔王の力が強大化し、人間が暮らしている地域にも悪影響が出てきてしまったらしい。もともと魔王は、存在しているだけで周囲に恐怖を与えてしまうほど強大な力を持っており、その強さが年々増してきているのだという。魔王にその気がなかったとしても、このまま放っておくと、いずれ世界中が闇に覆われてしまいかねない状況なのだ。
そこで、魔王を鎮めることができる力をもった勇者として、俺が召喚されたということだった。

「なるほど……。ここにいる強そうな兵士達でも倒せないほど強いんですか?」
周りには鎧を着た屈強な男たちがたくさんいる。全員かなり鍛えられているようだし、なかなかの実力がありそうだ。そんな彼らでも倒せないような奴を俺が倒せるとは思えない。
「それがじゃな……魔王を倒すのではなく、鎮める必要があるのじゃ……」
王様が、少し困ったような顔でこちらを見る。
「倒すのではなくて、鎮める……?どういうことですか?」
俺は不思議に思って質問をした。封印するとかそういう意味なのだろうか。
「魔王を鎮めることは、勇者にしか出来ないのじゃ。そして、その方法は……」
「方法は……?」

「セックスじゃ!」

……はいいぃぃ!?
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