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あんたがいればそれでいい
帰宅願望とソーダフロート 1
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俺の部屋と化していた寝室がロドナークのものに戻る頃、俺はすっかりロドナークに懐いていた。
もともとロドナークに対して嫌いも苦手もない。むしろ興味があったし、部屋の状態から好感もあった。クソ野郎ではあるがお互い様だ。それに構われたがりな俺にやたらとものを教えてくれる。俺が外に出ないせいで特別構われているように思え、正直最高だ。
「一緒に食材買いに行かないか?」
「行く」
だから一緒に買い物に行こうといわれ嬉しくなっていい返事をした。
目指すはここらで一番大きなスーパーマーケットだ。ついでだからと本屋に寄って俺が雑誌を眺めてる間にロドナークが何冊か本を買ってきた。
「何買ったんだ?」
本屋のある通りから石畳を踏み、スーパーマーケットへとゆるりと向かう。昼前の日差しは少し暑いが、日差しをさえぎる街路樹の影が涼しい。歩くにはいい天気だ。これぞ買い物日和というやつか。ご機嫌な俺の声は明るい。
「料理の本と魔術の本とノート」
ご機嫌な俺につられてロドナークも心なしか楽しそうだ。日差しを避けて影を歩きながら軽く答えてくれた。
「ノート?」
「最近よく紙使うから必要かと思って」
確かに俺は最近よく紙をつかっている。
ロドナークは俺の暇つぶしに魔術だけでなく学術も教えてくれた。魔術には基礎学術も大事なんだそうだ。
文字の読み書きや色々な計算方法、化学変化や自然仕組み……字を少し書けるようになったからかメモをする機会も増えた。一枚、一枚とメモが増える。そのたび何かまとめるのにいいものはないかと探していた。
「確かにノートだったらばらけねぇし便利そうだが……お前に必要か?」
俺はメモをとるものの、ロドナークがメモをとる姿を見たことがない。それともこれから何か学ぶことでもあるのだろうか。
「たまに使うが」
「そうか」
たまに使うなら買い足すときもあるか。俺は納得して笑った。
今度俺もノートを買おう。大きなヒントを得た気になって俺は鼻歌交じりに歩く速度を変えた。
他人と買い物に行くのは久しぶりで、荷物持ちでもなくただ一緒に買い物をするだけなんてほとんどないことだ。しかも、気に入った奴とのお出かけならもっとないことである。浮かれるなというほうが無理だ。足からして浮かれすぎでいつもより動きがいい。
「なぁ、昼飯とかどうすんの?」
「帰ってから作るのは面倒だからな。買って帰るか食って帰るかになるな」
「なら買って帰ろうぜ。パン屋が美味そうなの焼いてた」
ロドナークの住んでいるところはコーヒーショップも近いが、パン屋も近い。パンの焼ける匂いが毎日美味そうで、俺はロドナークがパンを買ってくるたび喜んだ。
「あそこのパン屋美味いよなぁ……パンが美味いからコーヒーショップも出店したってきいたことがある」
稼いでいるだけあってロドナークはいいところに住んでいる。住宅が一番多い通りから少しだけ離れた通りで、朝が楽しい静かなところだ。
「コーヒーショップといえば、コーヒー何処に片づけてんの? 俺、お前がコーヒー淹れてんの見たことないし、淹れてやろうと思って探しても見たことないんだけど」
「コーヒーは書斎の隣の部屋の……って、コーヒー飲むのか?」
「飲まなきゃコーヒーショップなんざいくかよ」
俺とロドナークが初めて会話をしたのはコーヒーショップだ。コーヒー系の飲み物を飲んだり、待ち合わせや時間を潰すために寄る以外に行く場所だろうか。
「行かなくもないが……そうか、コーヒー飲むのか。紅茶飲んでたからてっきり紅茶党だと思ってた……それなら、帰りはコーヒーショップとパン屋に寄ろう。好きな豆もあれば買って帰るか」
「……もしかして天才か?」
名案だと思って振り返りわざと真剣な顔をすると、ロドナークがいつも以上に眉を下げて笑った。
「そうだったらいいな」
俺より頭が悪かったことがないから、話にのっておけばいいと思うのだが。ロドナークは謙虚だ。
「天才天才。最高の天才だから、美味しいコーヒー淹れてくれ。金は払うから」
ロドナークの家に引き籠ってからというもの、俺はロドナークの備蓄で暮らしている。日替わりで他人の家にいたときは身体で払っていたが、ロドナークとは一切そういった関係がない。クソ野郎かどうか確かめるために住みついたというのに、すっかりその気がそがれてしまった。
そうなると俺も居心地が悪い。俺がロドナークに世話になるばかりで、仕事で得た金もろくろく使っていなかった。甘やかされ貢がれるばかりの生活なんてしたことがない。自分が食った分くらいは払っておきたいものだ。
「コーヒーは淹れるが……俺のを買うついでだから金銭は」
「それなら、食材とパンは俺が買う」
いらないといわれる前に、威嚇しながらいいきる。するとやはりロドナークは困ったような顔で笑った。困り眉だから大体困っているように見えるが、笑うと余計に困って見える。仕方ないなと許されているようにも見えた。俺はそれが好きだ。
「答えがないようなら決まりだ。ほら、スーパーも見えた。入るぞ」
◆◇◆
そうして約束をしたのに、おかしなことに気が付いたのはスーパーの食器コーナーで立ち止まったときのことだった。
「どれがいい?」
「どれ……とは?」
マグカップの置かれた棚を指さしていわれ、俺は首を傾げる。
思えば食器コーナーに来る前もおかしかった。歯ブラシだとかプラスチック製のコップだとか。日用品を売っているコーナーにさしかかる前に好きな色を尋ねられ、スーパーのカゴに俺の好きな色の日用品が入れられた。
「マグカップ。いるだろう? コーヒー飲むにも紅茶飲むにも」
ロドナークの家にはコーヒーカップもティーカップもある。けれど、ロドナークが何か飲むときはいつもマグカップだった。たくさん飲めるからとかいつも手に取りやすい場所にあるからとかそういった理由があるのだと思う。でも、ロドナーク専用の気楽なカップだといっているようで少し羨ましかった。
それをこの男は俺にいるだろう? なんて聞いてくる。まだ一緒にいていいのだといっているようで……なんというべきかも分からない。
そんな中で、ふと頭の隅に『俺のもの』なんてことばが掠めた。
もしかしてこの買い物は俺のものを買いにきたのではないか。
「おかしいだろ」
「何が」
「俺のもの、買いに……来ないだろ」
普通はちょっと一緒に寝食をともにしている男のものなんて買いに来ない。子供ならまだしも、仕事もできるし金も一応持っている大人だ。自分で買ってこいという話だ。何から何まで買い与えたりしない。俺は誰かに何か買うとか買って貰えるとか、あまりそういった機会に恵まれなかったからよくわからない。だが普通はきっとそうだ。
「買いに来てるだろう? 歯ブラシは予備だが。しばらく居るつもりなんだろう?」
仕事さえ……プロキシゲームにさえ参加すれば収入は得られる。もしゲームで勝てなくても、今までのように一晩の恋人をつくればいい。
もうしばらく一緒に居る必要はどこにもなかった。
だがロドナークは俺に色々教えてくれて、部屋の片づけも上手で、こうやって買い物もしてくれる。コーヒーも淹れるといってくれた。家から出ていく必要もない。
「うん……」
ことばなんて一つもでなかった。
欲しかったものが一気に手に入ってしまったような気分で……どうしたらいいかなんてわかるわけがない。
悩んで悩んでマグカップを選んでカゴにいれた後、ちょっとだけ泣きたかった。ど明るい色の、俺のものだって主張するマグカップが嬉しかったから。
もともとロドナークに対して嫌いも苦手もない。むしろ興味があったし、部屋の状態から好感もあった。クソ野郎ではあるがお互い様だ。それに構われたがりな俺にやたらとものを教えてくれる。俺が外に出ないせいで特別構われているように思え、正直最高だ。
「一緒に食材買いに行かないか?」
「行く」
だから一緒に買い物に行こうといわれ嬉しくなっていい返事をした。
目指すはここらで一番大きなスーパーマーケットだ。ついでだからと本屋に寄って俺が雑誌を眺めてる間にロドナークが何冊か本を買ってきた。
「何買ったんだ?」
本屋のある通りから石畳を踏み、スーパーマーケットへとゆるりと向かう。昼前の日差しは少し暑いが、日差しをさえぎる街路樹の影が涼しい。歩くにはいい天気だ。これぞ買い物日和というやつか。ご機嫌な俺の声は明るい。
「料理の本と魔術の本とノート」
ご機嫌な俺につられてロドナークも心なしか楽しそうだ。日差しを避けて影を歩きながら軽く答えてくれた。
「ノート?」
「最近よく紙使うから必要かと思って」
確かに俺は最近よく紙をつかっている。
ロドナークは俺の暇つぶしに魔術だけでなく学術も教えてくれた。魔術には基礎学術も大事なんだそうだ。
文字の読み書きや色々な計算方法、化学変化や自然仕組み……字を少し書けるようになったからかメモをする機会も増えた。一枚、一枚とメモが増える。そのたび何かまとめるのにいいものはないかと探していた。
「確かにノートだったらばらけねぇし便利そうだが……お前に必要か?」
俺はメモをとるものの、ロドナークがメモをとる姿を見たことがない。それともこれから何か学ぶことでもあるのだろうか。
「たまに使うが」
「そうか」
たまに使うなら買い足すときもあるか。俺は納得して笑った。
今度俺もノートを買おう。大きなヒントを得た気になって俺は鼻歌交じりに歩く速度を変えた。
他人と買い物に行くのは久しぶりで、荷物持ちでもなくただ一緒に買い物をするだけなんてほとんどないことだ。しかも、気に入った奴とのお出かけならもっとないことである。浮かれるなというほうが無理だ。足からして浮かれすぎでいつもより動きがいい。
「なぁ、昼飯とかどうすんの?」
「帰ってから作るのは面倒だからな。買って帰るか食って帰るかになるな」
「なら買って帰ろうぜ。パン屋が美味そうなの焼いてた」
ロドナークの住んでいるところはコーヒーショップも近いが、パン屋も近い。パンの焼ける匂いが毎日美味そうで、俺はロドナークがパンを買ってくるたび喜んだ。
「あそこのパン屋美味いよなぁ……パンが美味いからコーヒーショップも出店したってきいたことがある」
稼いでいるだけあってロドナークはいいところに住んでいる。住宅が一番多い通りから少しだけ離れた通りで、朝が楽しい静かなところだ。
「コーヒーショップといえば、コーヒー何処に片づけてんの? 俺、お前がコーヒー淹れてんの見たことないし、淹れてやろうと思って探しても見たことないんだけど」
「コーヒーは書斎の隣の部屋の……って、コーヒー飲むのか?」
「飲まなきゃコーヒーショップなんざいくかよ」
俺とロドナークが初めて会話をしたのはコーヒーショップだ。コーヒー系の飲み物を飲んだり、待ち合わせや時間を潰すために寄る以外に行く場所だろうか。
「行かなくもないが……そうか、コーヒー飲むのか。紅茶飲んでたからてっきり紅茶党だと思ってた……それなら、帰りはコーヒーショップとパン屋に寄ろう。好きな豆もあれば買って帰るか」
「……もしかして天才か?」
名案だと思って振り返りわざと真剣な顔をすると、ロドナークがいつも以上に眉を下げて笑った。
「そうだったらいいな」
俺より頭が悪かったことがないから、話にのっておけばいいと思うのだが。ロドナークは謙虚だ。
「天才天才。最高の天才だから、美味しいコーヒー淹れてくれ。金は払うから」
ロドナークの家に引き籠ってからというもの、俺はロドナークの備蓄で暮らしている。日替わりで他人の家にいたときは身体で払っていたが、ロドナークとは一切そういった関係がない。クソ野郎かどうか確かめるために住みついたというのに、すっかりその気がそがれてしまった。
そうなると俺も居心地が悪い。俺がロドナークに世話になるばかりで、仕事で得た金もろくろく使っていなかった。甘やかされ貢がれるばかりの生活なんてしたことがない。自分が食った分くらいは払っておきたいものだ。
「コーヒーは淹れるが……俺のを買うついでだから金銭は」
「それなら、食材とパンは俺が買う」
いらないといわれる前に、威嚇しながらいいきる。するとやはりロドナークは困ったような顔で笑った。困り眉だから大体困っているように見えるが、笑うと余計に困って見える。仕方ないなと許されているようにも見えた。俺はそれが好きだ。
「答えがないようなら決まりだ。ほら、スーパーも見えた。入るぞ」
◆◇◆
そうして約束をしたのに、おかしなことに気が付いたのはスーパーの食器コーナーで立ち止まったときのことだった。
「どれがいい?」
「どれ……とは?」
マグカップの置かれた棚を指さしていわれ、俺は首を傾げる。
思えば食器コーナーに来る前もおかしかった。歯ブラシだとかプラスチック製のコップだとか。日用品を売っているコーナーにさしかかる前に好きな色を尋ねられ、スーパーのカゴに俺の好きな色の日用品が入れられた。
「マグカップ。いるだろう? コーヒー飲むにも紅茶飲むにも」
ロドナークの家にはコーヒーカップもティーカップもある。けれど、ロドナークが何か飲むときはいつもマグカップだった。たくさん飲めるからとかいつも手に取りやすい場所にあるからとかそういった理由があるのだと思う。でも、ロドナーク専用の気楽なカップだといっているようで少し羨ましかった。
それをこの男は俺にいるだろう? なんて聞いてくる。まだ一緒にいていいのだといっているようで……なんというべきかも分からない。
そんな中で、ふと頭の隅に『俺のもの』なんてことばが掠めた。
もしかしてこの買い物は俺のものを買いにきたのではないか。
「おかしいだろ」
「何が」
「俺のもの、買いに……来ないだろ」
普通はちょっと一緒に寝食をともにしている男のものなんて買いに来ない。子供ならまだしも、仕事もできるし金も一応持っている大人だ。自分で買ってこいという話だ。何から何まで買い与えたりしない。俺は誰かに何か買うとか買って貰えるとか、あまりそういった機会に恵まれなかったからよくわからない。だが普通はきっとそうだ。
「買いに来てるだろう? 歯ブラシは予備だが。しばらく居るつもりなんだろう?」
仕事さえ……プロキシゲームにさえ参加すれば収入は得られる。もしゲームで勝てなくても、今までのように一晩の恋人をつくればいい。
もうしばらく一緒に居る必要はどこにもなかった。
だがロドナークは俺に色々教えてくれて、部屋の片づけも上手で、こうやって買い物もしてくれる。コーヒーも淹れるといってくれた。家から出ていく必要もない。
「うん……」
ことばなんて一つもでなかった。
欲しかったものが一気に手に入ってしまったような気分で……どうしたらいいかなんてわかるわけがない。
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