この身体俺のでは無いようです!ー異世界転生ってここは何処!?ー

柚ノ木 碧/柚木 彗

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零の章

プロローグ

 上空に広、水彩絵の具の空色の絵の具を水で溶かしたような青い空を眺める。



 上を向いていると耳に聞こえる音。

 そしてーーー
 風に乗って届く塩の匂い。

 近場に海でもあるのかもしれない。

 だが今は。

 顔面、いや、そこらじゅう何処もかしこも綿菓子みたいな真っ白いモノで視界を塞がれ、見渡してもつい先程青く広大な空を見たばかりなのに、今、青い彩りは微かな隙間からしか見えないのだが...






 ※※※






 つい、今しがた...時間にして、と言うより感覚にして一時間前位だろうか?もしかしたらもっと前かも知れない。

 その時に起こった事を思い出す。



 ポツンと言う言葉が合うような、周りには何も無い真っ白な空間に自分と"もう一人"は居た。

 自分。
 私、俺、僕、妾、拙者、わ。

 うん、よくわからないが判断に欠ける奇妙な己の事を座す言葉を並べてみる。

 どれを使って居たのだろうか?

 と言うか、『わ』って何だよ...一部の北東北の自分の事を座す方言だろうが...

 何だかどうでも良い事を考えて現実から逃避してみる。

 目を瞑る。
 目を開く。
 一面白しかない空間。
 距離感も掴みにくい為、今立って居る場所は地面なのかどうかさえ分からない所に己ともう一人。
 白色のみの何も無い空間。

 あ、己も自身を座す言葉か~…

 うん、何だこれ?

 現実逃避し過ぎだろ?



「現実逃避しても無駄なんですピョン!」


 ー神様、仏様、観音様、天照大神様、竜神様、その他咄嗟に名前が出てこぬ八百万の神々・サマ・さま、海外の咄嗟に名前が出て来なくてごめんなさい!な全世界の神々様。

この目の前に仁王立ちして居る妙竹林な少女は一体何なのでしょう?

 自分絶対に混乱しまくってるよな?等と目の前の現実から目を反らしていると、



「む?随分と酷い事を当人の前で考えてるな?ピョン!」

「人の思考を勝手に読むなよ」

「読まなくても顔に出てるピョン!」



 びしぃっ!!!と、擬音を鳴らしていそうな程に右手人差し指を此方に指差し、妙竹林、もとい真っ白な肌と真っ白な白髪と言うより銀髪と表現した方が良いのだろうか?少し短めのボブカットにした髪型の上、頭髪の間から2つの白い『ウサギ耳』が真っ直ぐに直立している。

 どうやら考えていたことが自身の顔に出ていたらしい。

 ウサギ耳を付けた12歳位の少女が『真っ赤な瞳』で、此方を少し不機嫌な顔付きにしながら上目遣いに睨んでくる。

 だがまだまだ幼い故か、愛くるしい容姿故か。

 もしくはウサギ耳のせいか、可愛らしく幼さ故のあどけなさがある姿故か。

 はっきり言って迫力は皆無だ。
 どちらかと言うと少し弄りたくなってくる。
 虐待とかではなく、こう、何て言うか…
 玩具にしてしまいたくなるような。
 よし、ならばこの場は少し玩具にしてしまおう。
 文句あるなら己の容姿に言うがいい!



「その妙竹林なウサギ耳はお洒落?」

「違うピョン!妙竹林言うなピョン!」



 凹凸の無い胸をはり、姿勢を正してウサギ耳少女は先程よりも少し強めに睨んで来る。
 だがやはり容姿故か、はたまたウサギ耳のせいか、迫力は残念なことに欠片も無い。



「趣味?」

「違うピョン!」

「コスプレ?」

「違うピョン!」

「じゃあ何かの性癖?」

「ひ、酷いピョン!何かの病みたいに言うなピョン!」

「お、作り物のウサギ耳が背後に僅かに反った」

「自前の耳だピョン!動くのは当たり前だピョン!」

「つか、ピョン!ピョン!うっさ…」

「な、な、な!!女神に向かって酷いピョン!」

「自称女神?」

「な、な、ななななっ!!!」



 自称女神?と言われた銀髪ウサギ耳少女はワナワナと肩を震わせ、



「酷いピョン!折角おぬしの寿命が尽きたから、血脈の子を助けてくれたお礼にと転生させてやったのに~!ピョン!」



 寿命?
 お礼?
 転生?
 女神?

 自身の指先を見詰め、足元を見詰めて首を傾げる。

 身長、そこそこあるよな?多分…以前?より視点が低い気がするけども。だとしたら転移じゃないのか?転生なら赤子に為っているのでは無いだろうか?

 百歩処か五千歩ほど譲って自称女神が本当だとしても、赤ん坊から急成長させた状態で転生なんて有り得ないし馬鹿げている。

 そもそも某テレビ番組のドッキリとしか思えない、奇異な展開過ぎる。

 いや、それより…以前?
 以前より視点が低いって何だよ?
 記憶が…???
 そう考えて居たことが解ったのか、自称ウサギ耳女神が呆れ顔になり、



「もう何でもいいから聞いて欲しいピョン。」



 ジトっとした目で睨まれた。



「お前、さっきからピョンピョン言ってるのは無理矢理付けているのか?」

「それは今言ってはいけない!ピョン!頼むから聞いて欲しいピョン~!」



 そう言って、とうとう涙目になってしまった自称"ウサギ耳女神"に流石に悪いと思った自分は、このまま状況が分からないままでは不味いと思い直し、沸き起こるS心を無理矢理抑えつけ、了解したと言うように黙ったまま頷いた。

 その姿に安堵したのか、"ウサギ耳女神"は次の事柄を一気に述べた。



 曰く、自分は天命を全うし、身体は亡くなった。

 曰く、その際、"ウサギ耳女神"の血脈を助けたお礼とし、女神の最大限の神力と権限を使い転生をさせることにした。

 だがそれには困ったことに、とある問題が発生した。

 その問題をクリアする為、魂が消失し(植物状態に酷似した)た身体を探し出し、移したと……



「…そんな勝手な事をして…」

「勝手な事でも無いんだピョン、頼まれた事でもあるし…ピョン」

「頼まれた?」

「消失した魂の縁のあるものから…せめて身体だけでも生きて、その子が存在していると、死ではなく生かして欲しいと頼まれたピョン…」



 このまま何年も何十年も歳月が流れ、魂が消失したままではいずれ肉体は魂に釣られて死を迎えてしまう恐れがあるからと。

 これ以上の理由は言えないと押し黙った"ウサギ耳女神"に対し、ふと思った事を口にする。



「消失した魂を復活、もしくは自分に"頼まれた"と言う縁のあるものに対し、この身体の元の持ち主の代わりのようになって欲しいと言うわけか?」



 それは違う、とウサギ耳女神は首を横にゆっくりと振り、否定する。



「代わりになんてなれないでしょう?」



 ピョンとは言わず、愁いを帯びただが意思をこめた力強い赤色の瞳で真っ直ぐ見詰められ、



「先程の話の続きを述べます。…ピョン。」




 普通に転生や転移するより難しいんじゃないかな、これ…
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