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零の章
モチ
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「きゅっ・きゅっ・ききゅっ♪」
兎の丸い、と言っても円を描くようにマルではなく、やや楕円形の形をした白い尻尾をフリフリ、フリフリとしきりに振り、ウサキチ(仮)は上機嫌に、器用に床に雑巾がけをしている。
時々気合いが入るのか、「きゅ」等と鳴いて居る。
「わぁ、可愛い~!」
「器用だなぁ」
ちなみにウサキチ(仮)の居る場所は、アレフの両親が経営している食堂の床の上である。
勿論食堂と言うからにはテーブルや椅子、そして時間帯には食事を取る宿泊客が居る。
現在は宿の朝食の時間帯。
朝食を食べに来た客の合間を縫うように、客から客の足を器用に避け、ウサキチ(仮)はセッセと客がこぼした野菜くず等のゴミを雑巾で綺麗に片付けていく。
勿論客が食べ終わって席を立ってからだ。
客が朝食を食べて居る横で箒で掃くのは塵が上がるためにしては駄目!と、アレフの母親であるディーネが昨夜、ウサキチ(仮)とハクに説明したため、頭のいいウサキチ(仮)はしっかりと約束を守っている。
テトテトテトとゆったりと、ウサキチ(仮)は四足歩行で歩き、「普通兎って移動する時跳び跳ねて無かったっけ?」とすれ違う冒険者達の注目を浴びる。
狩猟目的や食料として以外では、モフモフ好きが愛でること以外兎を見ない冒険者達は目を丸くし、中には「テイム…!素晴らしい!」等と目を輝やかせて居るものもいる。
もしかしたら、明日には愛でる目的の"にわかテイマー"が増えているかもしれないな、等とアレフは思っていると、
「ウサキチ(仮)そこはもう良いから、ハクちゃんの手伝いに」
「「「「「ええぇ~!」」」」」
アレフの父、キアフがウサキチ(仮)に呼び掛けると、食堂にいた客達から一斉に抗議の叫びが上がった。
「もう少し見させて下さいっ!」
「もっふもふ素晴らしいっ」
「白い毛皮…ウフフフ」
「ニクキュウ~」
中には怖い単語を述べている輩もいるが、どうやらウサキチ(仮)は食堂に居る客達に大歓迎らしい。
「もしくはハクちゃんを食堂にっ」
ぐっと握り拳を作ってキアフに迫ってきた冒険者風の筋骨隆々の大男は、同じチームを組んで居ると思われる冒険者風の綺麗なお姉さんに、背後から頭部に見事な踵落としを食らい、床とお友達をし始めた。
「あんた昨夜と同じ事繰り返す気かい?」
ポキッパキッと指を鳴らし、冒険者風の女、もとい背後に怒りの爆炎を纏った画を持ったお姉さんは、筋骨隆々だが縮こまって萎縮し、小さくなってしまった男に凄まじい笑みを浮かべる。
顔は笑っている。
だが目が全く笑っていない、般若にさえ見える顔だ。
「いや、さ、昨夜は酒が入っていてだな?」
「ほう、いい度胸だな?」
「い、いやほら、その」
「だからと言って人様のお尻、ましてや子供のお尻触っていいなんて通用するかーーーっ!」
ぎゃあぁああっと阿鼻叫喚の叫びと「こんのクソボケ変態男ー!」等と言う背後の惨劇等気にもせず、ウサキチ(仮)はトトトトトトッと食堂からハクが居る厨房へと向かう。
その際他の客から「またあのカップルの喧嘩が始まったか?」と聞こえてきたが、昨日初めて来たばかりのウサキチ(仮)には割りとどうでも良いことなのでスルーした。
でも少しだけ、折角掃除したばかりの綺麗になった床が、昨夜みたいに筋骨隆々の人の血で汚れるのは嫌だな、と思った。
ー人間のカップルと言うのは血みどろになるくらい愛情深くて大変なのですね。ー
人間のカップルに対するウサキチ(仮)の認識が、見事な勘違いをされてしまったのはご愛嬌なのかも知れない。
「…また食堂から凄い声やら音がするんだけど」
ご主人が僕の後ろをチラチラと気にして見て居ます。
そう言えばご主人は、昨日の御召し物とは違う物を着ています。
麻のシャツに黒の従業員用の炎蜥蜴のズボン(炎蜥蜴と言っても安価らしいです。繁殖力が強く力が比較的弱めな為、近場にある生息地でよく狩られるとか)、同じく炎蜥蜴の革で作った靴とベルトに上着。
シャツ以外全身黒色です。
何でもご主人の着ていた衣装はこの国では見ない品なので、目立つ為に着替えた方が良いとアレフに言われた為です。
ご主人みたいな身綺麗な子供は街中なら安全だけど、この先街の外に出た時に狙われる率が高いからだとか。
人拐いって言うモンスターが居るそうです。
何でも人間を拐って見世物にしたり、えっと、何でしたか?好奇な人?高貴?に売るとかなんとか。僕には理解しにくかったのでご主人が教えてくれましたが、多分変態さんのことかと思います。
違っていたら困るので、この事は追々ご主人の為にも学んでいこうかと思います。
「大丈夫大丈夫、ティファーネちゃんの延髄切りか踵落としでも決まったんじゃないかね?」
「それ、ヤバイんじゃ?」
「なーに言ってるのさ、あいつらあれでも一応は三級冒険者だよ、簡単には死にゃしないさ」
「三級?」
「冒険者の等級よ、上から特級・一級・二級・三級・四級・五級・六級・七級となっているの。ハクちゃん達初心者は七級からになるわね。ちなみに特級は伝説級で本当にあるのか無いのかわからないわね」
「へ~」
「そうそう、ハクちゃんはこの街初めてでしょ?この先やってくなら冒険者資格取得した方が良いわよ?テイムした子とか、冒険者資格があったら優遇もあるし色々融通きくからね」
「成る程!教えてくれて有難うございます!」
ちなみにご主人は、"オカミサン"と言う人の洗ったお皿を綺麗にお皿拭き用の布巾で拭き、棚に戻すお仕事です。
その際にご主人は椅子に登って棚に入れるのですが、棚の上の方は身長が足りないらしく届かないため、一端別の厨房に置いてあるテーブルの上に並べて行きます。
僕はその下、厨房の床を水拭き雑巾で丹念に綺麗に拭いて行きます(水拭き雑巾は僕の手の都合上絞れない為、優しいご主人が雑巾を絞って渡してくれました)。
食堂の喧騒は未だ聞こえてきますが、"オカミサン"ことディーネさんがご主人に話して居る内容に耳を傍たてました。
「ハクちゃんはウサキチ(仮)君に名前をつけないのかい?」
「ディーネさん、何故俺が"ちゃん"でこいつは"君"なんですか!?」
ピクピクッと意識しないようにしているつもりなのですが、つい耳がご主人達の方向に向いてしまいます。
ダメですよ僕の耳、ちゃんとお仕事しないといけません。
気になるからと言って、ご主人を困らせるような真似事はしないようにしないとならないんです。
テイムされた時に刷り込まれたのかも知れない忠誠心を発揮しようと、更に雑巾に力を入れます。
でも、と、チラッと横目でご主人を見ると、間が悪いことにバッチリとご主人と目があってしまいました。
気のせいかも知れませんが、ご主人苦笑いしてません?
「ハクちゃんはこの先冒険者になるんでしょ?」
「…多分」
ちょっと間が空いてからご主人が答えた為か、ディーネさんが「はっきりしないね」とカンラカンラと笑う。
「それなら尚更名付けないとね、テイマーをやっていくなら名前は大事だよ?」
「それ、アレフも言ってました。確かテイムした子が強くなるのでしたか?」
「そうよ、後ね、テイマーである主人もちょっとレベルが上がって強くなるのよ」
「レベルか…」
そう言えばご主人、弱体化してるとか何とか昨夜寝る前におっしゃってましたね。
もしかしたらレベルが上がると多少軽減されるのでは無いでしょうか?
ーご主人、無理にとは言いませんが名前つけて頂けないですか?ー
するとご主人は「あーえっと」と、ディーネさんの方角を見ていい始めます。
失念していました、僕の言葉はご主人以外聞こえないのでしたね。
「ほらほら、ウサキチ(仮)君も名前つけてくれるの待ってるよ?」
ディーネさんがからかうように、まるで僕の言葉を聞いたかのようにご主人をせっついて来ます。
「うーっセンス無いんだけど」
「思った事そのままつけたらどう?」
「思ったこと?」
「見た目とかね」
「見た目ねぇ…」
少しだけ間が空いて。
ご主人が困ったように言葉を紡ぎました。
「…モチ」
かくして、僕は四足歩行から二足歩行に変わり、見た目もちょっと変わって大きくなりました。
身長もご主人の腰より少し高いくらいです。
これで前よりもっとご主人の役にたてますね。
「ご主人!有難うございます!」
人間の言葉もちょっと話せるようになったのは、その場にいた人達をかなり驚かせてしまったけどもね。
兎の丸い、と言っても円を描くようにマルではなく、やや楕円形の形をした白い尻尾をフリフリ、フリフリとしきりに振り、ウサキチ(仮)は上機嫌に、器用に床に雑巾がけをしている。
時々気合いが入るのか、「きゅ」等と鳴いて居る。
「わぁ、可愛い~!」
「器用だなぁ」
ちなみにウサキチ(仮)の居る場所は、アレフの両親が経営している食堂の床の上である。
勿論食堂と言うからにはテーブルや椅子、そして時間帯には食事を取る宿泊客が居る。
現在は宿の朝食の時間帯。
朝食を食べに来た客の合間を縫うように、客から客の足を器用に避け、ウサキチ(仮)はセッセと客がこぼした野菜くず等のゴミを雑巾で綺麗に片付けていく。
勿論客が食べ終わって席を立ってからだ。
客が朝食を食べて居る横で箒で掃くのは塵が上がるためにしては駄目!と、アレフの母親であるディーネが昨夜、ウサキチ(仮)とハクに説明したため、頭のいいウサキチ(仮)はしっかりと約束を守っている。
テトテトテトとゆったりと、ウサキチ(仮)は四足歩行で歩き、「普通兎って移動する時跳び跳ねて無かったっけ?」とすれ違う冒険者達の注目を浴びる。
狩猟目的や食料として以外では、モフモフ好きが愛でること以外兎を見ない冒険者達は目を丸くし、中には「テイム…!素晴らしい!」等と目を輝やかせて居るものもいる。
もしかしたら、明日には愛でる目的の"にわかテイマー"が増えているかもしれないな、等とアレフは思っていると、
「ウサキチ(仮)そこはもう良いから、ハクちゃんの手伝いに」
「「「「「ええぇ~!」」」」」
アレフの父、キアフがウサキチ(仮)に呼び掛けると、食堂にいた客達から一斉に抗議の叫びが上がった。
「もう少し見させて下さいっ!」
「もっふもふ素晴らしいっ」
「白い毛皮…ウフフフ」
「ニクキュウ~」
中には怖い単語を述べている輩もいるが、どうやらウサキチ(仮)は食堂に居る客達に大歓迎らしい。
「もしくはハクちゃんを食堂にっ」
ぐっと握り拳を作ってキアフに迫ってきた冒険者風の筋骨隆々の大男は、同じチームを組んで居ると思われる冒険者風の綺麗なお姉さんに、背後から頭部に見事な踵落としを食らい、床とお友達をし始めた。
「あんた昨夜と同じ事繰り返す気かい?」
ポキッパキッと指を鳴らし、冒険者風の女、もとい背後に怒りの爆炎を纏った画を持ったお姉さんは、筋骨隆々だが縮こまって萎縮し、小さくなってしまった男に凄まじい笑みを浮かべる。
顔は笑っている。
だが目が全く笑っていない、般若にさえ見える顔だ。
「いや、さ、昨夜は酒が入っていてだな?」
「ほう、いい度胸だな?」
「い、いやほら、その」
「だからと言って人様のお尻、ましてや子供のお尻触っていいなんて通用するかーーーっ!」
ぎゃあぁああっと阿鼻叫喚の叫びと「こんのクソボケ変態男ー!」等と言う背後の惨劇等気にもせず、ウサキチ(仮)はトトトトトトッと食堂からハクが居る厨房へと向かう。
その際他の客から「またあのカップルの喧嘩が始まったか?」と聞こえてきたが、昨日初めて来たばかりのウサキチ(仮)には割りとどうでも良いことなのでスルーした。
でも少しだけ、折角掃除したばかりの綺麗になった床が、昨夜みたいに筋骨隆々の人の血で汚れるのは嫌だな、と思った。
ー人間のカップルと言うのは血みどろになるくらい愛情深くて大変なのですね。ー
人間のカップルに対するウサキチ(仮)の認識が、見事な勘違いをされてしまったのはご愛嬌なのかも知れない。
「…また食堂から凄い声やら音がするんだけど」
ご主人が僕の後ろをチラチラと気にして見て居ます。
そう言えばご主人は、昨日の御召し物とは違う物を着ています。
麻のシャツに黒の従業員用の炎蜥蜴のズボン(炎蜥蜴と言っても安価らしいです。繁殖力が強く力が比較的弱めな為、近場にある生息地でよく狩られるとか)、同じく炎蜥蜴の革で作った靴とベルトに上着。
シャツ以外全身黒色です。
何でもご主人の着ていた衣装はこの国では見ない品なので、目立つ為に着替えた方が良いとアレフに言われた為です。
ご主人みたいな身綺麗な子供は街中なら安全だけど、この先街の外に出た時に狙われる率が高いからだとか。
人拐いって言うモンスターが居るそうです。
何でも人間を拐って見世物にしたり、えっと、何でしたか?好奇な人?高貴?に売るとかなんとか。僕には理解しにくかったのでご主人が教えてくれましたが、多分変態さんのことかと思います。
違っていたら困るので、この事は追々ご主人の為にも学んでいこうかと思います。
「大丈夫大丈夫、ティファーネちゃんの延髄切りか踵落としでも決まったんじゃないかね?」
「それ、ヤバイんじゃ?」
「なーに言ってるのさ、あいつらあれでも一応は三級冒険者だよ、簡単には死にゃしないさ」
「三級?」
「冒険者の等級よ、上から特級・一級・二級・三級・四級・五級・六級・七級となっているの。ハクちゃん達初心者は七級からになるわね。ちなみに特級は伝説級で本当にあるのか無いのかわからないわね」
「へ~」
「そうそう、ハクちゃんはこの街初めてでしょ?この先やってくなら冒険者資格取得した方が良いわよ?テイムした子とか、冒険者資格があったら優遇もあるし色々融通きくからね」
「成る程!教えてくれて有難うございます!」
ちなみにご主人は、"オカミサン"と言う人の洗ったお皿を綺麗にお皿拭き用の布巾で拭き、棚に戻すお仕事です。
その際にご主人は椅子に登って棚に入れるのですが、棚の上の方は身長が足りないらしく届かないため、一端別の厨房に置いてあるテーブルの上に並べて行きます。
僕はその下、厨房の床を水拭き雑巾で丹念に綺麗に拭いて行きます(水拭き雑巾は僕の手の都合上絞れない為、優しいご主人が雑巾を絞って渡してくれました)。
食堂の喧騒は未だ聞こえてきますが、"オカミサン"ことディーネさんがご主人に話して居る内容に耳を傍たてました。
「ハクちゃんはウサキチ(仮)君に名前をつけないのかい?」
「ディーネさん、何故俺が"ちゃん"でこいつは"君"なんですか!?」
ピクピクッと意識しないようにしているつもりなのですが、つい耳がご主人達の方向に向いてしまいます。
ダメですよ僕の耳、ちゃんとお仕事しないといけません。
気になるからと言って、ご主人を困らせるような真似事はしないようにしないとならないんです。
テイムされた時に刷り込まれたのかも知れない忠誠心を発揮しようと、更に雑巾に力を入れます。
でも、と、チラッと横目でご主人を見ると、間が悪いことにバッチリとご主人と目があってしまいました。
気のせいかも知れませんが、ご主人苦笑いしてません?
「ハクちゃんはこの先冒険者になるんでしょ?」
「…多分」
ちょっと間が空いてからご主人が答えた為か、ディーネさんが「はっきりしないね」とカンラカンラと笑う。
「それなら尚更名付けないとね、テイマーをやっていくなら名前は大事だよ?」
「それ、アレフも言ってました。確かテイムした子が強くなるのでしたか?」
「そうよ、後ね、テイマーである主人もちょっとレベルが上がって強くなるのよ」
「レベルか…」
そう言えばご主人、弱体化してるとか何とか昨夜寝る前におっしゃってましたね。
もしかしたらレベルが上がると多少軽減されるのでは無いでしょうか?
ーご主人、無理にとは言いませんが名前つけて頂けないですか?ー
するとご主人は「あーえっと」と、ディーネさんの方角を見ていい始めます。
失念していました、僕の言葉はご主人以外聞こえないのでしたね。
「ほらほら、ウサキチ(仮)君も名前つけてくれるの待ってるよ?」
ディーネさんがからかうように、まるで僕の言葉を聞いたかのようにご主人をせっついて来ます。
「うーっセンス無いんだけど」
「思った事そのままつけたらどう?」
「思ったこと?」
「見た目とかね」
「見た目ねぇ…」
少しだけ間が空いて。
ご主人が困ったように言葉を紡ぎました。
「…モチ」
かくして、僕は四足歩行から二足歩行に変わり、見た目もちょっと変わって大きくなりました。
身長もご主人の腰より少し高いくらいです。
これで前よりもっとご主人の役にたてますね。
「ご主人!有難うございます!」
人間の言葉もちょっと話せるようになったのは、その場にいた人達をかなり驚かせてしまったけどもね。
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