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漆黒ノ章
モチ君頑張る2
「えっとー」
パタパタパタと足音をたて、モチは薬師の家の台所で背伸びをしたり、時には椅子を使ったりして調理をしている。
手にはボール。
テーブルの上には溶けきって原型の無い無塩バター100gと卵が二つにお砂糖が小さじ2。
ヨーグルトと牛乳は60gづつ。
お湯に付けて干したレーズンを浸し、30分程したら出して表面に付いた植物性油を洗い流す。
砂糖が少なめなので、チョコチップを入れて甘味を増やし、食感を出す為にココナッツパウダーを追加。
それから薄力粉120gーー材料を入れてかき混ぜる前に、一度薄力粉だけでボールに入れてから泡立て器でクルクル十回程かき混ぜる。
そうすると、ワザワザ小麦粉を振るいにかけなくてもよい。
簡単にいうと材料は
薄力粉 120g
砂糖 小さじ2
無塩バター 100g
卵 2個
(黄身と白身は別々にし、白身は固めに泡立てる)
ヨーグルトと牛乳 各60g
塩 小さじ 1/4
レーズン 適当(笑)
チョコチップとココナッツパウダー適量
と、なる。
白身は三回程分けて小麦粉と混ぜ、後は適当に全部混ぜて、型に入れてからオーブンが温まったら(180度)入れて、25分で焼き上がり。
うん、うまくできたです。
別にモチが料理上手なスキル持ちと言うわけではない。
元は只のウサギ。
そう、テイムされたノーブルラビットと言えど只のウサギだ。
この街にきて宿の女将とケンネルによって少しだけ覚えた、覚えたての料理を作ってみただけなのだ。
その証拠にレーズンの量を忘れており、適当に入れてみた。
ちょっと多かったかな?と思ったのたが、見た目大丈夫そうだ。
ちなみにオーブンには魔石が嵌まっており、魔石にある魔力を使って焼き上げるらしい。
そして、何故モチが料理をしているかと言うと、ここの家主である薬師は「料理が出来ないではなく、全く、金輪際、一切、やらない宣言をした人」らしい。
だから作ってくれと、モチを台所に押し出したのだ。
何でも昔作って、うっかり毒物が出来てしまったとか何とか。
それって薬師としてどうなんだろう?
モチはちょっと不思議に思ったが、料理をすること自体はやぶさかでは無いので別に構わないかな?と思った。
『御主なかなか手際がいいのじゃな』
パタパタとモチの足音とは違う軽い響きを鳴らし、揚羽蝶の羽根をもつ精霊、ミトラはうんうんと頷いている。
ちなみに、ミトラは玉子を割るのを手伝ってくれた。
それに金の粉をかけて、時々モチが椅子に登りやすいように足場を作ってくれたりした。
全く手伝う気がない家主であるミサとは雲泥の差である。
そのミサとは言うと、隣室で小鍋を火にかけて何かを煮込んでいる。
事前に聞いていたのだが、ハク用の飲み薬らしい。
一応台所には入っては来ないが、何かしらやっては居たようだ。
その様に見えないのは多分、飲み薬らしいものからは甘い匂いが漂い、時々ミサがスプーンで中身の液体を舐めているからだ。
…甘くて美味しいのかも知れない。
ま、いっかとモチは出来上がった焼き菓子であるバターケーキ(レーズン入り)を冷ましつつ、もう一品製作にかかる。
バターケーキは作りたてより日にちがたった方が美味いからだ。
それを何故今作ったかと言うと、ハクが以前宿で「疲れた甘い物が食べたい」と言っていたのを思い出したからである。
だから覚えたての物でもどうかな?と作ってみたわけである。
乙女か。
雄のウサギなのに。
何処と無く『手伝うかの?』と嬉しそうに聞いてくるミトラを助手に、玉ねぎとジャガイモのスープを一品。
これはご主人の少し遅れたお昼用だ。
お皿に注いでから上に包丁で細かく切ったネギを散らす。
これだけだとお腹が空くだろうからと、先程カリナタが街で買ってきてくれたパンもつける。
ちなみにそのカリナタさん、今ちょっとした理由でご主人の居る部屋付近には立ち入ることが出来ず、仕方なしにミサさんの家には大した食材が無い為に明日の食料を買いに出掛けている。
その理由とは…
『しかし、あの傾国とか言うのは凄まじいのじゃな』
ご主人が現在進行形でミサさんいわく、[駄々漏れ]させている傾国とか言うスキルのせいであるらしい。
参考までに。
[傾国]:身も心を奪われて心酔し、何もかも傾国のスキルを持った相手以外どうでもよくなり、国等を危うくするほどの作用をもたらす。絶世の美人だとより悪化。
だ、そうです。
僕もテイム前は当てられていた可能性があるらしいのですが(最初の異様に惹かれた件はコレかも知れません)、今は全く影響がありません。恐らくテイムされたからと、僕が雄のウサギだからかも知れません。
『わらわも気を抜くと目眩がするのじゃ…』
お陰で部屋の中には入れないと、先程から僕がご主人の様子を見に世話をしに行くと、ドアの隙間から顔を出して部屋の前でうろちょろしています。
その仕草がちょっと可愛いなと僕でさえ思うのですが、当のご主人は心ここにあらずらしく、何処か遠い所を見ているようです。
『しかし心配じゃ…』
「ご主人のことですか?」
『然り然り、まっこと困ったのじゃ』
「スキルのことですか?」
『それもあるのじゃが…』
ちなみに、僕はミトラさんが言っている"然り"が分からなかったので聞いてみたのですが、その通りって意味だと教えられました。
人の言葉は難しいですね。
最もミトラさんは人ではなく高位精霊らしいですけど。
『モチよ、ちと部屋に入れぬわらわの為に頑張って貰えぬかの?』
と言って、僕の頭を撫で撫でしてくれました。
…僕って自覚してるのですが、撫で撫でされると弱いんですよね。
「きゅっ」ってつい、上機嫌な声出しちゃうんですよ…
『可愛いのじゃ~堪らんのじゃ~!』
その後ミトラさんに頬づりされてから頬っぺたにキスをされてしまい、びっくりしてたら『頼むのじゃ♪』と言われてしまい、
「は、はは、はいっ!」
どもってしまいました。
とっても恥ずかしいです…
パタパタパタと足音をたて、モチは薬師の家の台所で背伸びをしたり、時には椅子を使ったりして調理をしている。
手にはボール。
テーブルの上には溶けきって原型の無い無塩バター100gと卵が二つにお砂糖が小さじ2。
ヨーグルトと牛乳は60gづつ。
お湯に付けて干したレーズンを浸し、30分程したら出して表面に付いた植物性油を洗い流す。
砂糖が少なめなので、チョコチップを入れて甘味を増やし、食感を出す為にココナッツパウダーを追加。
それから薄力粉120gーー材料を入れてかき混ぜる前に、一度薄力粉だけでボールに入れてから泡立て器でクルクル十回程かき混ぜる。
そうすると、ワザワザ小麦粉を振るいにかけなくてもよい。
簡単にいうと材料は
薄力粉 120g
砂糖 小さじ2
無塩バター 100g
卵 2個
(黄身と白身は別々にし、白身は固めに泡立てる)
ヨーグルトと牛乳 各60g
塩 小さじ 1/4
レーズン 適当(笑)
チョコチップとココナッツパウダー適量
と、なる。
白身は三回程分けて小麦粉と混ぜ、後は適当に全部混ぜて、型に入れてからオーブンが温まったら(180度)入れて、25分で焼き上がり。
うん、うまくできたです。
別にモチが料理上手なスキル持ちと言うわけではない。
元は只のウサギ。
そう、テイムされたノーブルラビットと言えど只のウサギだ。
この街にきて宿の女将とケンネルによって少しだけ覚えた、覚えたての料理を作ってみただけなのだ。
その証拠にレーズンの量を忘れており、適当に入れてみた。
ちょっと多かったかな?と思ったのたが、見た目大丈夫そうだ。
ちなみにオーブンには魔石が嵌まっており、魔石にある魔力を使って焼き上げるらしい。
そして、何故モチが料理をしているかと言うと、ここの家主である薬師は「料理が出来ないではなく、全く、金輪際、一切、やらない宣言をした人」らしい。
だから作ってくれと、モチを台所に押し出したのだ。
何でも昔作って、うっかり毒物が出来てしまったとか何とか。
それって薬師としてどうなんだろう?
モチはちょっと不思議に思ったが、料理をすること自体はやぶさかでは無いので別に構わないかな?と思った。
『御主なかなか手際がいいのじゃな』
パタパタとモチの足音とは違う軽い響きを鳴らし、揚羽蝶の羽根をもつ精霊、ミトラはうんうんと頷いている。
ちなみに、ミトラは玉子を割るのを手伝ってくれた。
それに金の粉をかけて、時々モチが椅子に登りやすいように足場を作ってくれたりした。
全く手伝う気がない家主であるミサとは雲泥の差である。
そのミサとは言うと、隣室で小鍋を火にかけて何かを煮込んでいる。
事前に聞いていたのだが、ハク用の飲み薬らしい。
一応台所には入っては来ないが、何かしらやっては居たようだ。
その様に見えないのは多分、飲み薬らしいものからは甘い匂いが漂い、時々ミサがスプーンで中身の液体を舐めているからだ。
…甘くて美味しいのかも知れない。
ま、いっかとモチは出来上がった焼き菓子であるバターケーキ(レーズン入り)を冷ましつつ、もう一品製作にかかる。
バターケーキは作りたてより日にちがたった方が美味いからだ。
それを何故今作ったかと言うと、ハクが以前宿で「疲れた甘い物が食べたい」と言っていたのを思い出したからである。
だから覚えたての物でもどうかな?と作ってみたわけである。
乙女か。
雄のウサギなのに。
何処と無く『手伝うかの?』と嬉しそうに聞いてくるミトラを助手に、玉ねぎとジャガイモのスープを一品。
これはご主人の少し遅れたお昼用だ。
お皿に注いでから上に包丁で細かく切ったネギを散らす。
これだけだとお腹が空くだろうからと、先程カリナタが街で買ってきてくれたパンもつける。
ちなみにそのカリナタさん、今ちょっとした理由でご主人の居る部屋付近には立ち入ることが出来ず、仕方なしにミサさんの家には大した食材が無い為に明日の食料を買いに出掛けている。
その理由とは…
『しかし、あの傾国とか言うのは凄まじいのじゃな』
ご主人が現在進行形でミサさんいわく、[駄々漏れ]させている傾国とか言うスキルのせいであるらしい。
参考までに。
[傾国]:身も心を奪われて心酔し、何もかも傾国のスキルを持った相手以外どうでもよくなり、国等を危うくするほどの作用をもたらす。絶世の美人だとより悪化。
だ、そうです。
僕もテイム前は当てられていた可能性があるらしいのですが(最初の異様に惹かれた件はコレかも知れません)、今は全く影響がありません。恐らくテイムされたからと、僕が雄のウサギだからかも知れません。
『わらわも気を抜くと目眩がするのじゃ…』
お陰で部屋の中には入れないと、先程から僕がご主人の様子を見に世話をしに行くと、ドアの隙間から顔を出して部屋の前でうろちょろしています。
その仕草がちょっと可愛いなと僕でさえ思うのですが、当のご主人は心ここにあらずらしく、何処か遠い所を見ているようです。
『しかし心配じゃ…』
「ご主人のことですか?」
『然り然り、まっこと困ったのじゃ』
「スキルのことですか?」
『それもあるのじゃが…』
ちなみに、僕はミトラさんが言っている"然り"が分からなかったので聞いてみたのですが、その通りって意味だと教えられました。
人の言葉は難しいですね。
最もミトラさんは人ではなく高位精霊らしいですけど。
『モチよ、ちと部屋に入れぬわらわの為に頑張って貰えぬかの?』
と言って、僕の頭を撫で撫でしてくれました。
…僕って自覚してるのですが、撫で撫でされると弱いんですよね。
「きゅっ」ってつい、上機嫌な声出しちゃうんですよ…
『可愛いのじゃ~堪らんのじゃ~!』
その後ミトラさんに頬づりされてから頬っぺたにキスをされてしまい、びっくりしてたら『頼むのじゃ♪』と言われてしまい、
「は、はは、はいっ!」
どもってしまいました。
とっても恥ずかしいです…
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